|
最近,救急患者さんの収容先決定に時間を要し,因果関係は不明ながら,収容先の病院で亡くなるケースが報道されています.
「数十の病院から収容要請を断られた」ことを「たらい回し」という風に表現されるわけですが,私はいつも疑問に感じます.それは「たらい回し」と言われているけど,本当は「たらい回し」されては,いないはずだからです.
「患者さんがたらい回される」と言うのは,本来以下のような時に用いられる言葉です.例えば,ある患者さんが頭痛を訴え病院を初診した際に,その頭痛の原因や程度が分からないため担当科が複数考えられ,担当科に該当する科同士で互いに患者さんを押しつけ合うような場面を指す時.すなわち頭痛の原因が風邪に関連するかも知れないから内科で診察すべきだ,いや頭(脳)の問題だから神経内科の方が良い,やっぱり内科系ではなくて脳外科で診るべきだ,という風に…
私がよく出会う事例としては,腹痛と四肢の外傷などが挙げられます.腹痛の場合,内科医によっては急性虫垂炎や急性胆嚢炎のような緊急の外科的処置が必要になるかも知れない症例だからという理由で,普通の胃腸炎を外科に回してきたりします.
また四肢の外傷で縫合が必要だけど骨には異常がないような場合,整形外科との間で同様の事が起こります.
本来,疾患を専門性から振り分け,スペシャリストが応対する事が患者さんにとっては理想的で,有益だと思われます.しかし実際にはグレーゾーンに属する疾患も多く,その振り分け作業が困難であることもしばしばです.しかもたいていは,どの科を受診すべきかを患者さん自身が検討し,診察の順番を待ちます.散々待たされて,やっと順番が来たと思ったら,たいした診察もされずに他の科で診てもらうように言われ,再び長い順番待ちとなります.そんな時,患者さんは「たらい回されている」と思うのかも知れません…
さて夜間や休日などの救急患者さんの場合はどうでしょうか?
救急隊員が現場に到着すると患者さんの状態を把握した上で,その患者さんの掛かり付け病院,予想される疾患を処置出来そうな病院,搬送に時間を要さない近所の病院,その日のその地区の救急当番の病院などから順に連絡を入れて,はじめて要請を受諾した病院に搬送を開始します.
スムーズに収容先が決まらない時には,救急隊としては一刻も早く患者さんを収容したいので,場合によっては「電話を掛けても断られるだろうけど,一応連絡してみよう」的に,片っ端から病院をあたることもあるかも知れません.でも当直医がやむを得ない事情で収容を断ることが続くと,統計上「断られた病院」が数十に達し,報道の見出しに「たらい回し」と言う言葉が踊ることになります.
私はこの状況は「患者のたらい回し」ではなく「患者の収容要請の謝絶」とでも言う方が,表現が正確だと思っています.その理由を次回に書きたいと思います.
(救急搬送時のいわゆる「たらい回し」に関する意見(2) に続きます)
|
色々考えさせられますね。。次回が気になります☆
2008/1/30(水) 午前 11:06 [ ひとみ ]
なるほど・・・
先生の記事を読んで納得がいきます。
”腹痛”→狭心痛?→トレッド→n.p.→
胃痛?→内視鏡→n.p.→??
色々な科の検査受けている患者さんいますね。
2008/2/1(金) 午前 0:03 [ 鵠っち ]
やっぱり自分の身は自分で守らないとだめ????救急の場合ってまさに救急でみんなが急を要しているんので、仕方無いと思うときもありますが・・・やっぱりドクター(もしくはドクターをサポートする体制???人員???)不足が一番の原因では・・・
2008/2/1(金) 午前 1:12
たらい回しは実際にあります。
私の母、親戚、近所のかた、実際に見てます。
私は、つい最近ですが、赤信号で止まっている時に事故に合ったときの病院の対応、救急隊の話、違う市に運ばれた時の看護婦の話を聞いてます。実際にあるんですよ。
私達は、一般の人間です。
でも、これが私達の声だと思い聞いてもらえば幸いです。
すいませんでした。
2008/2/1(金) 午後 8:34