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私は囲碁9路盤から卒業できない初心者で、囲碁界のことは『ヒカルの碁』での知識くらいしかない。 囲碁を国際的に見ると、トップを韓国中国の二国が争っていて、日本は三番手のようだ。(注1.) 残念に思って眺めている日本人は、多いだろう。 ここ二十年、国際棋戦で日本の囲碁棋士が勝てないのは、なぜか? この疑問に、張栩(チョウウ)棋聖(当時)が、羽生三冠との対談で答えてくれた。(注2.) 要点をまとめると、次の10点のようだ。 中国韓国では 1.低年齢化が進んでいる。・・・二十代半ばが一番強く、三十歳を超えると活躍できなくなる。 碁は簡単に強く成れるものではないと思っていたが、世界では十代で強い子がいっぱいいる。 2.訓練方法が確立している。・・・読みの力と寄せの力を徹底的に勉強。1日10時間以上勉強している。 3.層が厚い。・・・囲碁棋士を目指す子供が多く、優秀な子が増えている。 4.布石に必要な経験とか感覚的なことは無視して、記憶力を活かした若さの強味を全面的に押し出している。 5.体力、集中力、瞬発力を徹底的に鍛えぬき、その厳しい競争の中から出てくる子は、自然とそれ以外の何か を備えている。それは、独特の感性とか優れた感覚とか。十代では信じられないレベルの高さ。 6.経験不足による弱い部分がなるべく出ないような碁を打ってくる。 7.高いレベルの若手が集って、共同研究をし、布石の流行形を徹底的に研究しつくしている。 日本では、高いレベルの棋士が集って、共同研究なんかしない。 8.布石でも、相手が避けにくいことをやってくる、それなりに必然性があって、それを避けると不利になる。 日本の棋士は、 9.新しい手、新しい発想を考えるところに魅力や遣り甲斐を感じているが、それは勝利には直結しない。 10.日本のタイトル保持者が国際棋戦に参加するのは、日程的にきつい。 (日本の囲碁界は、国際棋戦をエキシビジョン的に考えている。) この張棋聖の話から想像すると、日本と中国韓国の国際棋戦に対する考え方が根本的に違うことが伺える。 中国韓国は、国際棋戦を国内棋戦より上位に考えている、と思われる。 従って、国対国で勝つことが最重要であり、まず、外国に勝つ研究が最優先されている。 例えば、韓国の場合、日本と中国の布石を研究し、本来範囲の広い段階の布石を、狭い範囲に追い込む手順を 徹底的に共同研究している。 日本人を相手だとA手順、中国人相手だとB手順、というような。研究範囲内に持ち込む。 要するに、決勝、準決勝に残るのが韓国人ばかりになればいいのだ。 個人戦ではなく、団体戦と考えている。 布石は、手が広く経験が物を言う。 囲碁は、一手の価値が、序盤で15目から30目くらいあるが、終盤になると1目、半目の勝負になるそうだ。 だから、布石で争うと中押し勝ち、中押し負けになる可能性がある。 経験の浅い若い人が、勝つ為には、布石で勝負せず、接近戦に持ち込む必要がある。 従って、布石を狭い範囲に追い込む必要があるのだ。 その為に研究をしている。 目的が明確だ。 日本棋院は、国際棋戦をエキシビジョン的な催しと捉えて、勝敗イコール実力とは考えていないそうだ。 だから、国際棋戦に対する特別な対策、作戦など一切考えていない。 対策を施している国と、考えてもいない国では、前者が有利だ。 いくら世界棋戦が持ち時間の短い早碁とは言え、負けてしまえば、事実として残り、世間に広告される。 となると、それを二十年間も放置している原因は、日本棋院にありそうだ。 *----------*----------* 【注解】 注1.国際棋戦の成績 「囲碁世界タイトルの獲得者一覧」から拾うと、日本の棋士が権威を示せたのは、1992年の大竹英雄までだ。 それ以降、二十年間、韓国と中国にトップの座を譲り、三番手に甘んじている。
[囲碁世界タイトルの獲得者一覧 2011年8月14日現在]
注2.張栩棋聖(当時)と羽生三冠との対談 『将棋世界スペシャル2 羽生善治』 2013年2月15日発行 日本将棋連盟 p.20〜30
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