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13.4つの戦略 (注3.) (3) 第1の戦略 『 早指し戦略 』とは。パート1。 この戦略は、将棋を指す人が、一般的に目指す目標であり、実は、本人に戦略としての認識はない。 本筋を見極め、初手から終局まで、一手のミスもなく、最善手を指す。 それを目標に将棋の勉強に励む。 努力を積み重ねる。 そして、目の前の試合に勝つことを優先する。 特に奨励会時代はそうだ。 26歳までにプロ(四段)に成らなければならない奨励会では、勝つことが最優先される。 羽生さんも、七冠制覇までは、この考え方だった。 そう言う意味では、『 一般戦略 』『 基本戦略 』とした方が、妥当な名称なのかも知れない。 では何故『 早指し戦略 』と命名したか。 持ち時間の少ない対局の場合、指し手は直感に頼らざるを得ない。 この直感による指し手は、長年培ってきた基本 ――大局観、理論、手筋、終盤力など―― の 集大成から、一瞬で浮かんでくるものだ。 語弊はあるが、「 本性 」が現れるのだ。 七冠時代の羽生さんの「 本性 」が最も顕著になるとき、それは、早指しのときだ。 よって、『 早指し戦略 』と命名した。 この『 早指し戦略 』は、持ち時間の短い対局の場合だけ使うとは限らない。 持ち時間の長い対局でも使うときがある。 特に定跡化された将棋に多い。 定跡手順に工夫を加えた新手を用意しているときだ。 例えば、渡辺竜王との第23期 竜王戦 第2局の矢倉戦がそうだ。(注1.) 二人は、この後、NHK杯戦で2年連続、この4六銀型矢倉の課題局面で戦っている。 従って、『 早指し戦略 』には2種類ある。 1つ目は、文字通り、持ち時間の短い早指し対局で、自分の直感を信じて指す場合。 短時間で、相手の新手や奇襲戦法、新戦術など、全方位で対応しなければならない。 2つ目は、持ち時間の長い対局で、羽生さん自身が新手を用意している場合。 矢倉、中座飛車、相腰掛銀など定跡化が進んだ将棋が対象だ。 用意している新手は、羽生さんの長年培ってきた「 本性 」の演繹上に在る指し手だ。 そして、この『 早指し戦略 』の中では、「 7つのS 」技術が駆使されることは言うまでもない。(注4.) なお、この『 4つの戦略 』論は、私の独自の仮説である。愚者一得ありとご容赦願います。 *----------*----------* 【注解】 注1.第23期 竜王戦 七番勝負 第2局 羽生善治名人 対 渡辺明竜王 2010年10月26・27日 先手の羽生名人は、前例を離れて、▲1五香と新手を披露したが、残念ながら実らなかった。 この▲1五香のような研究手が、羽生さんの長年培ってきた「 本性 」の演繹上にある手だ。 <59手目 ▲1五香まで> 注2.「 7つのS 」技術 勝又清和六段が発表した羽生分析 注3.「3つの戦略」から「4つの戦略」へ変更 *----------*----------* 【参照】 4つの戦略 (1)はじめに 第1の戦略『 早指し戦略 』とは。パート1 第2の戦略『 新感覚戦略 』とは。パート1 『 ポセイドンの一手 』 『 ヘラクレスの一手 』 第3の戦略『 大山戦略 』とは。実戦例1 第4の戦略『 中原戦略 』とは。実戦例1 中終盤の技術『カオスの一手』 |
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