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[臨床像]爪・膝蓋骨症候群は、Fong's Disease, Hereditary Onycho-Osteodysplasia:HOOD とも呼ばれ、Littleが1897年に初めて報告し(1829年Chatelainとする考えもある)その後Fong(1946)によってiliac hornを持つことが報告された疾患。常染色体遺伝であるが症例の20%は家族歴無く発症する。原因は9番染色体q34.1のLIMホメオボックス転写因子(LMX1B)の遺伝子異常である。ABO血液型と同じ9番染色体上にあるため血液型とともに遺伝していく。5万人に1人の割合で発症する。腎臓、骨、関節そして指の爪に変形が生じる。爪の変形は出生時より左右対称性で完全な欠如(aonychia)から様々な程度の形成不全を示す。また爪半月が逆3角形を示す(triangular lunulae)。拇指の変形が最もひどいことが多く、まれに足の爪にも認める。肘頭の変形により腕をまっすぐ伸ばすのが困難になる。膝蓋骨の欠如ないし形成不全、腸骨外側の対側性骨突出(iliac horn)を認める。40歳以前に腎病変を認めることはまれであるが、腎障害の程度が予後を左右し、腎障害のあるものの8%が死亡するためタンパク尿の有無について検索を繰り返す必要がある。また先天性の緑内障(開放隅角緑内障)を持つ場合がある。虹彩にクローバの葉状の色素異常を認める(Lester iris)は本症に特異的であるが碧眼の人に多いため本邦ではまれである。
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皮膚付属器疾患、皮膚形成異常
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[臨床像]直径2-3mmの白色扁平丘疹が集簇し白色局面を形成、のちに萎縮する疾患。掻痒や疼痛を来たすこともある。男女の外陰部に好発する(半数以上)が体幹にも発生する(体幹四肢に発生したものをwhite-spot diseaseと呼ぶ)。男女比は1:5〜10程度との報告がある。大陰唇、陰核の萎縮を伴うものを大門萎縮症(kraurosis vulve)、男性の陰茎に生じたものを陰茎萎縮症(kraurosis penis)、閉塞性乾燥性亀頭炎(balanitis xerotica obliterans)と称する。閉塞が尿道口に波及すると尿道口の狭窄を来たすことがある。外陰部に生じたものは数%の割合(3から21%と報告はさまざま)で有棘細胞癌に移行することがある。
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[臨床像]ウェルナー症候群は1904年ハンブルグの眼科医Otto Wernerによって報告された疾患で、常染色体劣性遺伝をしめし早老徴候とがん易罹患性を伴もなう疾患。ウェルナー症候群患者は10歳までの発達は正常に経過するがその後下記のような症状を呈する。こうした所見が出現する時間的な順序はすべての患者でおおよそ共通している。ウェルナー症候群患者に発生するがんは通常と異なっており、肉腫やまれな型のがんが多い。日本人患者で最も高頻度に見られるのは軟部組織肉腫、骨肉腫、黒色腫、甲状腺がんである。また動脈硬化も癌とともに死因の原因として多い。原因遺伝子(WRN遺伝子)は第8染色体短腕(8p11-12)に存在しRecQ型DNAヘリケース蛋白質をコードする。DNAヘリケース蛋白質は細胞分裂の際に重要な酵素である。 臨床症状 10歳代 前半の成長の加速がみられない 20歳代白髪化、脱毛 →嗄声→強皮症様の皮膚変化 30歳代 白内障 →2型糖尿病 40歳代 悪性腫瘍 →心筋梗塞 50代前半 死亡 臨床診断基準 ○主徴候(10歳以降の発症) 両側性白内障 特徴的な皮膚病理像(硬化,萎縮,色素沈着,潰瘍形成,過角化症,部分的皮下脂肪萎縮) 特徴的な鳥様顔貌(鼻稜が突出し,皮下脂肪が少ない) 低身長 頭髪の早期の白髪化や禿頭 両親の近親婚(3度近親以内)または罹患した同胞 可能であれば,24時間尿でのヒアルロン酸試験陽性(排泄増加) ○副徴候 2型糖尿病 性腺機能低下症(二次性徴発達不良,不妊,精巣や卵巣の萎縮) 骨粗鬆症 四肢末梢の骨硬化像 軟部組織石灰化 早期動脈硬化症の所見(心筋梗塞の既往など) 主に間葉系の腫瘍(すなわち肉腫),まれな腫瘍,多発腫瘍 声の異常(甲高い声,嗄声) 偏平足 国際ウェルナー症候群患者レジストリーでは遺伝子検査による確認がなされない例に対してこれらの徴候を“definite”,“probable”,あるいは“possible”と診断する基準に用いている。特にまだ多くの症状が出現していない若い患者についてワーナー症候群の疑いが持たれた場合などでは、いずれの診断基準も不完全である。 確実(definite)例:すべての主徴候と副徴候のいずれか2つを満たす 疑い(probable)例:主徴候の最初の3つとその他のいずれか2つを満たす 可能性(possible)例:白内障または皮膚変化とその他のいずれか4つを満たす 除外診断:思春期以前の徴候や症状の出現(低身長は除く.思春期以前の成長パターンに関するデータが不完全のため) Gotoは以下の5つの基準のうち4つを満たす場合に、臨床的にウェルナー症候群と診断することを提唱した。
近親婚 特徴的な鳥様顔貌と体型 早老徴候 強皮症様皮膚変化 内分泌・代謝機能異常 |
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[臨床像]1985年に清水宏らが提唱した疾患で、高齢者頸部に好発し平均年齢は60.8歳である。直径2〜4mm程度の円形〜楕円形、白色〜黄色の境界明瞭な小丘疹が毛包と関係なく出現する。癒合傾向は示さない。有茎性に隆起することもない。加齢による真皮の変性が原因と考えられている。pseudoxanthoma-elasticum-like papillary dermal elastolysisは組織が本疾患と似ているが皮疹は白色丘疹が癒合傾向をしめすため異なる。しかし同一疾患の亜型である可能性も考えられている。
[病理]真皮上層での膠原線維の粗大化と増加を認める。 |
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[臨床像]壮年性脱毛症(alopecia prematura)ともいわれ、思春期以後に前頭部から頭頂部の頭髪が薄くなる疾患。女性にも発症し同じ部位が薄くなることがある(卵巣腫瘍、過形成など男性ホルモン過剰を引き起こす疾患が隠れている可能性があるので注意する。)。男性型脱毛症はすべての脱毛の中で95%を占める。男性型脱毛症の影響を受けている人は30代の10%、60代50%、平均30%といわれている。男性型脱毛症の症状が現れると、頭頂、前頭部の毛髪および毛根は次第に小型化され(毛根のミニチュア化)、硬毛が軟毛化を呈するようになる。それとともに、毛髪の成長期の期間が短くなり、休止期にある毛髪の割合が増加する。多因子性の優性遺伝と考えられていて、両親の家系に男性型脱毛症がいる場合、子供が男性型脱毛症になる確立は高い。 テストステロンは体内の細胞内で5αリダクターゼ酵素の働きによりジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンへ転換される。米国のハミルトンによる研究では、去勢された男性は男性型脱毛症を発症しない事を発見し、最近の研究では、DHTが男性型脱毛症の発症に関与する主要な男性ホルモンであることが実証さた。一般に、男性ホルモンはアンドロゲンレセプターと結合することでその作用が発現する。DHTが毛嚢の細胞内でアンドロゲンレセプターと結合すると、毛の発育をつかさどる毛乳頭・毛母細胞に悪影響を及ぼし、毛髪の成長を阻害して男性型脱毛症を引き起こす。後頭部・側頭部の頭髪、眉毛、ヒゲ、胸毛、が脱毛しないのは、男性ホルモンの影響が少ないためである.。 男性型脱毛症の分類
フィナステリドは、米Merck社が開発した内服の男性型脱毛症用薬で、現在すでに世界60カ国以上で承認されている。フィナステリドは、5α-還元酵素を阻害し、DHTの産生を抑制する。商品名プロペシア(Propecia) のPro はPro and Conに使われるPro の意味(ポジティブという意味)とPecia はAlopecia(脱毛症)から来ている。 一日一回内服する。食前食後いずれの時間でも良い。0.2,1.0mgの錠剤があり通常フィナステリドとして0.2mg を1 日1 回経口投与する。なお、必要に応じて適宜増量できるが,1 日1mg を上限とする。女性、小児の服用は認められていない。肝機能障害のある患者には使用できない。3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが,効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。また内服を中止すると数ヶ月で作用が消失するため、効果を持続させるためには継続的に服用する必要がある。6 ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止する。男性の数%未満であるが勃起機能不全、射精障害、精液量減少など性機能に関連した副作用が見られる。 |




