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2.自分のために「 環境を変えて刺激を求めたい 」 イチロー38歳。 野球選手としては完全に晩年である。 日本プロ野球選手の平均引退年齢は、29歳。 超一流選手になると、かなり異なる。 野手の引退は40歳だが、活躍できるのは38歳まで。 投手は5年短く35歳引退。活躍は34歳まで。 昨年と今年のイチローは、例年に比べたら悪いが、マ軍の打撃陣の中なら、上位だ。 走攻守共に申し分なく、マ軍に在籍していたとしても、レギャラーから外される心配は無い。 ところが、ヤ軍の打撃陣は、球界一二を争う強力打線だ。 打率.300以上か、または100打点でないとレギュラーが取れないと言っていいくらい、レベルが高い。 それ以外では、捕手か、または、将来性のある二十代の若手しか、チャンスを貰えない。 松井秀樹がワールドシリーズでMVPに選ばれながら自由契約になった。 原因は、年齢と守備の悪さだ。 イチローの今の打率.261 と打点28 では、外野守備が良いから、何とか入れる程度だ。 故障からスウィシャー外野手(31歳)が復帰したら、レギュラーは危ない。 長期離脱のガードーナー外野手(28歳)まで復帰する来期、戦力外通告される可能性は高い。 従って、今シーズンは、何とか出場出来るかも知れないが、来期ヤ軍との契約は無いだろう。 それを十分承知の上で、ヤ軍へ移籍を希望したのだ。 日本球界からMLBへ移籍した27歳のときとは違う。 やっていけるかどうか、とても不安だろう。 「 ダメだったら、惨めじゃあないだろうか? 」 プライドの高い(良い意味で)イチローは、人一倍迷ったはずだ。 しかし、それにチャレンジしたのだ。 恐ろしいほどの勇気だ。 野球選手の晩年を過去の例で見ると、自分に期待を寄せ、条件の良いところで過す。 そして、二三年で引退する。 ケングリフィーJr.もそうだった。 お父さんの時代からシアトルで活躍し、最後、彼はシアトルに戻り、 ファンの暖かい拍手の中で引退した。 イチローは、MLBへ移籍当初からシアトルだから、ファンは生粋のシアトル人と看做している。 誰もがケングリフィーJr.と同じように、引退の花道をシアトルで迎えるだろうと思っていた。 しかし、イチローは、その晴れの舞台を捨ててまでシアトルを出た。 ニューヨークでは、花道を飾ってはくれない。 凄いチャレンジ精神だ。 マ軍との諍いを想像する野次馬も居るが、それは考えられない。 もし、マ軍首脳陣と揉めたのなら、会見であんな丁寧な感謝の意を表さないだろう。 それよりも、イチローを暖かく見守ってくれるファンは、シアトルにしか居ない。 何が寂しいと言っても、それが一番寂しいはずだ。 もしも、マ軍の同僚と不和があったとしても、彼はファンに対する感謝を忘れたりはしない。 むしろ、球団との多少の諍いがあったり、仲の悪い同僚が一人や二人居るのが普通だ。
イチローは、マ軍の若い選手のため、そして、自分自身がもう一度挑戦したいために、 ハードルの高い環境へ、飛び出すことを決意したのだ。 彼の心は、永遠にシアトルにしか無い。 これが、紛れもない真実だ。 |
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