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羽生世代が台頭し始めた頃、平成6年(1994年)11月、▲青野八段 vs △S先生。 図1.先手の▲3四銀に対して、S先生が、△4ニ金引と辛抱した局面。 先手優勢である。 〔図1. △4ニ金引まで〕 この局面で、青野は「若手なら・・・きっと手を渡して勝つに違いない」 と考え、▲6五銀と攻防に出た。(註1) 〔図1. ▲6五銀まで〕 「真綿で首を絞めるような勝ち方が一番いいんです」と、 常日頃から言っている森下卓八段の言葉が、頭に浮かんだからだ。 結果は、勝ったのだが、局後、S先生の指摘で、▲6五銀に対して△4六銀打としていれば、容易に決らないことが解った。 逆に、S先生側が若手だったら、間違いなく△4六銀打としていたに違いない、と青野は背筋を寒くした。 思い付きの見様見真似でやると、大怪我をする。 羽生さんが、「ここ十年で、有利になってから勝ち切る技術がもっとも発達した」 と、著書『決断力』で語っている。(註3) 素人の私は、「勝ちきる技術」=「終盤力」とは、「詰将棋力」だろうと思っていた。 ところが、「詰将棋力」の一種類ではなく、複数の技術だったのだ。 「真綿で首を絞めるような勝ち方」も、その一つだ。 <続く> *----------*----------* 【注解】 註1.この局面で、青野は・・・ 典拠:『勝負の視点―研究と実戦の間』1995年10月27日発行 毎日コミュニケーションズ 著:青野照市 p.30〜33 註2.将棋は、優勢な方が手数をかけていると 典拠:『決断力』 羽生善治著 角川書店 2005年7月発行 p.23 註3.「ここ十年で、有利になってから勝ち切る技術がもっとも発達した」 「ここ十年で、いろいろな技術が発達したけれど、局面が有利になってから勝ち切る技術がもっとも発達した」 「ここ十年」とは、1995年(平成7年)当時なので、2018年(平成30年)現在から云うと、「30年前〜20年前」を指す。 典拠:『決断力』 羽生善治著 角川書店 2005年7月発行 p.82
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