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13.4つの戦略 (注5.) (4) 第2の戦略 『 新感覚戦略 』とは。実戦例2。 〜 『 ポセイドンの一手 』 〜 羽生三冠の『 新感覚戦略 』2つ目の実戦例。 2年前の第23期 竜王戦 七番勝負 第1局で現れた。 49手目、先手渡辺竜王が▲1二馬と指した局面。 【図1. 49手目 ▲1二馬まで】 渡辺竜王は、次の羽生名人の手を△2四歩か△2五歩と想定していた。 控え室も、同じく△2五歩ではないかと予想していた。(注1.) ところが、羽生名人の指した手は、△2三歩。 これが『 新感覚 』の一手だ。 【図2. 50手目 △2三歩まで】 先手は香得で馬が出来、その上、手番も得た。 従来の感覚、今までの常識からすると、△2三歩は、疑問手、または悪手の部類に入る手だ。 多くの棋士が、『 直感方式 』で、読み捨てた77手に入る。(注2.) すなわち、ほぼ100%、後手が劣勢になる手、のはずだ。 にも拘わらず、いざこの局面を迎えてみると、先手優勢に導く手が見当たらないのだそうだ。 局後、渡辺竜王は 「 △2三歩は見えていなかった。すでに思わしくない。 」 と振り返る。(注3.) 羽生名人の卓越した大局観を見せ付けた一手だった。(注4.) 『 新感覚 』の一手は、決め手ではない。 僅かに優勢にする手だ。 しかし、相手は読み筋にない手だから、驚く。 これが、『 3手のフォーカス 』のうちの1手だったら、 上手くヤラレタなあ、とか、読みが足りなかった、で、済む。 だが、捨てた77手のうちの、それも、Cランク以下に値する手だ。 自分の常識を全面否定され、感覚が破壊された様な衝撃を受けるのだろう。 優劣の差以上に悲観する。 よって、大抵の棋士相手なら、この『 新感覚 』の一手を指すと、羽生さんは勝つ。 前回の実戦例1のように、一連の手が『 新感覚 』の場合と違い、今回のように一手に限定できる場合、 この『 新感覚 』の一手を今後『 ポセイドンの一手 』と呼ぶことにする。 将棋盤という深い海に潜り、深海から探す一手、と言う意味だ。 なお、この図2.の△2三歩は、「羽生善治の分析。その32」で、『 ヴィーナスの一手 』と定義したが、 本日より、『 ポセイドンの一手 』と改める。 *----------*----------* 【注釈】 注1.WEB解説で佐藤康光九段 「予想手順としては、▲1二角成△2五金。・・・△2五金で△2五歩も考えられます。」 図1.の局面で、後手のルール上可能な指し手は、131手(通り)。 うち、▲2二飛成の詰めろを回避する手は、26手(通り)ある。 よって、残りの105手(通り)は悪手だ。 26手のうち Sランクの手 △2五歩 Aランクの手 △2五金、△2四歩、△2五角 Bランクの手 △1一金、△2三金 Cランク以下 前述以外20通り 注3.感想戦で渡辺竜王 「△2三歩は見えておらず、△2四歩や△2五歩ならやれるという認識でした」 注4.WEB解説で佐藤康光九段 「△2三歩とじっと受けました。後手を引くので指しにくいかと思いましたが、 これで十分と見ているのでしょうか。驚異の大局観です。」 注5.「3つの戦略」から「4つの戦略」へ変更 *----------*----------*
【参照】 4つの戦略 (1)はじめに 第1の戦略『 早指し戦略 』とは。パート1 第2の戦略『 新感覚戦略 』とは。パート1 『 ポセイドンの一手 』 『 ヘラクレスの一手 』 第4の戦略『 中原戦略 』とは。実戦例1 中終盤の技術『カオスの一手』 |
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