将棋の茶店「芹沢鴨?」

将棋は大切な日本文化の一つ。将棋界が羽生(はぶ)さんを得たことは、天恵です。

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退会者は、四段昇段者より、遅く三段リーグに入り、長く在籍し、そして、最後退会する。

退会者がその後、就職するには、条件が悪い、と前回書いた。

では、早く見切りをつけられなかったのか?

もっと、早い時期に進路変更できなかったのか?

これが今回のテーマだ。


短絡的な想像で言ってしまえば、

夢を追うがあまり、ついつい深入りをしてしまった。

と言う結論に辿り着くような気がするが、・・・

次のグラフは、昇段者、退会者の両方、すなわち、三段リーグ在籍者全員の中で、
6期以上在籍した人を対象とし、通算勝率別に人数をプロットしたものだ。

(第11回〜第53回。昇段者 46人、退会者 49人。合計95人。)


イメージ 1


茶色の棒が昇段者、青色の棒が退会者。

昇段者の中には、通算勝率.350〜.440の間で昇段している人が3人いる。

この3人は、超ラッキーな人達で、例外として考える。

従って、

通算勝率.440以下では、昇段出来ない!


逆に通算勝率.550以上で退会者は一人もいない。

従って、

法則2:通算勝率.550以上なら、必ず四段になれる!



なんと、通算勝率.550。

意外と低い。

私は漠然と.667以上ではないかと考えていた。

なぜなら、二段までは、良いとこ取りとは言え勝率.700以上だからだ。

勿論、18戦中13勝は勝率.722なので、納得か。

ただ、初参加で力量不足だった者にとっては、この.550の壁は山のように高い。


*-----*


例えば、8期在籍した阿部健治郎(現五段)は、典型的な在籍中に実力を伸ばしたタイプだ。


イメージ 2


表を見て解る通り、前半の4期は、勝率.458と負越している。

しかし、後半.653と見事な成績、そして通算.556と絶対合格ラインの.550を上回った。

右肩上がりの素晴しい成長振りだ。

7期目に次点、8期目に13勝で、これも絵に描いたような模範的な合格の仕方だ。


こうして見ると、8期(4年)が、決して長く感じないから不思議だ。

大学も4年である。

専門的なことに習熟しようと思えば4年は最低必要な時間なのかも知れない。

私は彼のようなタイプを”努力型”と命名している。


*-----*


次に15期在籍した佐藤慎一(現四段)の三段リーグの成績を見てもらいたい。


イメージ 3


15期中、負越しが9期!

最初の4期など勝率.300台だ。

惨憺たる成績だ。

最後の15期目の直前の2期も負越している。

勿論、通算勝率は.500に到底及ばない。

本来なら退会する成績だろう。

ところが、15期目で15勝と大爆発した。

私はこれを”爆発型”と命名しているのだが、爆発型の中でも見事なほど典型的だ。

今までの成績からは想像できない様な成績を突然弾き出す。

それも15勝は、出現率1.3%の超難易度の高い勝数である。

正しく大爆発だ。

更に、彼の場合は、年齢制限の26歳を迎えた期で爆発した。

これがあるから、辞められない。

そして、意外にも、このタイプが多いことを発見した。


*-----*


8期在籍した阿部の”努力型”と15期在籍した佐藤の”爆発型”を見て頂いた。

私の想像するところ、どちらも必死の努力を積み重ねていたことには変りないのだろうが、

成績の現れ方が、違うのだと思う。

【結論】

長く在籍することは、努力型にとって、勉強時間として必要であり、

爆発型とって、じっと獲物を狙うハンターの如く、

昇段のチャンスが巡り巡って来るのを待つ時間として、やはり必要なのだ。

今回のテーマの「 早く見切りをつけられなかったのか? 」の疑問は、

「 夢を追っていて深入りした 」と言う盲目的なものではなかった。

年齢制限ギリギリのところにも、チャンスは転がっているのだ。

それだけに、見切りの判断は難しいと感じた。


勝数について調べた項で「三段リーグは、13勝を巡る過酷な戦いである」と結論づけた。

これはリーグ1期(1回)のことを言ったものだ。

今回は、思うように勝てない新三段へのアドバイスを一つ。

三段リーグとは、通算勝率.550を超える為の道場と覚悟すべし。


参考になれば幸いだ。

*----------*
【雑感】

まあ、これは将棋を目指す者だけに限ったことではない。

プロ野球選手に憧れ、テスト生として合格したまでは良かったが、二軍のままで終った人は数えきれないだろう。
あるいは、ドラフト指名で入団しながら1年目に少し姿を見ただけでいつの間にやら去って行った選手まで含めれば、山ほどいるだろう。

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【統計の解説】

現在、第54回を迎えているので、発足して27年目である。

統計は、第11回(1992年)〜第53回(2013年)までの43期分、約22年分である。

第1回からの統計にしなかった理由は、次の3点である。

1.第1回在籍者の在籍期間が、1期となってしまい数値として不適当になる。

2.第1回は17名、第2回は16名と少なく18戦になったのは第3回以降。

3.構成員が30名を超えるのは第11回以降。

よって、今回、統計をとるに当って第10回以前を除外した。

また、昇段、退会に関する規約が途中変更されている。(注1.)

次点2回者も同等の昇段者として扱い統計に加えた。

なお、編入試験で四段になった瀬川晶司氏は、三段リーグで退会者として扱った。

また、同じく編入試験で三段リーグへ再度参加した、今泉健司氏は、通算した。

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【注解】

注1.昇段、退会に関する規約が途中変更

 1997年以降次点を2度取ったものは、フリークラスの四段に昇段する権利を得る。
 奨励会発足時は年齢制限がなかったが、1968年に「満31歳の誕生日までに四段に昇段できなければ奨励会を退会」
 という規定を 設ける。その後、1982年に満26歳に引き下げられてた。1994年に次の延長規定を追加する等して現在に至る。
 満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに四段に昇段できなかった者は退会となる。
 ただし三段リーグで勝ち越しを続ければ満29歳を迎えるリーグ終了まで延長して在籍できる。
 年齢・勝ち越し条件に関係なく三段リーグに5期(2年半)在籍できる。

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