月光仮面
昨日、『日めくりタイムトラベル 昭和33年』(NHK:再放送)というのを見た。これは昭和の各時代を細かく紹介する番組で、今回のテーマの一つが『月光仮面』。原作は、森進一の『おふくろさん』で一騒動起こした、今は亡き川内康範氏。子供のころ、この『月光仮面』を夢中で見た記憶がある。今まで「月光仮面というのはテレビのヒーローものの走りだ」ぐらいにしか思っていなかったが、この番組を見て、そうとう奥が深いことを知らされた。
『月光仮面』は、実は「月光(がっこう)菩薩」がモデルなのだという。「月光菩薩」とは薬師如来の脇仏で、慈悲の心で人を見守る仏様(もう一方の「日光菩薩」は万物を照らす仏様)。薬師如来の説かれた正義を助ける“助っ人”なのだそうである。
番組の中で、月光仮面が悪人を前に説教をする場面が紹介されていた。
どうだね。君もひとかどの悪党なら悪党らしく、ここらで日本人としての自覚に戻ったらどうだ。君はどこの国の人間なんだ。どこの国に生まれ、どこの国に育ったのだ。考えてもみたまえ。今や世界は正義も邪もなく、ただ武力と金力の強い国が自分たちの利益のためのみ動き回っている。弱い者、貧しい国の人々は好むと好まざるに関わらず、彼らの犠牲にされつつあるのだ。‥‥つまりは、君たち一味は売国のやからなのだ。今からでも遅くはない。
「月光仮面の使命とは、悪の一味を倒すことにはない。悪に染まった者を改心させていくことにあった」と番組のナレーションは言う。なるほど、月光仮面は正義そのものではなく、慈悲の心で人々を見守る「月光菩薩」の化身だったのだ。
司会者が「今のヒーローものは、どれだけ強いか、どれだけ破壊するかがメインですね」というと、ゲストの大森一樹が「今のヒーローものとは違い、作り手の志が高い。こういう『月光仮面』のような気持ちでものを作らないと、後世に伝わらない」と、しきりに自己反省をしていた。
それはともかく、川内康範はこの『月光仮面』が当時俗悪番組だと評された際、その反論として次の一文を載せている。「私はおこがましくも『憎むな、殺すな、赦しましょう』(月光仮面のテーマ)のキャッチ・フレーズこそは、現代を背負う子供たちに対する、戦争否定の精神を植えつける基本的な要素であると考えた」云々と。つまり、『月光仮面』は少年向け反戦プロパガンダドラマだったというのである。えっ! それホント?
しかし、それは『月光仮面』が俗悪漫画本以下と評した当時の大人たち向けのメッセージであって、川内の本心ではなかったのではないかと思う。それは月光仮面が1丁だけではなく、2丁も拳銃を携え、しかもその名手であったことや、上記月光仮面のセリフに見られるように、悪党に愛国心を説いている点からみて、反戦的というよりむしろ愛国的プロパガンダドラマではなかったのかと思う。
最後に、上記月光仮面のセリフをそのまま今の民主党に置き換えたら、そのまま意味が通ずる点が恐ろしい。月光仮面のセリフは、時代を超えて今に生きているのである。
オラは『月光仮面』も好きだけど、『けっこう仮面』も好きだ。
shiraty5027
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