
白金の東京都庭園美術館に行ったのは、
もともとロシア構成主義の美術展が見たかったからではなく、
建物を眺めたくなったからだ。
旧朝香宮邸として昭和8年に建てられたここの建物は、
日本を代表するアール・デコ建築なんだそうだ。
ぼくが学生だった1970年代まではたしか白金迎賓館と呼ばれていて、
一般人は立ち入れない場所だったのだが、
80年代になって美術館としてリニューアルされた。
それから何度も足を運んでいるが、
ロバート・メイプルソープ展をのぞいて、
特に何を観に行ったか記憶に残っていないのは、
美術展そのものよりもこの建築を眺めたかったからだろう。
館内は撮影不可なのだが、
撮影可だったら展示品そっちのけで写真を撮ってしまいたくなるような、
美しい意匠であふれている。
そうした目のご馳走を堪能したあと、
茫然としたまま庭園をうろつき、
外から何枚も写真を撮った。
外観だけでは、この建物の魅力はほとんど伝わらない気もするが、
それでもシャッターを切るのをやめられなかった。
|