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この16日に三校が終わり、印刷にまわしました。早ければ、月末には刷りあがるそうです。なお、今号には、文庫判型の松本秀文氏編「野良太郎全詩集」と綾子玖哉の「勝手に<チュー>された『バベル』詩篇(エスキース1)」が別冊付録になっています。木村朝行氏のアラン ロブグリエ論が始まります。今回は序論。ご期待下さい。  阿吽塾塾長

  いちずに いまは

 は なれた
    はなれた天空の 白い雨のひもの

    下から
   静かに 
波が
 街の影を呑み そして 底の髪のうねり
   声
   越えていく 火になる ただ歩む
    人影だけを 燃やして 匂う
   乾いた眼で
  取り囲む
 ゆれて
  さし出された紙の上の
    青いリンゴを照らし
   ひび割れた指がさすかなたの
 小さな(中断)

波乗り山のふもとまで

青砥たづき



星喰い坂道で昇天する
海割り猫のことなど
思う
もらい肌を拭く風色爪毛の夜に
腰には虹紐に吊されて乾しあがった
その手がありあの手もあり
「さみしい」輪とか「くちな」輪とか
「毛」ものとかが
紙上の三頭の牛みたいにひしめく空気のうず
あるいはブリキのヒコーキとかガラスの香水瓶の間に
よくある不眠
夢を割る湯と芽に(ここで笑い猫の舌ざわりを実感した!)
とび起きる速度はぜる
重量無量の石けん水(陽射しのこと)をかけ塗られ
濡れたひとなみの瞳をはずす
その手はずをととのえる
そう月並みに書いて
終わりにする
さて柔らかで黄色い月も出た
けむり犬は去るだろう
波乗り山のふもとまで

霧花

岸野華菜



気後れする
空中の朱色の翼のけものに会うと
足は不定形のなぎさ
夜の入り口を消し去る歌声を
耳にしのばせている
二筋のまなざしを向ける
その先にある
木漏れ日
緑まぶしい風音は言うのだ
鳴る「純白」はいい
水のような忘却は涼しい
背では今高まる潮位
瞼の裏に広がる確かにうねる海
(書いても無駄だこんな一行)
冬でさえただヒューヒューと比喩の雪
(鐘を打つ)遠景をたたむ
そこに霧花は咲くが
音楽は見えない
曲がりくねって眠るということを
夢想したからだ
船端に描いた熱帯雨林も
本筋を外れた(但し書きのついた)過剰
そらは放物線(何のであれ)の彼方への響き
さらなる放心へと紛れて行く
飛沫が肌に痛い
内外なく
雨がぼそぼそと
陽を濡らす

言語の詩的実験

 昔々、30年以上前になる。「修造肖像」というタイトルの本を構想したことがある。故滝口修造氏から「わたしの著作のどこからでも、あなたの使いたい章句を選び、自由にならべた書物」をとご承諾して下さり、その時題名は氏がつけて下さるとまでおっしゃって下さったのに、実現しなかった。その理由は、ただただ、当方がいかにも青く何も「わからない」若造だったからだ。おそらくおそらく。
 さて、タイトルは、「現代詩の詩的実験」でもよいのだが、「詩的実験」は瀧口氏の専売特許でもあるので、泉下で氏がくしゃみするかもしれない。
 以前から、詩人のではなく、あるコンセプトで選ばれた詩篇のアンソロジーを構想ではなく多分夢想して来た。
  順序不同ながら  例えば 入沢康夫氏  「焦慮の唄」
               岡田隆彦氏  「朝のあのことー内容の細目」
               山村暮鳥氏  「藝(口へんあり)語」
               天沢退二郎氏 「星生れの男」
               吉増剛造氏  「唖者の家へ」
               荻原恭次郎氏の一編 今詩集が見つからない!
                柏木麻里氏  「蝶のゆく」
               松本秀文氏  「ほら僕らはこんなにも数字を見ている」
               阿部嘉昭氏のどれでも一編
               藤原安紀子氏 「巨樹の水が幻影を視よ」
               近藤弘文氏  「が折れた腕や1」
                帷子耀氏   「望郷」

どこまで増えるかわからないが、阿吽で読者からも「この一編を」というものを募って、これを本にしたい。もし、実現しなかったとしたら、理由は今度はきっと、ただただ当方が老いさらばえたからだ。


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