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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』の読書メーター「この本を読んだ人はこんな本も読んでいます」欄に太宰治『桜桃』が登場した(2011年12月9日確認)。『東急不動産だまし売り裁判』は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者の裁判闘争を描くノンフィクションである。
これに対して『桜桃』は短編小説でジャンルは相違するが、事実に基づいた作品である。共に話が淡々と進行するために読みやすい。『東急不動産だまし売り裁判』はマンションだまし売りを正当化する悪徳不動産業者の虚勢を生々しく描き、『桜桃』は「子供よりも親が大事」と呟く父親の虚勢を直視する。
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東急不動産トラブル
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福島県二本松市若宮地区の新築マンションのコンクリートから最大毎時1.24マイクロシーベルトの放射線量が検出された。内閣府原子力災害対策本部と福島県二本松市が2012年1月15日に発表し、住民には転居を勧めている。原発事故時に福島県浪江町の採石場に保管されていた石を使ったコンクリートが発生源とみている。建築資材の砕石は放射線量による出荷制限はなく、他にも汚染された建材が流通した可能性がある
福島第一原発事故直後から放射能に汚染された石材が新築マンションに使用される危険性は指摘されていた。その危険が現実のものとして証明された。デベロッパーの企業体質が問われる問題である。似たような問題は福島原発事故以前から起きている。
東急不動産が2003年に東京都内で分譲した新築マンションの専有部分でアスベストを使用していることが判明した。アスベストはルーフバルコニーの押出成型セメント板、バルコニー隔壁のフレキシブルボード、キッチン上台のセメントボード、ユニットバスのセメントボード・接着剤に含有されている。
アスベスト使用は居住者から東急リバブルへの度重なる問い合わせにより判明した。居住者は2005年10月9日に販売会社の東急リバブルに問い合わせをしたが、放置された。度重なる催促や施工会社の株式会社ピーエス三菱にまで問い合わせすることにより、ようやく11月26日に東急不動産株式会社住宅事業本部カスタマーセンターから回答が届いた(東急不動産株式会社「石綿(アスベスト)や石綿含有建築材料の使用の有無について(ご報告)」2005年11月25日)。
東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口
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東急不動産の新築マンションで、いざ生活を始めてみると、工事の不備な点が何箇所にも渡って目に付いてきた。一度気になると、そこばかり視線がいってしまうものである。玄関扉を押し開くと「きいい」と甲高い悲鳴のような音が響く。この音にはどうしても慣れない。
やはり、アルス東陽町301号室の利点はセールスポイントになっていた洲崎川緑道公園を眺められることであった。原告は東京を愛すると同時に嫌っていた。江戸につながる歴史は好きだが、東京のどこにいても巻き込まれる混雑や、大量の鳥の糞のように都会の風景に散りばめられた社蓄連中が原告は大嫌いであった。無数の有象無象が自分の方が重要な地位にあると突っ張りあっていた。都会生活では時として正気を失いそうになる。どうしても原告には息抜きが必要であった。
そのような原告にとって緑道公園の樹木は救いであった。緑道公園の樹木を前にして黙想すると、禅と同じように精神的平安が得られる。原告は樹木を眺めて飽きることがなかった。いつも同じように見えながら、実際は絶えず変化し続けているためである。
気が滅入った時、不安に襲われた時、真実を見極めるために邪念を振り払いたい時、あるいはただ単に静かな美に浸りきりたい時、原告は樹木を眺めた。そのようにして過ごせば必ず心身ともに健やかになり、新たな活力が湧いてきた。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急リバブル東急不動産から不利益事実(隣地建て替えによる日照・通風阻害など)を隠して新築分譲マンションをだまし売りされた消費者の話である。日照がなくなったマンションは暗く寒い。マンションだまし売り被害者はブルブル震えながら、寒さに耐えることを余儀なくされた。林田力の唯一の失敗は東急不動産の分譲マンションを購入したことであり、東急不動産との契約取り消しによる売買代金返還が唯一の解決策であった。
悪徳不動産業者は話に話を積み重ね、ありもしない話を作り上げる。話で人をだますばかりか、殺すこともある。その頭には保身と金儲けしかない。目下の者を踏みにじり、目上の者には卑屈なまでに媚びへつらう。自己の利益のためならば人の命を虫けらのように軽んじる冷血漢であった。
林田力と東急不動産の対決は拳や剣を交わすことこそないものの、地上げブローカーや東急不動産工作員などが暗躍する危険な戦いであった。林田力は事実を積み重ねて、東急不動産のマンションだまし売りを明らかにする。真実は刃物のような鋭い知性によって抉り出される。『東急不動産だまし売り裁判』には見えないものを見通し、聞こえないものを聞きつける不思議な力がある。明日を予測し、昨日を考察する知恵もある。
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隣が建て替えられて日照が遮られる分譲マンションをだまし売りされた消費者の話。日照がなくなったマンションは暗く寒い。主人公はブルブル震えながら、寒さに耐えていたことでしょう。
悪徳不動産業者は話に話を積み重ね、ありもしない話を作り上げます。話で人をだますばかりか、殺すこともあります。しかし、主人公は事実を積み重ねて、東急不動産のマンションだまし売りを明らかにします。真実は刃物のような鋭い知性によって抉り出されます。
主人公と東急不動産の対決は拳や剣を交わすことこそないものの、危険な戦いです。主人公には見えないものを見通し、聞こえないものを聞きつける不思議な力が備わっているのかもしれません。明日を予測し、昨日を考察する知恵もあります。主人公の唯一の誤りは東急不動産の分譲マンションを購入したことです。
『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を書いた人物は、消費者の権利確立を希求する理想主義者でありながら、悪徳不動産業者が跋扈する現実を度外視しない現実主義者です。目の前にある悲惨な現実を冷静に見る眼力を有しながら、現実を叩き壊そうという意思を持ちます。工作員の攻撃にさらされながらも、悪徳不動産業者を告発する意思が萎えることのない人物です。
『東急不動産だまし売り裁判』には躍動感があります。言葉の一つ一つを正確に使いながらも、自由に筆を躍らせた結果です。文章には書いた人の学識や性格、信念が表れます。告発本には武術と似た緊張感があります。『東急不動産だまし売り裁判』の執筆は武士が刀を構えることに匹敵します。その文章は流れる水であり、激流となって読者の心に流れ出します。
マンション売買契約の取り消しを求める著者の執念には驚かされます。その執念が悪徳不動産業者の拝金主義に汚染された日本社会を少しでも良いものにする力になります。消費者を欺く悪徳不動産業者は風に吹かれる籾殻のように消え去るだけです。
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