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あの日。
春になりきれない空にこだました大地の咆哮は、終わりへの始まりだったのか。
天地が逆さまになる激震が付き抜け、波打つ街に放り出されたあの日。
薄墨を重ねたようなどんよりとした空から、ちぎられた雪が横殴りに吹き付けていた。
足元は数分も落ち着くことなく振動を繰り返し、軋む窓ガラス、しなる信号機が今にも壊れそうで。
逃げ場所も分からず、かじかむ手で、親へ子へ友人へ、あなたへ、繋がらない電話を掛け続けた。
ようやく収まった揺れに、ざわつく胸を押さえ、戻ったオフィスで見たテレビの生中継。
細い田んぼの道を走る車を飲み込み、陸を駆け上がる津波は拒絶を拒絶し、現実を失わせた。
そして、悪夢は終わらない。
科学を悪魔に変えたのは、ヒトか時代か、地母神の意思か。
世界が変わったあの日。
あれから二つの季節が過ぎ、見上げる空は高く遠く、悲しみの青を広げ、やがてくる冬を思わせた。
あの日から遠くなればなるほど、刻まれる記憶は恐怖をなぞり、深く濃く未来へと影を伸ばす。
忘れたければ忘れたらいい。
忘れられるなら忘れてしまえ。
いつか傷跡が過去になり、海が恵みをとりもどし、風が悲しみを捨て去ったとしても。
あの日の空を忘れない。
握り締めたこの手が、ぬくもりを失くすその日まで。
あの日を超えて。
あなたにめぐり会えた世界を、私は終わらせない。
From:2011.3.11
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