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オゾン、33歳のときの作品です。
「まぼろし」
50歳代の夫婦、
マリー(シャーロット・ランプリング)と
ジャン(ブリュノ・クレメール)は、
今年の夏も、フランス南西部のランド地方の別荘に
やってきた。
「疲れた?」
「やっと休暇がとれたわね」
次の日、ふたりは浜辺に出る。
「ここは人が少ないから好き」
「泳ごうか?」
「あとで行くわ」
そのまま、夫のジャンは帰ってこない。
警察に捜索を依頼しても、ジャンは見つからない。
マリーはひとり寂しく別荘を閉め、パリに帰る。
友達は、マリーに新しい恋人を紹介する。
マリーは乗り気でない。
ジャンの失踪を受け入れることができないのだ。
家に帰ると、ジャンがいる。
「どうだった、今日は誰に会ったの?」
マリーにしか見えないジャンとの会話が始まる。
マリーは幸せなのか、不幸せなのか。
ほとんど笑顔を見せない。
それでも、マリーを紹介されたヴァンサンはマリーに夢中になる。
マリーは寝る。
セックスの途中で、マリーは突然笑い出す。
「あなたは軽いの。ジャンはもっと重たかったは」
セックスには、いろいろな要素が絡み合う。
体臭、髪の香り、肌触り、
オゾンは、そこに体重まで加える。
なるほど、ですね。重さ、ですね。
しかし、残酷な言葉を思いつくなあ。
マリーは、
ヴァンサンとジャンを比較している。
普通ならヴァンサン怒るゾ!!
だけど、ヴァンサンは戸惑うばかり。
ヴァンサンの愛も哀しい。
マリーは夫の引き出しの中から見慣れない薬を見つける。
躁うつ病の薬だった。
もしかしたら、夫は自殺したのではないか。
マリーは現実を受け入れようと努力する。
マリーは夫の母に会い、事情を聞く。
「たしかに、息子は、躁鬱病の薬を飲んでいたわ。
妻なのに、そんなことも知らなかったの」
キツイ一発です。
「ジャンは躁鬱病で自殺したんではないか」とマリーは疑う。
義母は答える・
「我が一族では、自殺する人間はいない」
マリーは義母に言う。
「あなたなんか、養老院に行く前に精神病院に行った方がよかったのよ」
「精神病院に行かなきゃいけないんは、あんただよ」
なんとも、恐ろしい会話です。
オゾンの力技です。
マリーはジャンの死体が上がっても、それをジャンとは認めようとしない。
ジャンがいなくなった浜辺に、ひとりで行く。
マリーは初めて、声を出して泣く。
ジャンの死をやっと受け入れたのか?
遠くに男が立っている。
マリーは、泣いたあと、その男に向かって走り出す。
ここで、カメラは延々と男に向かって走るマリーを、フィックスで捉える。
いくら走っても、その男にたどり着かない。
その男は、ジャンなのか、ヴァンサンなのか、
それとも、ただのまぼろし、なのか。
上手いなあ。33歳のときに、オゾンはこんなことを考えていたんだ。
たいしたもんだ。
ジョー・ライトが
「プライドと偏見」を撮ったのも
33歳だった。
円熟するのに、年齢は関係ない、ということか。
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ご無沙汰しています。お身体いかがですか?
今の世の中でいつあるかもわからない、なんか考える映画ですね。
年齢に関しても実年齢と精神年齢ってちがうもんですよね。
2011/2/16(水) 午前 11:16 [ hirobeです。 ]
そりゃ女の人は、体重で違いを覚えてるかも、です。
連絡待ってます。ま。
2011/2/16(水) 午後 11:27 [ gur*gu*a10*3 ]
shosukeの文章を読んだだけで鳥肌がたったよ、すげぇっ。
2011/2/17(木) 午前 10:18 [ falleaf ]