|
13.4つの戦略 (注5.) (4) 第2の戦略 『 新感覚戦略 』とは。パート1。 『 新感覚戦略 』の説明の前に話しておかなければならないことが3つある。 1つ目は、「最新情報(最新研究)」の取得方法について。 2つ目は、「研究の効用」について。 3つ目は、「課題局面」について。 今回は、「最新情報(最新研究)」の取得方法について。 取得方法には、3つある。 第1.将棋会館で不特定多数の棋士と主に当日の対局を検討する「ワイワイ研究会」 第2.自宅で限られたメンバーとやる「密室研究会」 第3.自宅でパソコンに向って一人でやる「WEB研究」 我らが羽生さんは、棋界一忙しい人である。(注1.) 必然的に、羽生さんの情報の取得方法は「 WEB研究 」しかない。 だから、対局後の感想戦で話された変化手順などの最新情報は全く知らない。 これが、羽生三冠の弱点である。 ところが、今期の勝率が、なんと8割近い!! 直近の4年度間でみても、7割だ!(注2.) 本来なら、5割ちょっと上回る程度でも可笑しくないのだが、・・・ 一体、どんな秘訣があるのだろうか? *----------*----------* 現代の将棋は、「研究と情報」にどう取り組むか、が勝敗を大きく左右する。 昔は、「終盤力」をどう磨くか、が大切であった。 現代では、序盤の差を終盤に挽回できない。 藤井システム、8五飛車、一手損角換、相腰掛銀、矢倉など定跡化が進んだ戦法で戦う場合、 最新情報(最新研究)を知っている方が勝ち、知らない方が負ける。 棋士は、この最新情報(最新研究)の取得を概ね3つの方法で行っているようである。 1番目は、将棋会館に顔を出し、その日に対局されている将棋を不特定多数の皆でワイワイ突き回す。 そうすると、しぜんと、最新情報を取得することになる。 また、タイトル保持者やA級棋士の対局の場合、局後の感想戦に加わって、傍らで聞く。 これを総称して「ワイワイ研究会」と称する。(私が命名した。) 羽生さんは、この方法が一番良いと言っている。対局者が長考したときに、一緒に過すと、何となく 考えていることも解るらしい。(注3.) 2番目は、数人の仲間と一緒に自宅で共同研究を行って、情報を取得する方法。 研究テーマは、色々。ここにはA級棋士も居れば、奨励会員も居る。 これを「密室研究会」と呼ぶ。(私が命名した。) 複数の研究会に所属して、梯子している猛者もいるらしい。 ここでの研究内容は、他の研究会で喋ってはならないという会則が多い。要するに情報非公開だ。 「ワイワイ研究会」は、情報公開だ。 「ワイワイ研究会」「密室研究会」は、時間があればいくらでも参加できる。 四五段クラスの若手や奨励会員、活躍している棋士は、必ず、複数の研究会に所属していると聞く。 3番目は、自宅のパソコンを通してWEBで調べる方法である。称して「WEB研究」。 棋譜DB(棋譜データーベース)を検索して、昨日あった対局や、過去の対局から最新情報を得る。 ただ、棋譜DBは感想戦で話された変化手順などが解らない。 また、共同研究で結論が出てしまい、実戦に現れないまま埋もれた局面があったりする。(注4.) だから、気になる局面を追跡しても変遷が辿れない欠点がある。 従って、「WEB研究」は「ワイワイ研究会」「密室研究会」に劣る。 *----------*----------* 【注解】 注1.棋界一忙しい人。 タイトル戦は、地方での対局が多く、前夜祭や移動日を合せ1局に三四日費やす。 1つのタイトル戦で七番勝負、五番勝負となると、三冠の羽生さんは、年間60日ほど地方で宿泊だ。 なお且つ、他のタイトルの挑戦者にでもなろうものなら、年間90日を地方で過すことになる。 今や、羽生さんの言動は将棋界だけでなく他の業界からも注目されている。 雑誌のインタビューや対談、講演、将棋祭りなどのイベントが目白押しである。 特に最近は、地方での講演、対談、イベントの依頼が多いようだ。 先日も、博多のクラッシック・コンサートでの講演をこなし、大阪梅田で書家・山村龍和氏と 対談を行っていた。 注2.「勝率と年齢」の関係 注3.『決断力』 羽生善治著 角川書店 2005年7月発行 p.129 注4.『将棋世界』誌 2012年9月号 『インタビュー� 羽生善治二冠』 p.9 注5.「3つの戦略」から「4つの戦略」へ変更 *----------*----------* 【参照】 4つの戦略 (1)はじめに 第1の戦略『 早指し戦略 』とは。パート1 第2の戦略『 新感覚戦略 』とは。パート1 『 ポセイドンの一手 』 『 ヘラクレスの一手 』 第3の戦略『 大山戦略 』とは。実戦例1 第4の戦略『 中原戦略 』とは。実戦例1 中終盤の技術『カオスの一手』 なお、この『 4つの戦略 』論は、私の独自の仮説です。愚者一得ありとご容赦願います。 |
全体表示
[ リスト ]





