|
ひさしぶりに白金の庭園美術館に行った。
アレクサンドル・ロトチェンコとそのパートナー、ヴァルヴァラ・ステパノワの作品展をやっていた。
ロシア構成主義というのはロシア革命の前後に生まれた前衛芸術運動とのこと。
ソビエトに前衛芸術があったというのは、
後のスターリン時代の保守性を考えると不思議な気もするが、
映画のエイゼンシュテインが映像表現の可能性を切り拓いたように、
美術でも突き抜けた表現が生まれ、西側にも少なからず影響を与えたらしい。
特にロトチェンコの幾何学的な表現は、ロシア構成主義を知らなくても、
誰もが知っている斬新で懐かしいスタイルで、こちらの心をなごませてくれる。
ソビエト連邦も東欧の社会主義も崩壊した今、
勝利した資本主義が19世紀的な暴走をふたたび始めている今、
社会主義の理想を信じたていたのかもしれないソビエトのアーティストたちが、
何を感じ、どんなエネルギーに突き動かされていたのかを想像してみるのは、
けっこう意味のあることなんじゃないかという気がする。
社会主義との戦いに勝利したかに見える資本主義国家群にも、
実は新しいアンチ資本主義の動きが生まれているのだと主張する人たちもいる。
たとえばNGOやNPOのような組織は新しいアナーキズムの動きなのだそうだ。
環境保護団体のゆるやかな連携なども。
アナーキズムというと、国家を否定するテロリストの思想みたいなイメージがあるが、
もともとは人間を不幸にする国家や経済の仕組みとは違うやりかた、
人間本位の社会をめざす考え方だ。
社会主義の失敗が、革命党が国家を支配するガチガチの組織を作ったところにあるとすれば、
柔軟なネットワーク的な連携や、
NGO・NPOのように国家や資本主義から離れた組織の活動には、
もしかしたら、新しい世界のあり方に通じる可能性があるのかもしれない。
しかし、もしそこに未来があるとしたら、
その活動の原動力を表現するアーティストたちはどこにいるんだろう?
|