
狭井神社を出てさらに南下すると、
すでに大神(おおみわ)神社の境内扱いということなのか、
山道の両側に灯籠が並び、小さな祠や鳥居、参拝客が目につき始める。
それまでハイキングの中高年といった感じの人ばかりだったのが、
あきらかに参拝目的の人たちだ。
何やら材木のようなものを持っている、
神官的な感じの白装束の一団とすれちがった。
鳥居の奥でなにやら1人熱心に拝んでいる若い女性と、
鳥居の外で待つ母親らしい人がいた。
娘さんがかなり深刻な悩みを抱えているのだろう。
そういう人が真剣に祈りを捧げに来るところに、
大神神社の底力が感じられる。
娘さんが立ち去ったあとに、鳥居の奥をのぞいてみると、
神籬(ひもろぎ)の石みたいな石がひとつ、きれいな木の柵で囲われていた。
ここも石器時代から神々が降臨する場所として崇められてきたのだろう。
大神神社の拝殿前には、秋らしく黄色の菊が飾られ、酒樽が山積みしてあった。
イベント的なテントが張られて、酒をふるまっている。
新酒ができあがる時期だから新酒フェア的なことをやってるのだろうか。
賽銭箱の上には、お酒や玉子がお供えしてある。
そばには「巳の杉」という札が立てられた杉があり、
そこにもゆで玉子らしき供え物。
三輪山をご神体とするといいながら、
どうやらヘビを酒の神様として祀っているらしい。
石器時代からの原始信仰のスタイルを持ちつつ、
女性の悩み相談も受け入れ、
ヘビの姿をした酒の神様でもあるというところが、
いかにも日本最古の神社らしいスケールの大きさ、ふところの深さだ。
拝殿の前をなにやら急ぎ足で横切ろうとした神官が、
険しい顔をしながらも一応立ち止まり、拝殿に向かって一礼して、
また急ぎ足で立ち去っていった。
この敬虔さがなんともいい感じだ。
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