将棋の茶店「芹沢鴨?」

将棋は大切な日本文化の一つ。将棋界が羽生(はぶ)さんを得たことは、天恵です。

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三段リーグ突破者(四段昇段者)90名の成績には、それぞれ特徴があって、7つのタイプに分類できる。

と前回書いた。

今回から、意味や分類基準、具体的棋士を順次説明していく。

それでは、天才型のタイプから見て頂こう。


【天才型】

最近、テレビのクイズ番組が多くなった。

その中でも出色なのが、年1回ある『 頭脳王日本一決定戦 』だ。(注1.)

我々視聴者は勿論、普段、クイズ番組で好成績を出す芸能人も全く及ばないレベルの争いだ。

東大医学部、京大医学部、東大首席卒、世界数学五輪金メダリスト、全国模擬試験偏差値1位とか、

普段、我々がお目にかかれない本当の”天才”同士が争うクイズ番組。


この”天才”達のエピソードを聞いて、我が将棋界にも匹敵する人物が浮かんだ。

糸谷哲郎六段(25歳)だ。


彼は、三段リーグを僅か3期で抜けた。

これだけでも、凄い!と崇めだいところだが、そんな程度ではない。


高校2年3学期の終りに四段昇段を決め、その年の新人王戦にも優勝。

高校3年の棋士1年目、将棋大賞連勝賞と新人賞の2つを受賞。

そして、同時並行で受験勉強をしており、翌年、大阪大学に合格しているのだ。

現役棋士が国立大学に受かったのは、彼が初めてだ。

元奨励会幹事の畠山鎮七段は、糸谷のことを「頭の回転に指がついてこない」と表現している。

一番的を射ているだろう。

まあ、書き出したらキリがない、詳しくは、下記プロフィールをご参照願う。

デビュー当時、彼の言動や奨励会時代の反則負けなどがユニークで、話題に上ったが、

彼は正しく”天才”であり、将棋界の宝である。


では、彼の三段リーグでの成績をご覧願おう。


イメージ 1


初参加でいきなり13勝を上げたが、30位だから昇段できなかった。

しかし、これで順位を上げて翌期は次点、そして3期目に見事突破した。

もう、これこそホップ・ステップ・ジャンプである。

勿論、負越しなし。通算勝率は、.722だ!

誰もが夢にまで見る卒業の仕方だろう。

おそらく本人は1期抜けの積りだったから、不満だろうが・・・(笑)

天才型は、次の条件をクリアした者だ。

1.1期抜けで20歳以下。

2.3期以内に抜けて、17歳以下、通算勝率が0.600以上。

3.5期以内に抜けて、16歳以下、通算勝率が0.600以上。

上記各条件に加えて昇段時の勝数が13勝以上。
この条件に当て嵌った者が16名いる。

ここでの”天才”の定義は、あくまでも三段リーグの成績に準じたもので、

10年後の彼らを知っている現在の我々の基準ではない。


このうち、17歳以下で棋士になったのは、年少順に次の表の通りだ。

彼らは、間違いなく天才型である。(注2.)


イメージ 2


あれ!?

羽生、森内、佐藤など羽生世代は?

と疑問に思われるかも知れないが、羽生世代は、第10回以前に四段になっているので、

この統計には含まれていない。

辛うじて、久保の名前が見える程度だ。


ご存知の通り、渡辺明は史上4人目の中学生棋士だった。

惜しいのが、佐々木勇気で、1期早ければ史上5人目の中学生棋士だった。

よく見ると阿部光瑠、豊島将之も、中学生棋士の可能性が高かった。

はっきり言って、中学生も高校1年生も大差ないと思うのだが、ニュースネタとしては違うのだろう。

間もなく24歳の豊島の活躍は、若干物足りないのかも知れないが、佐々木、阿部は、今後、楽しみである。


昇段者の平均在籍期間は6.5期だ。

そんな中にあって3期以内で突破した者を表にまとめた。


〔 1期突破者 3名 〕
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〔 2期突破者 7名〕
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〔 3期突破者 7名〕
イメージ 5


17歳以下の年少表メンバーとは異なるし、1期で抜けた者の中に18歳以下がいない。

驚くのは、勝率7割を超える者が、僅か6名しか居ないことだ。

当然、対象者183名のうちの6名だ。3.3%の出現率だ。

なぜ、驚くかと言うと、二段までの昇級昇段条件が、7割以上だからだ。

どうも、良いとこ取りの勝率とリーグ18戦の勝率では、数値が大きく異なるようだ。


この1期抜けから3期抜けの計17名のほとんどが天才型だが、

2期突破者の吉田と上野は、年齢で晩成型に分類した。

北浜は、昇段時の勝数が12勝だったのでラッキー型へ分類した。

3期突破者の行方、藤倉も、年齢で除外した。

三浦は、通算勝率が0.600を下回るので秀才型へ分類した。

これに4期抜けの佐々木勇気、阿部光瑠、中村太地、菅井竜也、5期抜けの豊島将之を加えて、

計16名の天才型のメンバーである。

年少表にいる山隆之は、リーグ卒業に5期かかり12勝で突破したのでラッキー型に分類した。

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【天才型メンバー 16名】

渡辺明
永瀬拓矢
佐々木勇気
豊島将之
阿部光瑠 (注2.)
久保利明
糸谷哲郎
菅井竜也
阿久津主税
中村太地
澤田真吾
中村亮介
高見泰地
松尾歩
三枚堂達也
川上猛

<年齢勝率順>

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【主な羽生世代の四段昇段時の成績】

参考の為に、羽生世代の四段昇段時の成績と年齢を表にした。

特筆すべきは、屋敷(現九段)で、16歳での1期抜けである。

申し分なく、天才型だ。

その彼が、高々C級1組で14年間も苦しむなんて誰がこのとき想像しただろうか。


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【プロフィール】

糸谷 哲郎(いとだに てつろう)六段

1988年10月5日生。25歳。広島県広島市出身。森信雄七段門下。
順位戦C級1組。竜王戦3組。
〔優勝経歴〕
2006年、第37回新人王戦で優勝
2009年、第59回NHK杯準優勝
2010年、第60回NHK杯準優勝


奨励会入会が、10歳のとき、6級。
第36回三段リーグ(2004年10月〜2005年3月)が初参加。16歳、高校1年生2、3学期のときだ。
最下位30位で、いきなり13勝を上げ、次期順位4位と躍進。
次の第37回三段リーグ(2005年4月〜2005年9月)、16歳、高校2年生1学期のとき。
12勝を上げ、次期順位3位とワンランク伸ばした。
そして、17歳、高校2年生2、3学期のとき、第38回三段リーグ(2005年10月〜2006年3月)で14勝、1位突破。
2006年4月1日付で、晴れて四段となった。

同時に17歳、高校3年生の1学期が始った。
受験勉強もやったことだろう。
翌年、見事、国立大学受験合格、2007年4月1日、大阪大学文学部哲学科へ入学した。

ところが、棋士1年目の彼は、第37回新人王戦(2005年11月〜2006年10月)で優勝。
三段のときに参加して、その間に四段昇段し、優勝した。
また、全棋士中1位となる公式戦14連勝も記録。将棋大賞の連勝賞・新人賞を同時受賞するというデビューだった。

現役プロ棋士が国立大学に合格・進学したのは初めて。
因みに同門の片上大輔(現六段、32歳)は、東京大学在学中に四段になった。
片上は10期かかっている。
さらに糸谷は、2011年、大阪大学大学院に進学した。
読書家で、司馬遼太郎は小学校の時にほぼ全て読破したらしい。

非常に珍しい反則負けを演じたことで有名。
奨励会時代(12歳当時)に、佐藤天彦(現七段)との対局で、取った駒を相手の駒台に置いてしまい、
当時の奨励会幹事であった井上慶太に自ら申告し、裁定の結果、反則負けとされた。
糸谷は、悔しさのあまり泣いたのだが、井上が「お前、将来名人になったら、今日の反則負けが有名なエピソードになるで!」
と慰めると、糸谷はニコッ笑って「そうですかねえ」と機嫌を直したそうだ。(笑)

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【統計の解説】

現在、第54回を迎えているので、発足して27年目である。
統計は、第11回(1992年)〜第53回(2013年)までの43期分、約22年分である。
第1回からの統計にしなかった理由は、次の3点である。
1.第1回在籍者の在籍期間が、1期となってしまい数値として不適当になる。
2.第1回は17名、第2回は16名と少なく18戦になったのは第3回以降。
3.構成員が30名を超えるのは第11回以降。
よって、今回、統計をとるに当って第10回以前を除外した。
また、昇段、退会に関する規約が途中変更されている。(注3.)
次点2回者も同等の昇段者として扱い統計に加えた。
なお、編入試験で四段になった瀬川晶司氏は、三段リーグで退会者として扱った。
また、同じく編入試験で三段リーグへ再度参加した、今泉健司氏は、通算した。

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【注解】

注1.『 頭脳王日本一決定戦 』

 日本テレビ 2013年12月13日放送 
 全国大会予選を勝ち抜いた8人が、準決勝進出で4人に絞られ、決勝では2人で戦う。
 出題される内容は、数学、物理は勿論のこと、生物、天文、世界史、日本史、政治、音楽、絵画、
 そして、社会まで全般に亘る。
 問題の詳細を知りたい方は、こちらへ。


注2.阿部光瑠

 彼は通算勝率.528で6割を下回るが、16歳だったので特別に加えた。

注3.昇段、退会に関する規約が途中変更

 1997年以降次点を2度取ったものは、フリークラスの四段に昇段する権利を得る。
 奨励会発足時は年齢制限がなかったが、1968年に「満31歳の誕生日までに四段に昇段できなければ奨励会を退会」
 という規定を 設ける。その後、1982年に満26歳に引き下げられてた。1994年に次の延長規定を追加する等して現在に至る。
 満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに四段に昇段できなかった者は退会となる。
 ただし三段リーグで勝ち越しを続ければ満29歳を迎えるリーグ終了まで延長して在籍できる。
 年齢・勝ち越し条件に関係なく三段リーグに5期(2年半)在籍できる。

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【修正記録】

2014.02.08 分類を6種類から7種類へ、天才型を15名から16名へ変更した。

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片上さんが東大だから。まあ、大学受験は何のとりえもない人間がすることだけどね。

2015/11/22(日) 午後 8:28 [ 京大生 ]


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