事実は小説よりも奇なり:下着泥棒
お母さんのパンツ泥棒を追跡せよ!
人にはいろんな性癖があるのでその辺はあえて突っ込みませんが、やっぱり窃盗はだめだと思います。ニュージーランドからのニュース。干してある洗濯物から母親の下着(ニッカーズ)だけを盗み続ける泥棒の被害にあった息子が、決死の張り込みの末に見事犯人を捕まえたそうです。お疲れさまでした。
(以下省略)
( 『 がらくたGallery 』 2010.04.09 )
事実は小説よりも奇なり。この記事を読んで思い出したことがある。以下に書くことを信じるか信じないかは皆さんの勝手だが、事実は事実。エープリルフールでもあるまいに、嘘を書く気など毛頭ない。
学生時代、同じアパートにN君という奴がいた。彼は京都の出身で、名だたる進学校を出て一浪して同じ大学に入った仲間である。だが、彼には妙な性癖があった。彼の女性の趣味は、背が高くて躍動感あふれるスポーツウーマンタイプ。彼の部屋にはそうしたアスリートの写真がいっぱい貼ってあった。
アパートの隣に「S屋」という学生相手の食堂があった。そこに高校生の一人娘がいた。しかし、その娘はただの娘ではない。高校生でありながら、バレーボールの全日本代表選手候補だったのである。彼は毎日その食堂へ足しげく通っていた。もちろんその娘が目当てである(その娘は、休みのときは店の手伝いをしていたが、ほとんど部活などで店にはいなかったらしいが)。彼と話をすると、必ずその娘の話が出た。
「彼女、可愛いな〜。あの巨体、はじけるような汗。たまらない‥‥」
オラはその話を聞くたびに呆れていた。「お前、変態か? それにまだあの娘は高校生だぞ」。
そんなある日、S屋の女主人がアパートへやって来て住人たちに問い質した。「物干し竿に干していた娘の下着だけが最近よく無くなるんだけど、誰か知らない?」
オラはピンときた。「あの野郎、とうとうやりやがったな‥‥」。さっそくNの部屋へ行って問い質した。「N、まさかお前、S屋の娘の下着を‥‥」。すると彼は不敵な笑みを浮かべながら、その下着(パンティ)を取り出し「エヘへへへへ、誰にも言うなよ。内緒、内緒」と言ってきた。「お前、いくらなんでもそれはイカンぞ。泥棒じゃないか。そ〜っと、もとのところへ返しておけ!」。オラはそれだけ言って彼の部屋を出た。彼とは学部は違えども同じ学校へ通う仲間。それ以上のことは言えなかった。
それからしばらくして、彼の両親が上京してくることになった。息子が東京にいるので、東京見物がてら彼の達者な顔を見に来るというのだ。Nはその日は授業があったので学校へ、オラは授業がなかったのでアパートにいた。Nの両親がアパートを訪ねて来たのが、確か午前11時ころだった。Nの両親は、オラがNの友達であることを知っていたので、息子の帰りを待って一緒に食事に行くことにしていた。
ところが‥‥。事件はその日に起こった。
アパートでNの帰りを両親と待っていたとき、突然アパートに電話が入った。「もしもし、○○アパートですか? Nさんが交通事故に遭われ、いま救急車でT病院へ向かっているところです」。消防署からの連絡であった。さっそく両親とそのT病院へ向かった。Nは歩行中車にひかれ、意識がなく重体だそうである。幸いその病院がアパートに近かったため、救急車とほぼ同時にその病院に着いた。
担架に乗せられたNが、救急隊員に運ばれて救急治療室の方に向かった。「すいません、すいません、その患者の身内の者です!」。両親がそう叫びながらその後を追った。オラも一緒に両親の後について行った。病院の職員に制される場面もあったが、救急治療室へ何とか一緒に入った。看護師たちが手際よくNの衣服を脱がせ、病衣に着替えさせる‥‥。そのとき、事件が起こった。
Nのズボンを下ろしたとき、な、何と! 奴は、かつて盗んだS屋の娘のパンティを穿いているではないか!
「あっ!」。オラは青くなった。まさかと思う事態が、目の前で繰り広げられている。オラはそっと両親の顔を窺った。両親は互いの顔を見ながら呆れた様子。こうなると息子が意識不明どころの騒ぎではない。明らかに事故のことよりも、そちらのことの方が両親にとって重大な事件であるようだった。
幸いNは大怪我であったにも関わらず、意識を取り戻しその後順調に回復し退院した。Nは学校を辞めた。彼がその後どうなったのかは知らない。あの時以来、音信は途絶えたままである。
shiraty5027
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