|
15.羽生名人を理解する7つのポイント (2)野球に喩えると、通算打率0.350の打者(続)
〜 イチローが日本野球界に留まって達成するであろう打率に匹敵する 〜
将棋史上最強の棋士は誰か?の問いに、一昔前は「 大山康晴 」の答えが多かっただろう。 今はどうだろうか? 羽生さんは、タイトル獲得期数95期、史上初の七冠制覇、史上最年少1300勝などなど、 大山を凌駕した記録を列挙することができる。 では、羽生さんが、史上最強棋士か? しかし、もし、同時代に大山、中原と戦えば、どうだったか? と、昔のファンは反論します。 昔の王者と今の王者が戦えば? これは、どんな世界でも永遠の議論です。 MLBで、1940年以前は4割打者が何人も存在しました。(レギュラーシーズンの打率) しかし、もし、彼らが、現在に蘇っても、4割は無理です。(注1) 打率0.370を超えたら大喝采です。 ピート・ローズが現MLBでプレーすれば、 通算4256安打、打率0.303は到底達成できない。 通算3900安打が精一杯でしょう。 だが、恐らく、オールドファンは、顔を真っ赤に反論するに違いない。 将棋界も同じです。 大山時代、最初はタイトルが3つしかなかった。(注2) 中原時代で6つでしょうか。 現在は7つ。 よって、対局数は大山時代に比べれば倍に増えた。 棋士の数も50名程度から150名にまで増えた。 条件が違う。 勝数、獲得タイトル期数なんて、やはり比較できない。 羽生さんの通算勝率は、0.717 である。(2016年9月30日現在) 大山 0.647 中原 0.626 羽生さんの通算対局数は、1800局。 前回も書いたが、野球に喩えれば8000打席に匹敵する。 それで打率0.350を超えているのとおなじなのだ。 因みに、 大山の勝率を野球に喩えれば、打率0.320 に匹敵する。 中原の勝率を野球に喩えれば、打率0.310 に匹敵する。 羽生さんの打率0.350は断トツである。 *----------*----------* 【歴代の主だった棋士の通算勝率】 *----------*----------* 【羽生善治の記録】 2016年9月30日現在:1891局 1355勝 534敗 勝率 0.7173(800勝以上の棋士中、歴代1位) 1300勝達成時:1798局 1300勝 498敗 勝率 0.7230、2014年11月20日 第64期 王将戦リーグ 5回戦 三浦弘行九段 1000勝達成時:1373局 1000勝 373敗 勝率 0.7283、2007年12月20日 第66期 順位戦A級 6回戦 久保利明八段
800勝達成時:1083局 800勝 283敗 勝率 0.7387、2003年2月23日 第36回早指し将棋選手権本戦トーナメント決勝 藤井猛九段
<通算タイトル獲得期数 95期 歴代1位>600勝達成時: 809局 600勝 209敗 勝率 0.7417、1999年2月9日 第48期 王将戦 七番将棋 第4局 森下卓八段 名人 9期 竜王 6期 王位 17期 王将 12期 棋聖 15期 王座 23期 棋王 13期 合計 95期 <一般棋戦優勝回数 44回 歴代同数1位> <最優秀棋士賞受賞 21回 歴代1位> <全タイトル七冠同時制覇 平成8年(1996年)2月14日> 第45期 王将戦 七番勝負 第4局に勝ち、七冠目の王将を谷川浩司から奪い、七冠同時制覇を達成した。 *----------*----------* 【注解】 注1.彼らが、現在のMLBに蘇っても、4割は無理 2000年以降シーズン打率0.380を超えた選手はいません。 打率 0.372 が最高です。 2004年 鈴木 一朗(シアトル・マリナーズ) 打率 0.372 2000年 ガルシアパーラ(ボストン・レッドソックス) 打率 0.372 2000年 トッド・ヘルトン(コロラド・ロッキーズ) 打率 0.372 2010年以降シーズンでは、打率0.359が最高です。 2010年 ジョシュ・ハミルトン(テキサス・レンジャーズ)打率0.359 打率が下った原因は、投手の球種が増え、守備シフトが研究され、投高打低になったからです。 注2.大山十五世時代は、タイトルが3つしかなかった。 大山十五世時代は、タイトルが名人、王将、十段の3つ。 昭和35年(1960年)王位がタイトル戦に加わる。 昭和37年(1962年)棋聖が加わり5つとなった。 大山は昭和37年(1962年)に全五冠同時制覇した。 昭和50年(1975年)棋王がタイトル戦に加わり、全6冠となる。 中原は昭和52年(1977年)五冠同時制覇したが、全冠制覇ではなかった。 昭和58年(1983年)王座戦が一般棋戦からタイトル戦へ昇格、全7冠となる。 羽生は、平成7年(1995年)名人、王将、十段、王位、棋聖、棋王、王座の全7冠を同時制覇した。 大山は全冠制覇で、羽生と同等じゃあないか、と昔のファンは、主張するでしょう。 *----------*----------* 【関連記事】 *----------*----------* 【参考】 「はじめに」 4つの戦略 (1)はじめに 第1の戦略『 早指し戦略 』とは。パート1 第2の戦略『 新感覚戦略 』とは。パート1 『 ポセイドンの一手 』 『 ヘラクレスの一手 』 第3の戦略『 大山戦略 』とは。実戦例1 第4の戦略『 中原戦略 』とは。実戦例1 中終盤の技術『カオスの一手』 |
全体表示
[ リスト ]






随分前の記事にコメントで申し訳ありませんが、気になったのでコメントさせて頂きます。
時代や環境が変わっても、通算勝率で比べることができるとのことですが、それなら試合数を揃えて比べた方が公平ではないでしょうか?
棋士は晩年になるほど勝率が落ちてくるので、試合数が多いほど通算勝率は落ちてくるものだと思います。
羽生先生が1891試合時点での勝率ですので、他の棋士も1891試合時点の勝率で比較することによって初めてどれほどすごい記録であるかがわかると思います。
ただ、内容自体はとても関心しました。乱筆、失礼致します。
2016/10/15(土) 午後 7:17 [ AISH ]
AISHさん
いや〜、ごもっともです。
早速、追加記事をアップしました。
2016/10/16(日) 午前 11:01 [ 銀桂一行 ]