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みなさん、お体にお気を付けて.今が一番寒い時期ですから…

医学部受験生

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 (私はまだネコに遭遇していませんが,院内廊下にこんな注意書きをちらほら見かけます(笑))


 少し前に,看護師や医院の院長が刺傷される事件が相次ぎました.これからは医者や看護師が逆恨みされて,傷害を受ける事が増えるかも知れません.ところが身近なところに目を転じて考えてみると,病院にはしっかりしたセキュリティーは存在しません.
 私自身,夜間に侵入した酔っぱらいに殴られたことがありますし,私の友人も同様の経験をしています.
 今私が勤務している病院にはガードマンは常駐していません.仮にガードマンがいたとしても,彼らはリタイア後で高齢の場合が多いので,実際に暴漢が病院内に侵入しても,捕まえて警察に突き出すことはしません.警察への連絡は事務当直がしますから,ガードマンの存在自体,無駄にさえ思えます.私が殴られた時にも,その傍らで見ていただけでした…
(彼らは不審者を発見し,捕まえることはあります.例えば盗撮目的で侵入した者とか… ガードマンは暴力に対しては無力ですが,その他の侵入者に対しては機能します)

 病院は大抵,夜間の救急患者を受け付けていますから,夜間専用の救急患者用通用口があって,そこにガードマンの詰所や事務当直の当直室があり,出入りを確認しています.
 ところが私が勤務している病院は建物が古く,タコ足のように放射状に建物が拡がっているためか,24時間不審者の出入りが自由です.これは困ったものです.たまに医局に泥棒が入り金品を盗まれるそうです.私はまだ遭遇していませんが,冬場には浮浪者が暖を取るために,軒下に集まってくるとか…
 強盗が押し入って殺傷されてはたまったものではありません.でも現状の病院経営ではハード部分に投資するほど余裕が無いようです.だって今年の猛暑の最中,クーラーが故障しても直してもらえないのだから…

 外部から侵入しなくても,入院中の患者が暴れることだってあります.その度に当直医はコールを受け,駆けつけなければなりません.ちなみに精神科病棟には,出入り口は大抵一つしかなく,鍵がかかっています.また精神科医はその診療に対して,危険手当が報酬として加算されます.私はこのような患者を診療することで生じる危険は,今や精神科に限ったことでは無くなっていると思っています.

 私は,もし自分が患者として入院するのなら,医療のクオリティーもさることながら,病院のセキュリティーがしっかりしているところを探します…

 最近,医師不足が問題として取り上げられる事が増えました.過疎地域の医師不足は深刻で,開業を目指す医師に,過疎地域での勤務を義務付ける法案の提出が検討されるなど,その解決策が講じられています.

 その一環として自民党総務会長,丹羽氏の発言として,全国公立大学の医学部に「へき地枠」を5人程度導入すべきだとの考えを示したそうです.

 さて過疎地域の医療を担う事を前提とした大学があります.それは自治医大です.自治医大は各自治体単位で,入学者を募集します.例えば東京枠で受験して合格すると,卒業後9年間東京の過疎地域(離島も含む)に勤務しなければなりません.なぜ9年間かと言うと,医学部在籍6年間の1.5倍の年限と決められているからです.
 しかしその代償として授業料は全額免除,生活費として月々数万円の補助を受ける事が出来ます.これは防衛医大や産業医大でも,その仕組みはほぼ同様だと聞いています.

 私はもし過疎地域枠を各大学に設定するのであれば,自治医大の定員を増員すればいいと思います.なぜなら…

 過疎地域で9年間勤務と一言で表すと,その大変さが伝わりにくいと思いますが,これは医者にとってかなり辛い束縛です.
 何事でもそうなのでしょうが,医者も成り立ての時期は,まだフレッシュでいろいろな事が吸収出来る重要な時期です.卒後教育の重要性を行政が認めたからこそ,現在の医師不足の一因となった卒後研修制度が始まったわけです.
 その時期に過疎地域に従事すれば,当然先端医療からは取り残される事になりますし,もっと身近な事で言えば優秀な指導医に指導してもらえるかなど,医者としてのクオリティーの低下を懸念し続けなければなりません.
 
 それでも自治医大に入学すれば,先輩も同級生も後輩もみんなそういう仕事に就く事を前提としていますから,また地域医療のために頑張ろうという崇高な志を持った学生もいるでしょうから,上記のような悩みを持つ医学生がいたとしても,9年間の勤務を全う出来るのかも知れません.

 しかし一般の医学部に地域医療枠で入学した学生は,過疎地域での勤務義務を有さない自由な学生と一緒に,医学を学んでいくわけです.そこには同じ学部に入学しながら,医学部と歯学部くらいの違いが生じるような気がします.(ちなみに海外では医学部の中に歯学科があるそうですが,日本では学部が異なる故,入学試験から全て異なります)出来る事なら免除されている学費や生活費を払ってでも,自由を約束されている学生のように自分も束縛から解放されたいと思う事でしょう.

 地域医療のために設立された大学がもう一つあります.それは旭川医大です.当初は旭川医大は,北海道の地域医療のため設立されたようですが,現在ではそのような義務は卒業生に課せられていません.それだけが理由ではないかも知れませんが,北海道では昨今の医師不足が各地で問題になる以前から,医師不足が深刻な地域の一つです.地域医療は医学生に足かせを作るだけではうまくいかないという,好例のように思います.

 現在の日本では採算が取れないからと言って地方都市から企業が撤退するのも自由ですし,働く場所がないからと言って大都市に出て行くのも自由なはずです.それなのに敢えて医療従事者を過疎地域に従事させ,その自由を奪うのなら,それによって失うものを代償するくらいの何かを提供すべきだと思います.

 役人や議員がどんなシステムを作ったとしても,その功罪を検証して責任を取るわけでは無いから,机上の空論に終わるシステムも多々あるはずです.結果が出る頃には現在の役職を終えているので… 卒後研修もその一つかも知れません.

(医師不足 -(7)常勤医からパート医への流れ から続きます)

 このシリーズ,少々間が空いてしまいました.もし宜しければ,このシリーズ(2)あるモデルケースから読み直してみて下さい.私自身もそうしました(笑)


 さてこのモデルケースで最後に問題視したいのは,外科医の一人が女医であったことです.最近は女性の外科医も多くなりました.ということは他科にはもっと女医が増えているはずです.なぜなら近年,女医が急激に増えているからです.それはどうしてなのでしょうか?

 女性が進出しやすくなった背景には,受験の変革があります.まずはここから把握しましょう.
 私が医者になるずーっと前には,医学部の定員は数十名(40〜60が一般的)と少なく(現在は大体,100名),また医学部を設置している大学自体が少なかったので,競争率が高かった様です.加えてその頃は,大学へ進学する女性自体が少ない時代でもありました.
 その後「一県一医大構想」が提唱され,医学部や新設医科大学が次々に作られました.また既存の医学部も,その定員を120名に増員するところも出現して,医学部全体の定員が増加しました.
 しかし当時は二次試験の理科の科目が物理と化学が必須,また英語の占めるウエイトが軽い時代で,女性はその試験そのものに苦戦していました.
 ところがその後,共通一次試験と二次試験の配点の見直し,英語の比重増加,また物理や化学でなく生物を選択出来るような多様化,受験科目数の削減,さらには高校での成績で入学が決まる推薦枠の設置など,現在では受験が様変わりしました.男性に比べて,女性の多くは理系科目を苦手とし,文系科目を得意とする傾向がありますから,これらの受験変革はいずれも女性に有利だったと思われます.もともと高いポテンシャルを有していた女性が,こうして徐々に医学部にも進出出来るようになったのです.

 その結果,現在では医学部の定員の約半数を女性で占める大学が急増しています.私が受験生だった20年前は,大体全体の2割,ちょっと多い大学でも3割程度,当時からユニークな受験科目で受験出来た信州大学でさえ4割といった感じでしたから,四半世紀の間にいかに医学部に入学する女子学生が増えたかが,お分かりになるかと思います.

 さて女子医学生の増加は,既存の医学部に対して色々影響を与えます.例えば医学部に入学するような女性は,総じて優秀で真面目なので,学部の試験の平均点が上昇してしまいます.これはデッドライン辺りをうろつく不真面目男子医学生にとっては,非常に困った問題です.しかしそう言った影響の多くは,良い意味で医学部に刺激を与え,活性化に貢献していると思います.

 ところが昨今,悲鳴をあげているのが外科系の講座です.
 それは一つには,単純に男性医師の入局者が減少しているからです.以前の記事に対して数人の方からご指摘頂いたように,男性が女性との受験競走に敗れて医学部に入学出来なくなっているからです.

 そしてもう一つは男性医師の減少した分,女性医師の入局者が微増しましたが,それに伴う新たな問題が発生していることです.すなわち結婚に伴う移動の制限(医師には短い間隔で各地の病院を転々とする時期があります.その移動に自由度がなくなるということ)や,産休の期間の穴埋め人事です.
 
 このような女医に関わる問題は,医師不足が叫ばれている今日では,外科系講座に限った問題ではなくなりつつあります.次回はその問題の解決策を考えてみたいと思います.

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(医師不足 -(6)海外の現状,英国・伊国の場合 から続きます)


 さてモデルケースで最後に辞めてしまった医師は,その後何をしているかというと…
 実はアルバイトをしているそうです.アルバイト(以下パート)と言ってももちろん,医療のバイトで,カメラなどの検査や外来の手伝いです.この先生は妻子持ちですが,パートでも普通の生活を送る程度の収入は得ることが出来ます.

 実は,この先生のように特定の医療施設に籍を置かずにパート医として,仕事をしている医師が増えています.
 パート医であるということのメリット,デメリットを考えてみます.
 メリットとしては,複数の施設で定期的に仕事をすれば常勤勤務医と同程度か,場合によってはそれをも凌ぐほどの収入を得ることが出来る事.
 また私はそれが一番重要だと考えていますが,当直や夜間,休日の勤務が無い事.
 従って,良い意味でかなり無責任でいられる事…
(主治医やチームスタッフとしてのストレスがほとんど無いという意味)

 一方デメリットとしては,常勤であれば加入出来る共済などの健康保険には入れず,国民健康保険に加入しなければならない,また福利厚生も得られない事.
 雇用における契約が非常勤であるため,突然の解雇などもあり得る事.
 能力給なので,経験や技量が伴わなければ収入は減る事.
 学会などの都合で休んだ場合,収入が得られない事…

 どちらが良いかはいろいろな意見があると思います.

 私たちは昔,入局を決める際にその医局がどれだけ魅力的な関連病院を持っているかを,ポイントの一つにしていました.それが今では,関連病院の数は縮小を余儀なくされ,残った基幹病院も労働環境が劣悪で,魅力的とはとても言えなくなっています.ですから医局と縁を切って,パートで生計を立てる医師が出現しても,少しも不思議では無い時代になったと言えると思います.

 もともとは医師が足りない部署へ医師を回すための方策の一環としても期待された新研修医制度によって現場が混乱し,現在の医師不足は引き起こされたと言っても過言ではありません.
 産科や小児科などは別として,内科医や外科医,麻酔科医までもがどんどん去っていく背景には,もちろん開業などの私的理由も挙げられますが,勤務医が医師不足からもたらされた過酷な労働やストレスによって疲弊し,燃え尽きてしまう事が主因であると考えられます.

 そしてパート医としても需要がかなりあり,相応の収入が得られることも勤務医離れに拍車をかけていると思います.現実として,パート医を求めている医療施設が実に多いのです.パート医を望む医療施設としても簡単に常勤医を探せないだけでなく,常勤医を雇用するだけの経済的な余裕も無くなっているのでしょう.

 私はこういう一連の勤務医離れを,早急に食い止めることが重要だと考えています.具体的には何かの有資格,例えば専門医などの資格を持っていない医師は非常勤として働けないような制度や,常勤医であることの特権,例えば報酬額に明らかな差をつける,また日常診療で行える行為に差を付けるなどの常勤医とパート医を区別化が考えられます.

 いったん加速した流れは簡単には止まりません.くどいですがパート医が増えています…


(医師不足 -(8)女医の増加とその背景 に続きます)

(医師不足 -(5)地方の現状 から続きます)


 脱線ついでに,今度は海外の状況を考えてみます.

 英国が以前は,医療費抑制政策を行っていたことは有名な話です.このため医師の数も抑えられていました.
 英国は一つの政策として,ホームドクター制を敷いています.近くの開業医にホームドクターの登録をしておきます.病院にかかりたい時には,まずホームドクターに診てもらう仕組みになっています.
 例えば,英国で食後の心窩部痛(胃潰瘍のサイン)で病院を受診したとします.すると,最初は胃薬を処方されて,数週間様子を見るように言われます.次に胃薬が効果無かった場合,ピロリ菌の検査をします.ピロリ菌陽性の場合,除菌療法を行い,再び様子を見ます.ピロリ菌陰性の場合,胃薬を変更してまた様子を見ます… 
 こうして数週間〜数ヶ月様子を見ても,症状の改善が見られない場合のみ,胃カメラを行える施設に紹介してもらえます.

 一方,日本だったら小さな開業医でも胃カメラを出来るところもありますから,すぐ検査をすることを勧められるでしょう.

 英国では癌の手術で6ヶ月待つのも,よくあることだそうです.待っている間に病状が進行するというものです.
 日本の場合,かなり待たされる施設でも2ヶ月くらいではないでしょうか?
 英国では,さすがにこれではいけないと言うことで,最近では医学部の定員を増員しているそうです.

 さてイタリアの場合はどうか?イタリアでは逆に医師が余っています.自分のポストがないため,出稼ぎ医師として他国に居座るイタリア人医師が,ヨーロッパ全体で問題になっているそうです.また諦めて,イタリア国内でタクシーの運転手をして生計を立てたりしている医師もいるとか…
(タクシーの運転自体が悪いわけではありません!それにしてもイタリアは白タクが多いです)
 これも困ったものです.昨日までタクシーを運転していたような,医学を勉強していない医者に診察されるのは,イヤですよね(笑)

 このように医者の数が少なくても,多くても医療の質は低下します.それほど,医療行政というのは難しいのです.


 現在の日本の厚生労働相(ヤナギ…)では,こういう繊細な問題に対し指導力の発揮を期待するのは,残念ながら無理のようですね…

(医師不足 -(7)常勤医からパート医への流れ に続きます)

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