|
13.4つの戦略 (注3.) (4) 第2の戦略 『 新感覚戦略 』とは。実戦例2の続き。 〜 『 ヘラクレスの一手 』 〜 第23期 竜王戦 七番勝負 第1局の50手目、羽生名人の△2三歩が『 新感覚 』の手で、 名付けて『 ポセイドンの一手 』だと前回説明した。 【図1. 50手目 △2三歩まで】 この後、 ▲5六香 △6四飛 ▲2四歩 △同歩 ▲5三香成△2三金打 ▲1四香 【図2. 57手目 ▲1四香まで】 と進み、局後の感想で渡辺は、 「 (▲1四香)このくらいしか無いのでは自信ありませんね 」 と先手の劣勢を認めた場面だ。 従って、これからの数手の中に、後手が勝つ「 決め手 」があるかも知れない。 控え室では、次の羽生名人の手を△7六歩か△1四金と想定していた。 早咲アマは、理論的に「△1一歩は絶対にやらない」と力説した。(注1.) ところが、羽生名人の指した手は、△1一歩だった。 【図3. 58手目 △1一歩まで】 これが成立するなら、これも『 新感覚 』の一手だ。 従来の感覚、今までの常識からすると、△1一歩は、限りなく悪手に近い。 弟子が指そうものなら昔の師匠は、即、破門にするだろう。 この△1一歩は、△2三歩以上に重罪の可能性が高い。 なぜなら、相手は黙っていても▲2三馬と切る可能性が高いのに、わざわざ△1一歩と打つのは無駄だ。 そんな無駄な一手を指すより有効な手を別に指した方が良いに決まっている。 多くの棋士が、『 直感方式 』で、読み捨てるであろう77手に入る。(注2.) 少なくとも、プロA級まで、こんな手は真っ先に切り捨てる感覚を身に着けるべきだ。 絶対真似をしてはならない。 では、なぜ羽生名人は△1一歩を指したか? それは、▲2三馬を強要したかったのだ。 先手の他の選択肢を消したのだ。 そして、その先にギリギリだが相手の切っ先を見切って勝つ順があると、踏んだ強引な一手なのだ。 これこそ、神様以外には指せない、『 神の一手 』だ。 WEB解説で佐藤康光九段も、△2三歩から△1一歩の構想に感心していた。 大抵の棋士相手なら、この『 新感覚 』の一手を指すと、羽生さんは勝つ。 そして、この△1一歩は、「 決め手 」と賞賛されていたはずだ。 しかし、渡辺竜王にだけは、通じなかった。 ここから底力を発揮されて逆転負けを喫した。 残念!! 今までの常識に無い『 新感覚 』の一手、その中でも「 決め手 」級の強引な一手。 これを今後『 ヘラクレスの一手 』と呼ぶことにする。 *----------*----------* 【注釈】 注1.WEB解説で早咲誠和アマ(当時アマ竜王。アマ竜王通算3期) 「ここで△1一歩は絶対にやらないです。そうやって勝ちに行くのはおかしい。 飛車、馬、香を相手にして勝ちにいく手は指しません。△5二歩もおかしい。 △7六歩が本筋です。」 図2.の局面で、後手のルール上可能な指し手は、104手(通り)。 うち、大悪手と思われる手が、36手(通り) 無駄と思われる手が、46手(通り)、合計82手(通り)ある。 よって、残りの22手(通り)が有効そうな手だ。 22手のうち Sランクの手 △7六歩 Aランクの手 △1四金 Bランク以下 前述以外20通り 注3.「3つの戦略」から「4つの戦略」へ変更 *----------*----------* 【参照】 4つの戦略 (1)はじめに 第1の戦略『 早指し戦略 』とは。パート1 第2の戦略『 新感覚戦略 』とは。パート1 『 ポセイドンの一手 』 『 ヘラクレスの一手 』 第3の戦略『 大山戦略 』とは。実戦例1 第4の戦略『 中原戦略 』とは。実戦例1 中終盤の技術『カオスの一手』 なお、この『 4つの戦略 』論は、私の独自の仮説です。愚者一得ありとご容赦願います。
|
全体表示
[ リスト ]





