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13.4つの戦略 (注3.) (5) 第3の戦略 『 大山戦略 』とは。実戦例1。 〜 第60期 王座戦 五番勝負 第2局 〜 羽生の『 大山戦略 』の初の採用局が、第60期 王座戦 五番勝負 第2局である。 このことは、以前に述べたので、具体的内容は割愛する。(注1.) 『 大山戦略 』の要諦の第1は、 相手に先攻させる である。 この戦略の本家である大山十五世名人のライバルの升田幸三も、本来、相手に動いて貰った方が 勝ち易いと語っている。(注2.) 相手は、先攻して、やや有利な局面を作れば、当然、勝ち切らねばならないと考える。 しかし、「 やや有利 」とは、微差である。 プロとは言え、神様ではない。 必ずチャンスが巡ってくる。 よって、受身の戦術(戦型)が必要である。 それが、大山康晴十五世が、振飛車を多用した理由だ。 『 大山戦略 』の要諦の第2は、 相居飛車、相振飛車にしない である。 矢倉のようにお互いの飛車角の射程に玉を囲い、攻め合いをするのは、3つの損がある。 1.一方的に攻め切られ、負かされることがある。 2.流れ弾に当たることがある。 3.駒の渡し方により、攻守が複雑になる。振り飛車の方が単純である。 矢倉のような相居飛車の戦いは、集中力、体力、根気が充実して、読むことが苦にならない二十代の頃でないと 苦労する。 勿論、四十代、五十代になっても矢倉を得意としている棋士はいる。 羽生さんも、若手相手に矢倉でも、中座飛車、相掛など、指す。 しかし、二十代の自分が蘇り、四十代の自分を相手に、終盤の読み比べをしたら、勝てない。 羽生さんは、第60期 王座戦 五番勝負 を機に、対渡辺竜王のみに限り、割り切った。 渡辺竜王に勝とうとするなら、相居飛車の戦いは不利だ。 特に後手番で。 『 大山戦略 』の要諦の第3は、 最初のチャンスは見送り、万全の態勢で待つ である。 要するに、自ら急戦はやらない、と言うことだ。 相手が急戦を仕掛けてくる分には構わないのだが、スキありとばかり、自から急戦を仕掛けない。 玉を囲い、端歩を突き、桂馬を跳ねて、万全の態勢で、相手の攻めを待つ。 『 大山戦略 』の要諦の第4は、 ただ単に、相手に先攻させるだけではダメで、 その間に、ゆっくりではあるが、確実な攻めを見せる。 である。 これは、一見遅そうな攻めで、相手の攻めが順調に行けば、一手負け、あるいは二手足りない攻めなのだ。 要するに、相手にプレッシャーを与え、安心させないことが狙いだ。 注2.升田幸三語録 「 弱いものを相手にする場合は、相手にやらせることが大事です。 」 「 自分ばかりが動いて勝つというより、その勝ちを手伝わせるんですな。 」 『勝負』 升田幸三著 成甲書房 2001年2月10日発行 p.65 ( 1970年サンンケイ新聞社より刊行された同書名の復刊 ) 注3.「3つの戦略」から「4つの戦略」へ変更 4つの戦略 (1)はじめに 第1の戦略『 早指し戦略 』とは。パート1 第2の戦略『 新感覚戦略 』とは。パート1 『 ポセイドンの一手 』 『 ヘラクレスの一手 』 第4の戦略『 中原戦略 』とは。実戦例1 中終盤の技術『カオスの一手』 大山康晴の強さの秘密(1) |
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