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もう約2ケ月も前の話で、恐縮だが、どうしても書きたいので書く。 私は、囲碁は全く解らないし、囲碁界のことは『 ヒカルの碁 』の知識しかない。 しかし、趙治勲先生の解説ならパソコンに噛り付く。 爆笑と感嘆を繰返し、最初から最後まで鑑賞に堪えるのだ。 それは、聞き手の吉原六段の貢献も大きい。 趙先生の相方として抜群である。 何が面白いと云っても、趙先生の奔放な話し振りである。 聞き手の吉原六段も笑いっ放なし。 それでいて、流石の解説をする真面目な魅力を併せ持つ。 自分を「馬鹿だ」と自虐ネタで笑わせるが、トンデモナイ! 5歳で単身日本へ来て、木谷門下へ入門。11歳でプロになった。最年少記録保持者である。 そして、数々のタイトルを奪取。通算タイトル期数74は歴代最多1位である。 天性の魅力を具えた棋士である。 では、早速、その真面目な魅力を。 趙先生が感嘆した白番「アルファ碁」の手。 30手目、白4五。 これを趙先生が絶賛。 【図1.30手目、白4五】 「 う〜ん、日本に来て55年。これは僕の感覚にはない。 」(注1) パッと見ると、疑問手に映るけど、考えると油断のならない手だとのこと。 「 例えば井山が若い頃なら打ったかも知れない。こいつ才能有るな、と思わせるような手。」 今までの感覚だと、aかbに打つのが常識なんだそうです。 「 凄い手だ。別次元の手。」 「 多分、柯潔も、やるなあ、と唸ってるはず 」 と、更に褒めちぎる。 趙先生は、囲碁ソフトが強くなり、この様な手を示され、寧ろ喜んでいる様子。 生きていて良かったなあ、と。 この辺りが、将棋界と雰囲気が違いますね。 「 それにしても、柯潔の打ち方はなんだ!こんなの柯潔じゃあない! 」とお冠。(笑) 単に非難しているんじゃあない。 人類代表の柯潔九段の不甲斐なさを嘆いている。 九段への愛情が感じられるところが、趙先生の素晴しいところであり、私が好きな理由。 この辺り、我らが故・升田幸三実力制第四代名人に共通しているところがある。 「 柯潔は、ここ何ヶ月か、アルファ碁対策ばかりしていて、自分の碁を見失ってる。」 「 自分の碁を打てば勝てるんだ! 」 と仰る。 この点は難しいところで、相手の弱点を突く戦術はある。 ただ、それが行き過ぎて、自分の棋風や、リズムを崩してしまうと、逆にマイナスである。 この辺りの感覚が、囲碁の解らない私には全く見えない。 ただ、「 相手の弱点を突いたりせず、自分の長所を最大限に活かせ 」 と云う、趙先生の哲学も大いに含まれている。 ちょっと、難しい。 趙先生が、誉めるばかりじゃあなく、落胆する場面もあった。 【図2.72手目、白9十四】 「 ここからの一連の打ち方はね、初心者!」(注2) 「 白が想像を絶する下手さなんです。」 「 だから、まだまだ未熟なんですよ。」 「 この打ち方は有り得ない。」 「 私が入門した頃、こんな手を打ったら殴られた。(笑)」 「 これが不思議なんだな。あの(図1)様な才能有る凄い手を打つ人とこんなダメな手を打つ人が同居してるんだな、AI(囲碁ソフト)は。」 「 どうも、有利になったら、こんなことをする。」 「 人間が打ったら、ガッカリ 」 ここが、趙先生の名解説者たる所以である。 先日、昼のワイドショー『バイキング』に藤井聡太四段の快進撃の説明役として、将棋界の美人、山口恵梨子女流二段が出演していた。 彼女は、将棋のルールの分らない人向けにと、将棋の駒をミサイルとかに喩えていたが、そこまでする必要はない。 最低限のルールを知っている初心者を対象にした説明で良いのだ。 私の様に、囲碁のルール程度しか解らなくても、十分伝わる。 寧ろ、もう少しこっちへおいで、と隔靴掻痒感を抱かせる方が良い。 *----------*----------* 【ニュース冒頭】 米グーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャー「ディープマインド」(英国)の囲碁ソフト『 アルファ碁 』と、 世界最強の中国人プロ棋士、柯潔(かけつ)九段による三番勝負の第1局が2017年5月23日、 中国浙江省(せっこうしょう)の烏鎮(うちん)で行われ、ソフトが初戦を制した。 「Future of Go Summit(囲碁の未来サミット)」と銘打たれた。 <対局概要> 主催:Google、中国囲棋協会、浙江省体育局 対局日程:2017年5月23日第1局、5月25日第2局、5月27日第3局 ※勝敗状況に関わらず、必ず3局実施 開催場所:中国浙江省烏鎮 対局ルール:持時間3時間+秒読み1分×5回 対局料:30万ドル(約3,400万円) 賞金:150万ドル(約1億7,000万円) 柯潔(かけつ)九段 中国の囲碁棋士。1997年8月2日生、19歳。 浙江省麗水市出身、中国囲棋協会所属、九段。 阿含桐山杯戦優勝、百霊愛透杯世界囲碁オープン戦、三星火災杯世界囲碁マスターズなど数々の世界戦で優勝し、 非公式ではあるが棋士レーティング世界1位に位置付けられている。 AlphaGo(アルファ碁) アメリカ・グーグル社の傘下にあるベンチャー企業「ディープマインド社」が開発した囲碁ソフト。 ヨーロッパのチャンピオンである中国出身のプロ棋士ファン・フイ氏と対局し、5戦全勝。 史上初めて19路盤で人間のプロ棋士に勝利した囲碁ソフト。 2016年3月には世界最強棋士の一人、韓国の李世乭(イ・セドル、33歳)九段との対決し、4勝1敗。 韓国棋院からプロとしての名誉九段を授与された。 日本での『ニコニコ生放送』 解説:趙治勲 名誉名人 聞き手:吉原由香里 六段 *----------*----------* 【注解】 注1.『ニコニコ生放送』(0:50:50)と(1:29:00)の頃 注2.『ニコニコ生放送』(2:01:01)の頃
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コンピュータ将棋考
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