
展望台にいるうちに雨が本降りになってきた。
ほかの観光客は車やバスで帰っていった。
折りたたみ傘をさしてゆっくり山を下る。
雨の山もいいものだ。
木々の緑が洗われて、空気がとてもうまくなる。
炎天に焼かれていた合掌造りの家々も、
雨に冷やされて息を吹き返したようだ。
観光客はほとんど姿を消し、
村は営業が終わったテーマパークのように静かだ。
どうして合掌造りの民宿に泊まってもっと村の空気を吸おうとしないのかと、
ふと考えた。
観光客もそんなに多くないから、
今からあたってみれば、空きがあるかもしれないとも思う。
しかし、やはりやめておこう。
養蚕業や農業で暮らしていた人々の風情を求めて彼らの家に泊まっても、
そこには合掌造りを守るためにテーマパークと化した村と、
観光業に従事する住民と接することになるだけだ。
それはあまりにつらい。
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