将棋の茶店「芹沢鴨?」

将棋は大切な日本文化の一つ。将棋界が羽生(はぶ)さんを得たことは、天恵です。

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佐藤康光の封じ手の駆引き・・・一晩の長考

第7期 竜王戦 第6局

挑戦者▲羽生名人(当時五冠 24歳)vs △佐藤竜王(当時 25歳)




43手目、羽生▲5五歩に対して、佐藤は、1時間の長考の末、44手目を封じたが、

実のところ、ノータイムで指そうと思えば指せた。


しかし、直ぐに指せば、羽生さんの次の手(45手目)も、ノータイムで指せる手で、且つ、

その次の佐藤の手(46手目)も必然の手。

だとすると、羽生さんが45手目を封じ手にすれば、47手目以降を羽生さんが一晩考えることが出来る。

それだけは、避けたい。


1日目の午後は、こんな駆引きを考えながら、時間調整をしていた。



ところが。



翌朝の佐藤の封じ手は、(44手目)△6四歩。

羽生名人は、「 一秒も考えてなかった 」と驚き、約1時間考えて(45手目)▲5四歩と取込んだ。

佐藤も当然の△同銀(46手目)



この後の展開を、佐藤は、5筋でお互いの飛車が向い合っての激戦になると、予測し、

昨夜、相当深くまで読んでいた。


しかし、羽生名人の47手目は、それこそ、佐藤が「 一秒も考えてなかった 」手だった。


▲9六歩




【図1. 47手目▲9六歩まで】
イメージ 1



素人目から見たら、単に懐を広げた普通の手、にしか映らない。


だが、この手によって、佐藤の予測とは全く違う将棋になるのだそうです。


▲9六歩に対する佐藤の手は、△2二玉しかなく、そうすると、先手は、5八の飛車を3筋へ移動する。

△2二玉は、その飛車に近づいた手になる、のだそうです。


もう、高度過ぎて、哲学の講義のようにしか聞こえませんが、佐藤は、愕然とした。

昨夜考えたことが全部水泡に帰して、「 嫌になった 」と後日のインタビューに答えています。



( 素直で正直な返答えですよねえ。大山時代、中原時代には絶対に有り得ない。

 これが、糸谷豊島世代になると、もっと顕著です。)



そうなんです。

仕組んだ上に、仕組んで、万全を期したはずの「一晩の長考」が、徒労に終ったんですね。

虚脱感と後悔が残った。



まあ、内心そんな弱音を吐いていても、佐藤康光です。

この後、追い上げに追い上げて、控室では、佐藤有利の評判にまで漕ぎ着けた。


しかし、一歩及ばず。

羽生名人が、竜王位を奪還して、史上初の六冠となりました。



*----------*----------*
【解説】

開始日時:平成6(1994)年12月7-8日

棋戦:第7期 竜王戦 第6局

戦型:相矢倉▲3七銀
場所:山形県天童市「滝の湯ホテル」

先手:羽生善治 名人(当時 王位・棋聖・棋王・王座 24歳)
後手:佐藤康光 竜王(当時 25歳)

121手で羽生が勝ち、4勝2敗で竜王奪還。

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【シリーズ「封じ手の駆引き」】


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