
奈良公園の中を適当に歩いていると、東大寺方面に向かう道に出た。
興福寺がマニアックな中高年と外国人観光客しかいなくて静かだったのに対して、
東大寺はさすが団体旅行の必須ポイントだけあって、参道は人があふれている。
まずは南大門で金剛力士像を拝む。
平安末期の源平合戦のときに焼け、鎌倉時代に再建された門だ。
無骨・質素・豪壮。
運慶・快慶作の金剛力士像はとにかくでかい。
見るからに木造彫刻なのに、この筋肉美に引き込まれそうになる。
夢中になって角度を変えながら眺めていたら、鹿の糞を踏んでしまった。
そういえは門の下にもあたりまえのように鹿がいて、
あちこちに黒い丸薬をまき散らしている。
乾いていれば平気なのだが、踏んだ瞬間に柔らかい感触があったから、
たぶん新鮮な糞なのだろう。
靴底の凹凸にしっかり入り込んで、けっこう臭い。
参道のわきの熱く焼けた砂利にこすりつけながら乾かす。
平然とそこらをうろついている鹿を見ると腹が立つが、
神々の使いに腹を立てていては奈良公園を散策する資格はない。
もしかしたら神々はぼくがどれくらい真剣に奈良詣でをしているのか試しているのかもしれない。
つまりこれが奈良公園の洗礼なのだ。
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