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曙光

「笑うこと」を死者が横切ると書いたり
「思い出のひとつばかりかすべてさえも」
緑野を覆って光る雷鳴と
いいなして
滝を下った
途中の通りでは
となりあわせのひとごみ(ひとなら怒ってもいいのに
こえもあげずに)
の向こうから
やはり弟や自分や
見知らぬ父や母に
くりかえしこえをかけられる
涙腺がゆるむのか
そのたびに眠りに落ち
額には大きな暗闇が覗ける
水の中に流れている星々や
たなびく節句の幡の色彩を
飲み込むのか
それとも
一風
かわった風に
紛れてもいくのだろうか
一面が白い紙のうねりでもあって
しどけない声音がそこここに
飾られている気配はあるが
輪郭も身の丈にみあう影さえもない
あったところで
描けまい
ことばももたぬ
生まれる前の
画家にすぎない自分のでさえも
(などと何故か思いながら)
呼吸も今注ぐ日差しも
似ていて
どこでも瞬きのように
凍りつく(不覚にも)
かつての潤いの中に
響き渡るものにすぎない姿を預けた
すべての終わりに
とあきずに書いて
その場所に重ねて
ぴたりとはめ込まれた曙の全景
その一片だけが乾ききって
無臭になるに
まかせる

阿吽8号2013春号

 阿吽8号の(4月22日現在)の目次  
  
  近藤弘文・・・・・・反古草紙機↓
  阿部嘉昭・・・・・・岸辺出し
  平川綾真智・・・・・”8白川090611
  藤原安紀子・・・・・ロマンスコープ
  海東セラ・・・・・・ぱぺっと
  綾子玖哉・・・・・・バベル詩篇(エスキース6)
  紙田彰・・・・・・・未発表詩集
            『strandにおける魔の・・・・・』(1987)抄
              魔女の翔く
              女陰
              忍び笑う魔
              宛名の魔
              stranndにおける魔の
              asterisque
  高塚謙太郎・・・・・恋の丘
  佐藤裕子・・・・・・リフレイン  
  松本秀文・・・・・・夢の城ーー或る設計師SAKUTAROのメモから
  塚越祐佳・・・・・・発芽する時間  
  さなぎなぎさ・・・・ぼぼぶろどお
 
   広田修・・・・・・山田亮太詩集『ジャイアントフィールド』について
   たなかあきみつ・・・・・・ロシアの翻訳詩篇
  
  * 短編小説 窪田貴・・・・・スープと、花と、コーヒーと、
 
  # 豚の翼 第7回 榊修治・・・・・今生の置き土産
   
   阿吽日誌・・・・・K.A
    
   目次・本文カット 石黒紫水
   表紙画は紙田彰氏の「自由とは何か」(2004年・油彩)

   4月下旬の刊行を期しております。


      現代詩塾「阿吽塾」事務局

流行の病にかかる

5月のことだった。頸部脊柱管狭窄症というお年寄りのかかる病気にかかり、頸骨の4,5,6,7番をたち割る手術を受けた。その後、あらゆることへの意欲をしばらくもてない日々が数ヶ月ありました。いただいていた原稿もPCの不具合で消滅させるはめに。皆様に多大なご迷惑をおかけしました。
 さて、「阿吽」の7号ですが、この25日にはできると思います。
 執筆者は、海東セラ
      紙田彰
      佐藤裕子
      平川綾真智
      たなかあきみつの各氏です。
 乞う、ご期待。
 なお、12月から阿吽の綾子玖哉のメールアドレスが
             kyuya@ksf.biglobe.ne.jp にかわります。

 渡辺玄英氏が出された詩集「破れた世界と啼くカナリア」をこの一月ちかく繰り返し読みました。読むたびに不安感がいやまし、読んでいる自分が「もうどこにもいない」寂しい感じに支配され、同時に立っていられない、そう遊園地のくるくる回るコーヒーカップに乗っている気分を味わうはめになった。
 いつも、いつでもわたしであれ、彼であれ、あなたであれ確かな「わたし」はもちろんのこと、「わたし」がいる世界すら本当のそれではない。(そういう不確かさを詩人はことばを通して覗き、いやおうもなしに確認せざるを得ないものとしてわたしたちに感じさせるのだ)
 今、あるいはこれからも息して過ごすだろうそこは、何と名付ければことばもなしに、「世界」でありうるのか・・・・。詩人はここでは、砕け散る結晶体のごとき透明感あふれることばのきらめきそのものに自らを変容させる秘技を軽やかになすのだ。希有のひとだ。
  
  ここにあるのは(脈がみだれて
  もう終わったものと まだ始まらないものばかり
  なくなってしまえ!(ボクは忘れない

 忘れることはきっとないのだ。ひとは、この詩集の現している、そこここに、あるいはここにしめされたなつかしい時空が縦横無尽に跳梁跋扈するわたしだけの唯一の世界に繰り返し立ち戻って来ることになるだろう。2011年は、極めて、衝撃的な希有の詩集を持った。バンザイ、バンザイ・・・・。この詩人はいつでも、どこでもあなたのか細い「現実」の擁護者としてあなたの少しだけ後ろに控えめに、けれども力強い味方の影のように寄り添ってくれている。こんな安心がどこにあるだろう。ありがたい、そう記して終わるほかない。      綾子玖哉

消えること現れること

 今日は本当に楽しかった。若い書家にしてイラストレーター石黒紫水さんに「バベル」詩編(エスキース3)を筆で半紙に書いていただき、それを墨と水を含んだ筆で一部上書きして、消して読めない部分のあるものにした。終わって、彼女が言うには先に消えた部分を作ってから字を書くと、あたかも無いところから何かが出てくるのを表現できますね。聞いて、何か眼からうろこが、とういう気持ちがした。あるものを、見えなくすることばかり考えていた自分のあさはかさを痛感した。他のいろいろな雑談のなかで次への貴重な示唆をいただいた。若いって、本当に凄い。そう感じたことだった。
      阿吽塾塾長 綾子玖哉


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