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無事、三段リーグを突破して棋士になっても、皆が皆、活躍をしている訳ではない。 果してどの様な成績を残しているのだろうか。 棋士の現役年数と段位の関係を調べてみた。 段位は、九段が最高であり、羽生三冠のように80期以上もタイトルを獲得しても、九段である。 これでは比較できないので、仮説段位を設定した。 その仮説段位基準表が、下の欄の表3である。 これに基づいて、四段昇段後、10年以上経過した棋士127名の段位を再度設定し直した。 その結果、羽生三冠は24段、谷川は18段、森内、佐藤、渡辺は15段となった。 異論やご不満がお有りかと思うが、お赦し願う。 分布図にしたのが、図1である。 〔図1. 年数と仮説段位の関係〕 殆どが七段クラスで棋士人生を終えることが解るだろう。 羽生、谷川、渡辺、佐藤、森内を代表するようなAパターン棋士は、127名中僅か8名である。 A級まで昇り、その後、徐々に下降をみせるBパターン棋士を含めても2割程度である。 約8割は、Cパターン棋士である。 最高B級2組ぐらいまで行って、後は下降線を辿る。 もう少し詳しく見て見よう。 表1は、四段昇段時の年齢毎に仮説段位別に127名を分類したものである。 〔表1. 四段年齢別仮説段別人数〕 皆さん、ご存知の様に、棋士に成るのが若ければ若いほど、将来大活躍する。 この伝説は、やはり本当である。 表を見れば解る。 16歳以下で四段になった者は、必ず、タイトル奪取すると断言できる。「 中学生棋士 」と評判になるのは、この法則があるからだ。 17歳で四段になった者は、最低八段になれる。 18歳で四段になった者も、大概八段になれる。 しかし、19歳からは半々である。 20歳を超えて四段になった者は、タイトル奪取もA級も不可能である。 そんなあ! と、顔を背けられるかも知れないが、厳然たる事実である。 前にも説明したが、20歳を超えて四段になり、タイトル奪取したのは、高橋九段と藤井九段の2人だけである。 20歳で四段になり、A級へ昇級したのは、他に鈴木大介八段がいる。 21歳を超えて四段になり、A級へ昇級したのは、木村八段唯一人である。(注2.) 彼ら4人は、例外である。 従って、 17歳までに三段リーグを突破できなければ、タイトルは望めない。 19歳までに三段リーグを突破できなければ、A級にはなれない。 よって、奨励会員は、高校2年生で大学進学の最後の決断をすべきである。 *----------*----------* 【グラフの説明】 今回の統計は、今までとは違う期間を対象としている。 1976年(昭和51年)以降四段昇段し、10年以上経過した棋士127名を対象として調べた。 ( 2014年1月31日現在 ) 従って、大山、升田、中原、米長などは含まれず、丁度、谷川世代以降から渡辺世代までが対象となる。 よって、四段昇段後、40年近く経つ人と10年しか経過していない人が混在する。 近年で最も出世したのは、言わずと知れた渡辺明である。昇段後14年で15段である。 引退した棋士は、自身の生涯最高段位であり、若い棋士は発展途上であり低い段位となる。 従って、必ずしも実力を表しているものではない。 A、B、Cの折線は、順位戦の在籍クラスに応じて段位を変化させた値を表したもので、 各年の実力を表している。 サンプルにしたのは、127名の対象者と関係なく、 Aタイプ=大山十五世、中原十六世をイメージした線である。 Bタイプ=順位戦A級に21年在籍し、55年間現役だった棋士 Cタイプ=最高B級2組で七段になり、30年間現役だった棋士を描いた。 *----------*----------* 【表1の説明】 羽生、谷川、渡辺、佐藤、森内を代表するようなAパターン棋士は、127名中僅か8名、6.3%である。 A級に5期以上在籍し、タイトルを2期以上取った者を含めると、19名、15%。 一度でもA級に昇り、一度でもタイトルを取ったものは、27名、21.3%。 残り約80%が、A級にも、タイトルにも縁がなかった者である。 この80%の中には、四段になってから10年余りの若手も居る。 よって、ここで評価するには早計だと指摘されるかも知れないが、 あとA級に上がってくる可能性のある棋士は、3人程度だ。 具体的には、阿久津七段、山崎八段、村山六段だ。(注1.) 大勢に影響はない。 *----------*----------* 【段位】 段位は、将棋連盟で決められた規定によって昇段する。(表2参照) 〔表2. 昇段規定表〕 一旦昇段した段位は、下がることはない。 よって、実力が衰えても、自身の最高段位のままである。 また、勝ち星を重ねると規定により段位が上がるので、実際の順位戦クラスは下位でも六段七段が可能である。 段位は、九段が最高であり、タイトルを一度も獲得することなく九段の棋士も居れば、羽生三冠のように 80期以上もタイトルを獲得しても、九段である。 これでは比較できないので、現在の段位、引退時の段位(贈位は除く)に加えて、タイトル獲得数や A級在籍期間に応じて段位をプラスして、仮説段位を設定した。 その仮説段位基準表が、次の表3である。 〔表3. 仮説段位基準表〕 *----------*----------* 【注解】 注1.阿久津七段、山崎八段、村山六段 阿久津は、4月からA級なので、この統計ではまだB級1組扱い。 ちなみに広瀬章人は2005年4月、佐藤天彦は2006年10月、片上大輔2004年4月に四段なので、対象外。 注2.高橋九段、藤井九段、鈴木八段、木村八段 藤井猛九段は、20歳6カ月の四段。竜王3期、一般棋戦で7回優勝。 第1回三段リーグ以降、20歳を過ぎて棋士になった者がタイトルを奪取したのは、彼のみ。 谷川世代にまで遡ると、高橋道雄九段がいる。20歳1カ月の四段。 十段、王位、棋王など計5期、一般棋戦で3回優勝。 20歳を過ぎて棋士になった者の中に、一般棋戦での優勝は、この2人以外にもいるが、七大タイトルでは 高橋と藤井だけだ。 鈴木大介八段は、20歳2カ月での四段。タイトルこそ取っていないがA級は、3人目。 127名中、20歳以上でのA級は、4名だけである。 *----------*----------* 【参考】 その1。はじめに
三段リーグ。その2。勝数 三段リーグ。その3。在籍期間 三段リーグ。その4。続・在籍期間 三段リーグ。その5。在籍期間と勝率 三段リーグ。その6。タイプ別 三段リーグ。その7。天才型糸谷 三段リーグ。その8。秀才型鈴木 三段リーグ。その9。晩成型西川 三段リーグ。その10。我慢型斉藤、佐藤天 三段リーグ。その11。努力型木村 三段リーグ。その12。爆発型 三段リーグ。その13。ラッキー型 三段リーグ。その14。特異な人。伊藤 三段リーグ。その15。在籍者。宮本 三段リーグ。その16。在籍者。都成 三段リーグ。その17。大卒棋士 三段リーグ。その18。10年後 三段リーグ。その19。第54回 三段リーグ。その20。星野、宮本が新四段に! その21。特異な人。1期抜け その22。特異な人。阿部光瑠 その23。特異な人。三浦 その24。特異な人。片上 その25。総括 追伸その1 追伸その2 第59回最終例会。藤井新四段誕生! |
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どうやって、「仮説段位」なんて思いつくんですか?
銀桂さんは、将棋のデータに強いですね。
大したもんです。
オリジナルなグラフや表をしょっちゅう作成しておられるので
素晴らしいなあ、と思っています。
NHK杯、郷田9段が決勝に進出しましたね。
もう一人は、丸山9段でしょうか?
それとも、大石6段でしょうか?
個人的には、羽生3冠、屋敷9段を撃破した大石6段が優勝すれば
面白いなあと思っています。
何せ、2014年の4月21日までは、4段だったんですからね。
≪大石4段のプロの経歴≫
2009年4月1日 四段
2013年4月22日 五段
2013年5月15日 六段
若手の活躍は、業界を活気づかせますからね。
いかがでしょうか?
2014/3/2(日) 午後 8:06
いやー、仕事が暇なんですよ。
まあ、それに統計とるのが好きなんです。
今後も、お付合い頂けたら嬉しいです。
関西の私としては、NHK杯決勝戦が、西川vs大石だったら、嬉しかったんですけどね。
郷田9段は、流石A級。
簡単に勝たせてもらえませんでした。
解説の内藤9段が「西川四段は今年一番成長した」と感心していましたが、大石6段も、随分成長したんですけどね。
来週、決勝戦へ進むのは、丸山9段か、それとも、大石6段か。
楽しみです。
「将棋界の一番長い日」が今年からタイトル戦並に旅館で行われるのに、挑戦者も陥落の一人も決まっちゃったなんて、残念ですね。
毎年、オーラスで決まるのに・・・。
それも陥落の一人が、注目の谷川9段だなんて、興味の5分の4が失われた感じです。
しかし、将棋ファン30年やってますと、まだまだ興味深い点があると思います。
残留者も陥落者も、来期の順位1つが運命を分けますから。
ここで消化試合だなんて気を抜いたら、来期、あるいは来々期に、必ず、スナックのママから請求が来ます。フフフ
それは、三段リー
2014/3/2(日) 午後 11:22 [ 銀桂一行 ]
仮設段位基準表に三浦九段が載っていないのは故意なのでしょうか。証拠のない誹謗中傷が関西から始まっているので、勘ぐってしまいます。
2017/3/14(火) 午前 7:35 [ 名誉 ]
名誉さん
この記事は、3年間のもので、三浦九段を載せていない意図はありません。
漏れを指摘すれば、内藤國雄九段、勝浦修九段、大内延介九段なども該当します。
故意ではありません。
誤解なきよう。
2017/3/14(火) 午前 9:32 [ 銀桂一行 ]