|
旧約聖書の『出エジプト記』によれば、モーセはイスラエル人のレビ族の父アムラムと母ヨケベドの間に生まれ、兄アロンと姉ミリアムがいた(6:19)。当時、イスラエル人たちはエジプトで奴隷として使役されていたが、モーセは数々の妨害を打破して、彼らをエジプトから連れ出すことに成功した。(出エジプト=エグゾダス)
シナイ山(あるいはホレブ山)で神ヤーウェから十戒を授かってイスラエル人たちに与えたので、立法者と呼ばれている。モーセとイスラエルの民は、四十年もの間シナイ半島の荒野をさまよい、約束の地カナンにたどり着くが、モーセ自身はカナンを目前にして120歳で没したという。
『出エジプト記』はモーセの誕生に筆を起こし、エジプト脱出と十戒および律法の制定に終わっている。
それによれば、モーセが生まれた当時、イスラエル人が増えすぎることを懸念したファラオはイスラエル人の男子を殺すよう命令した。出産後しばらく隠して育てられたが、やがて隠し切れなくなり、葦舟に乗せてナイル川に流された。そこへファラオの王女が通りかかって彼を拾い、水からひきあげたのでマーシャー(ひきあげる)からモーセと名づけた。
成長したモーセは同胞であるイスラエル人がエジプト人に虐待されているのを見てエジプト人を殺害。ファラオの手を逃れてミディアンの地(現在のアラビア半島)に住んだ。ミディアンでツィポラという女性と結婚し、羊飼いとして暮らしていたが、ある日燃える柴のなかから神に語り掛けられ、イスラエル人を約束の地へ導く使命を受ける。こうして彼の預言者としての活動が始まる。
エジプトに戻ったモーセは兄アロンとともにファラオに会い、イスラエル人の退去を求めるが、ファラオは抵抗し、なかなか許そうとしなかった。そのため十の災いがエジプトにくだり、ようやくイスラエル人たちはエジプトから出ることができた。それでもファラオは心変わりして軍勢を差し向けるが、葦の海で水が割れたため、ユダヤ人たちは渡ることができたが、ファラオの軍勢は海に沈んだ。(『出エジプト記』14章)その後、モーセはシナイ山で神から十戒を受けた。
『出エジプト記』に続く『レビ記』『民数記』『申命記』はその後のモーセの生涯と律法の内容とついて記している。モーセはイスラエル人を導いて荒野を通って土地の王たちとの戦いを経つつ、カナンの地へ至った。しかし、カナンを前に民が神とモーセに不平を言ったため、神はさらに四十年の放浪をイスラエル人たちに課す。(『民数記』14章)
モーセもまたメリバの泉で、水の不足を訴えたイスラエル人に対し、「わたしに水を出させよというのか」と神をさしおいた発言をしたため、カナンの地へ入ることを許されなかった。40年の期間が満ちたとき、モーセは民に別れのことばを残した(『申命記』32章)。そののちモーセはピスガの山頂で約束の地カナンを目にしながら世を去った。その墓所は伝わっていないとされている。享年120。(『申命記』34:1)
|