もう夕方近いし、このまま駅に戻って帰ってもいいかなと思っていたのだが、
人通りのない通りで静けさに浸っていたら、
突然なにか天平時代のものが見たくなった。
今さら江戸時代に再建された大仏殿を見るのもなんだし、
興福寺に寄ってブームに火がついた阿修羅像を見るのもしゃくにさわるので、
どうせならまだ行ったことのない寺に行こうと、
市内巡回パスに乗り、新薬師寺に行った。
春日大社をすぎたあたりでバスを降り、
静かな邸宅街が続くゆるやかな坂を登って、
旧柳生街道へ続く道を右折。
新薬師寺は小さく、静かな寺だった。
白鳳時代の薬師寺の大伽藍とちがい、
こちらの見どころは小さな本堂のみ。
ご本尊の薬師如来より、
そのまわりをぐるりと囲んで守っている
十二神将像たちがこの寺のメインキャストだ。
天平時代の多彩でリアルで、
しかもどこか幻想的な作風が、
見る者の心を揺さぶったり静めたりしてくれる。
なんどもゆっくり回って眺めているうちに、
なんだか長い演劇か何かを鑑賞し終わったような満足感、達成感がやってくる。
堂内写真撮影禁止なので、
言葉だけでご勘弁を。
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