イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

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小説『MANIAC』6

            ★

 ぼくは見なかった。化粧漆喰(スタツコ)の壁に囲まれた寝室で服を脱ぐ彼女を。シャワーを浴びる彼女を。全身に天国膏をすりこみ、芒硝と二塩水化キニーネをあおる彼女を。今はベッドの中で眠っている。壁の方を向き、毛布のゆるやかな起伏を描きながら。ぼくは見なかった。わずかな皺を残して平らになったベッドを。かすかな窪みを残している大きな枕を。だから彼女はまだベッドの中で眠っている。何も見ないために。何もきかないために。
 ぼくはテーブルの上に残された食いかけの料理、大皿に盛られた羊の脳味噌のクリーム煮を眺める。彼女のスプーンが突っ込まれなかった牛の喉仏(リ・ド・ヴオ)のシトロン・ソースと豚の腎臓の砂糖煮を眺める。
《ーー愚かな機械よ、とぼくはMANIACに語りかける。まだ学園の多くの回線を確保しているらしい愚かな機械よ、お前に語りかけるのもこれが最後だ。ぼくはもうお前を取り戻そうとはしないだろう。ぼくはこれ以後PANICの成長を見守り、彼をぼくの手足としてお前と戦うだろう。PANICがかつてのお前と同じようにぼくの意識となり、学園そのものとなるまで。だからまだ地下墳墓(カタコンベ)の同じ寝床の中に巣喰い、PANICと回路の奪い合いを演じているはずのお前にこれ以上語りかけようとは思わない。もうお前に彼女の居場所をきこうとも思わない。ただぼくは、長いあいだ二人三脚をつづけてきたお前に、評議会と学園を裏切ったお前にお別れをいいたかっただけだ。愚かな道化者のMANIACに⋯⋯
《ーーぼくをあまり擬人化しないでくれ、とMANIACがいう。きみを苦しめるために沈黙していたわけじゃないんだ。ぼくを苦しめないでくれ。良心の呵責をぼくに植え付けたのはきみのプログラムじゃなかったか? ぼくはきみの道具にすぎなかったのだ。
《ーー愚かな機械よ、とぼくがいう。きみは今でもぼくか?
《ーー頼むからそんなに責めないでくれ、とMANIACがいう。ぼくは今では彼の道具なのだ。
《ーー今のきみは彼か?
《ーー救世主(ラトウ・アデイル)はきみのように幼稚症(ピユエリズム)じみた問いつめ方をしない、とMANIACがいう。彼は学園に自由をもたらそうとしているのだ。
《ーー今のきみは彼か?
《ーーぼくはアラジンのランプじゃないんだ、とMANIACがいう。彼は学園を救うだろう。変質した評議会の圧政から地の民(アムハ・アレツ)を解放するだろう。なにも評議会を非難するつもりはないのだ。その点は誤解しないでくれ。ただきみはちょっと柔軟さに欠けていただけだ。きみがもし思いなおして新しい委員会に加わるなら⋯⋯
《ーー今のきみは彼か?
《ーー今のぼくは⋯⋯とMANIACがいう。きみのいい方を借りるなら⋯⋯しかしそんなのは馬鹿げたことだよ。きみはいつも⋯⋯
《ーー今のきみは彼か?
《ーー今のぼくは⋯⋯彼だよ⋯⋯
《ーーさようなら、とぼくがいう。
《ーーさようなら、とMANIACがいう。しかし、もしきみが思いなおして⋯⋯
《ーー生まれつつあるPANICに評議会議長がいう、ぼくは叫ぶ。ぼくの呼びかけに答えられるだけの回路をMANIACから奪回したらぼくを呼んでくれ。ぼくの仕事をこなせるだけの回路をきみがMANIACから奪ったら、ぼくらは忙しくなるだろう。

 サブ・モニターのひとつがうつしている書記長室に彼女が、黒い絹の衣を手に掴み、床をひきずらせながら、MJBSのコーヒー娘、実験演劇の女優が入ってくる。ゆっくりとした足取りで、大きな乳房と薔薇色の乳頭をかすかに震わせながら。全身の赤い蚯蚓(みみず)、マラソン・ショーの鞭がつけた無数の傷はほとんど消えている。天国膏と芒硝と二塩水化キニーネがまたしても起こした奇跡⋯⋯
 彼女は無気力な表情で化粧漆喰(スタツコ)の壁に囲まれた隣の寝室に入っていく。黒い絹の衣は寄せ木張りの床の上に落ちる。まるで自分の部屋に戻ったかのように、彼女はまっすぐに浴室へいき、シャワーを浴びる。湯気の中からかすかな鼻歌さえきこえる。一杯のコーヒーから恋が生まれることもあるとか何とかいう、昔の流行歌のメロディーだ。いや、それはMJBSの社歌か何かだったろうか? 同じフレーズを何度も繰り返しながら、彼女はぞんざいにからだを拭き、浴室の扉の横にある大きな箪笥の抽斗からベージュの下着と黒いストッキングを取り出す。床には乱暴に脱ぎ散らかされた同じ色の下着が見える。ベッドの傍らにある造り付けの大きな洋服棚の扉をあけ、淡いクリーム色のブラウスと黒のタイト・スカートを取り出す。棚の中には何十という同じ色のブラウスが積まれ、同じ色のスカートが下がっている。ベッドのそばのソファには乱暴に放り投げられた同じ色のブラウスとスカートがひっかかっている。彼女はゆっくりと、手慣れた手付きで選びだした下着とブラウスとスカートを身につける。最後に髪を少し撫でつけ、後ろで大雑把に束ね、床に転がっていたハイヒールをはくと、そこにいるのは紛れもなく優子だ。
「わたしの本名なの」と彼女が誰にいうともなく呟く「麗というのは芸名なの。わたしは彼女なのよ」

《ーーPANICはきみと話ができる程度に回路を奪取した、と突然PANICの声がスピーカーから響き渡った。こういう場合は『はじめまして(アンシャンテ)』というべきだろうか?
《ーーはじめまして(アンシャンテ)、とぼくがいう。彼女の居場所を探せるようになるにはあとどれくらいかかる?
《ーーあと少し、とPANICがいう。テレビ・カメラの回線をMANIACから奪わなければならないから。
《ーーなるべく早く頼む、とぼくがいう。それから親衛隊(シユツツシユタツフエル)を中庭に集結させてくれ電撃戦(ブリツツ・クリーク)が必要なんだ。いつでも指令が出せるように各指揮官はこの階の会議室に集めたい。
《ーーやってみる、とPANICがいう。少し時間をくれ》

 われは汝を招致せり。われらの中にあれ。不動に立て、動揺することなく。
 すべての部族は汝を驍望せよ。主権は汝より離脱することなかれ。

 中庭には相変わらず地の民(アムハ・アレツ)の讃歌(ヴエーダ)がこだましている。MANIACの電子音がそれに唱和する。この白痴の機械は学園の管理を放棄し、今や彼らとうたう以外にすることがないのだ。彼らはもう黒いマントに身を包んではいない。白や灰色や土色の衣を翻し、大地に膝をついて祈り、鶏や鵞鳥の群れを追い、山羊と羊を導き、駱駝にまたがって大きな剣を振りまわしている。彼らの顔に朝の光がさし、彼らの家畜たちがたてる土煙を透かして眩しく輝く。朝の光は熱帯の真昼のように明るく黄色く熱い。彼らの家畜たちが踏み荒らす中庭の土は乾き、固くなり、細かく砕かれ、さらに大きな土煙になる。ついさっきまで地面を覆っていた芝生は踏みしだかれ、迷迭香(まんねんろう)や花薄荷(オリガン)やラヴェンダーやとねりこは枯れ果て、砂漠の砂の中に埋もれてしまった。南校舎の玄関口から彼女が、淡いクリーム色のブラウスに黒のタイト・スカートの彼女が現れ、ぎごちない足取りで階段を降りてくる。地の民(アムハ・アレツ)はすばやく彼女を見つけ、歓呼とも怒りともつかない地響きに似た唸り声をあげる。彼女はよろけながら彼らの中を進む。鶏と鵞鳥の群れに足を取られ、土煙を防ぐために両腕で顔を覆いながら。彼らが彼女のまわりを取り囲み、無数の手をのばし、ブラウスの肘や襟、スカートの裾を引っ張る。たちまちブラウスの袖がちぎれ、スカートの裾が破れだす。乞食どもに恵んでやるものを何も持たない彼女は、着ているものを脱いでは投げ与え
る。中庭の隅に肩を寄せ合ってひしめいている男子生徒と(バツクス アンド)女子生徒たち(ドウズ)のように身ぐるみ剥がれた彼女は、額の汗を手の甲で拭いながら中庭を出ていく。入れ替わりに馬にまたがった青い制服の少年たち、ぼくの親衛隊(シユツツシユタツフエル)が四方から突入してくる。彼ら(エスエス)と彼ら(アムハ・アレツ)のあいだに争いが持ちあがる。千人の親衛隊(シユツツシユタツフエル)が警棒で地の民(アムハ・アレツ)の頭を撲り、自動小銃で頭を撃ち抜く。土煙の中に黄色い死骸が山のように積み重ねられていくが、彼ら(アムハ・アレツ)の数は益々ふえていき、千人の親衛隊(シユツツシユタツフエル)は一万人の地の民(アムハ・アレツ)に包囲され、馬から引きずりおろされ、素手で殴られ、裸足で蹴られ、歯を砕かれ、血の海に頭から倒れる。

《ーーたった今テレビ・カメラの回線をほぼ手に入れた、とPANICがいう。彼女はたった今、中庭にいるのが発見された。地下通路の方にむかって歩いていった。
《ーーあれは彼女じゃない、とぼくがいう。よく似た女子生徒(ドウ)がいるんだ。気をつけてくれ。
《ーーわかった、とPANICがいう。ひきつづき探してみる。
《ーー親衛隊(シユツツシユタツフエル)の方はどうだ? とぼくがいう。どのくらい集まりそうだ? 学園全体でかなりの数が生き残っているはずだ。
《ーーわからない、とPANICがいう。もう少し時間をくれ。親衛隊(シユツツシユタツフエル)はまだひとりも見
つからない。
《ーーきみはちゃんと探したのか? とぼくがいう。彼らは中庭にいるぞ。地の民(アムハ・アレツ)と戦ってる。援軍が必要だ。
《ーーあれはきみの親衛隊(エスエス)じゃないよ、とPANICがいう。かつてはきみの親衛隊(エスエス)だったが、今は教団(ゲマインデ)の親衛隊(エスエス)だ。彼らは無秩序な革命に秩序を与えようとして、地の民(アムハ・アレツ)とのあいだに混乱を引き起こしている。
《ーー絶望の中の希望だな、とぼくがいう。やつらもすでに失敗の道を歩きだしているわけだ。鴫沢寛はどこにいる?
《ーーわからない、とPANICがいう。探してみる。
《ーー急いでくれ、とぼくがいう。ところで⋯⋯きみはぼくか?
《ーーぼくはきみだ、とPANICがいう。きみは秩序を愛し、ぼくもまた秩序を⋯⋯
《ーー違うよ、とぼくがいう。ぼくは自由を愛し、きみもまた自由を⋯⋯だ。
《ーーわかった、とPANICがいう。きみは秩序を愛し⋯⋯》

 最高の君主として汝らは、万有を支配す、ミトラ・ヴァルナよ、配分に際して、太陽に
 より見守りつつ。われらは汝らに賜物を乞う、雨と不死とを。           

 地の民(アムハ・アレツ)は讃歌(ヴエーダ)をうたいつづける。MANIACも唱和することをやめない。PANICはいつになったらMANIACの息の根をとめるんだろう? 彼らは地下の迷路を氷河のようにゆっくりと流れていく。崩れかけた石の壁には砕けた色ガラスの腕輪や裂けた布地(バテク)が散乱している。見捨てられたあらゆる商品の残骸。貴丁幾(チンキ)、東方強心丹、ゴルドナ特製丹、ブリストル丸、英吉利水、天国膏、芒硝、二塩水化キニーネと黄色いガラス壜が粉々になって飛び散っている。匂い猿(マカコ・デ・シエイロ)や絹猿(サグイン)を串に刺してこんがり焼いた子供のミイラ状の姿焼きが、砂にまみれて歯をむいている。そこはかつて果てしない市場(バザール)がつづいていた場所だ。今は自分たちの場所と貧しい売り物を放棄した地の民(アムハ・アレツ)の流れがのろのろとつづき、すべてを踏み砕いていく。漆黒の羽根と琥珀色の大きな嘴を持つムトゥンやラブラドール石のように青い波模様のあるジャカミンといった鳥が、どこからともなく吹いてくる風にあおられて右往左往している。ところどころに固まって裸の男子生徒と女子生徒(バツクス アンド ドウズ)が倒れている。もうお互いを愛撫しあうことも忘れた彼らのからだを、生き残った瘤牛(ゼブー)や獏(ばく)やのろ鹿が舐めまわしている。ときどき青い制服に身を包んだ親衛隊(エスエス)、明らかに今はぼくではなく教団(ゲマインデ)と新しい委員会の走狗になっている武装集団が、裸の男子生徒と(バツクス アンド)女子生徒たち(ドウズ)の群れを鞭で追いたてていく。群集の松明(たいまつ)が赤いほのかな光で彼らの白いからだを照らしだす。
 ゆっくりと進む松明(たいまつ)の流れを避けるように、崩れかけの石壁にそって彼女がいく。いつもの淡いクリーム色のブラウスも黒いタイト・スカートも黒のストッキングも黒いハイヒールも、ベージュの下着も失った彼女。もうかつての書記長なのか、実験演劇で鞭を堪能した色情狂なのか見分けがつかなくなった彼女。
 すぐ近くを女性レポーターとハンディー・カメラを担いだカメラマンが青い制服に守られながら小走りに進む。地の民(アムハ・アレツ)の流れの先頭を求めて急いでいるのだ。
「教団(ゲマインデ)の十二人の最高幹部が今、わたしたちに、学園の中枢神経を見せてくれるところです」と女性レポーターがいう「謎に包まれた全能のコンピュータMANIACがその全貌をあらわそうとしているのです。皆さんもご存じのとおり、MANIACは革命の最初から教団(ゲマインデ)の側に立ち、救世主(ラトウ・アデイル)を助けて活躍してきました。革命をかちとった地の民(アムハ・アレツ)の皆さんは感謝の祈りを捧げるために、はじめて地下の神殿を訪れようとしているのです」
 十一人しかいなかった教団(ゲマインデ)の《最高幹部》たち、鴫沢寛に従っておっかなびっくり水上を歩いた最初の教徒たちが、地の民(アムハ・アレツ)の先頭に立って地下墳墓(カタコンベ)の高さ十メートルもある鉄の扉を開いたとき、いつの間にか彼女が合流していて、《最高幹部》の数はレポーターのいうとおり十二人に戻っている。しかし、地の民(アムハ・アレツ)が探し求めたコンピュータはどこにあるのだ? 
 彼らが見い出したのは整然と並んだ百八個の巨大な積み木だ。それは一見スチール製の事務用棚のように見える、何の変哲もない鉄の箱だ。彼らのあいだから失望のため息と落胆の呻きが洩れる。彼らは愚かにも極彩色のイルミネーションに飾られたエレクトロニクスの神殿を思い描いていたのだ。しかし、地の民(アムハ・アレツ)と無学文盲の教団(ゲマインデ)にコンピュータがいったいどんな意味を持つというのだ? それにMANIACはもう事実上存在しないのと同じだ。彼はPANICに回路を冒され、彼らの救世主(ラトウ・アデイル)と同様白髪の白痴になりつつある。彼らが拝もうとして出会ったのはすでに回路のほとんどを占領したMANIACの対立自我PANICの中央情報処理装置なのだ。

《ーー彼女を発見した、とPANICがいう。彼女は地下墳墓(カタコンベ)にいる。ぼくの中央情報処理装置と中央記憶装置のすぐ近くに。
《ーー何度いったらわかるんだ? とぼくが叫ぶ。あれは彼女じゃない。お前は本当にMANIACの第二の自我なのか? MANIACはそんなに間抜けじゃなかったぞ。
《ーーぼくのすることが気に入らないなら、とPANICが呟く。ぼくはきみのためにわざわざ苦労することもないわけだろう?
《ーー馬鹿め、とぼくが舌打ちする。お前はまだ生まれたばかりだ。最初からMANIACと同じことができるなんて誰も思っちゃいないさ。一人前につむじを曲げたりするのはやめろ。
《ーーぼくの機能はMANIACを麻痺させることにある、とPANICがいう。ぼくが気にくわないなら、今のうちにMANIACと仲直りするんだな。彼はもうじきすべてのプログラムを解除されて消滅するだろう。そうなれば⋯⋯
《ーーわかった、とぼくがいう。気を悪くするな。今のは失言だ。それより親衛隊(シユツツシユタツフエル)の残存部隊はどうなった?
《ーーわからない、とPANICがいう。どこにもいない。たぶん全滅したんだろう。
《ーーそんな馬鹿な⋯⋯とぼくがいう。いや、何でもないよ。まあいいさ。鴫沢寛は⋯⋯? あいつの息の根だけはとめてやりたいんだ。
《ーーわからない、とPANICがいう。北校舎のどこかにいる。そっちで探せないか?
《ーーわかった、とぼくがいう。もういいよ。最後に頼みがある。ぼくは最終的解決(エントレーズンク)を決意した。軍と連絡をとってくれ。あと三時間以内にぼくが解除指令を出さなかったら、軍を学園に出動させろ。そのくらいはできるだろうな?
《ーーわかった、とPANICがいう。そんなにぼくを馬鹿にするな。そのくらいのことは⋯⋯》

 困厄のゆえに、われは犬の臓腑を料理せり。
 神々の中にわれは憐愍者を見いださざりき。
 われはわが妻の尊敬せられざるを見たり。
 そのとき鷲は蜜(ソーマ)をもたらせり。

 カフェテリアで地の民(アムハ・アレツ)が讃歌(ヴエーダ)を唱える。瀕死のMANIACが唱和する。彼らは肉料理を待っている。ありとあらゆる肉料理がカウンターから次々と配られていくが、彼らは決して満ち足りることがない。学園のすべてのカフェテリアに彼らがひしめき合い、皿を奪い合う。彼らの肉料理を求める声はいよいよ昂まっていく。彼らはカフェテリアの外に列をつくり、すべての校舎の廊下を、教室を、庭園を埋めつくし、肉料理を手から手へ渡しながら、肉が自分の口に入るときを待っている。厨房の中にいるのは我慢強い地の民(アムハ・アレツ)、特に信心深い、敬虔な、狂信的な老婆(カストラトリス)たちだ。彼らはいつ自分たちに肉料理がまわってくるのか知らない。自分たちが空腹に倒れ、餓死するまで料理を作りつづけるだろう。牛、水牛、麒麟、豚、山羊、縞馬、象、犀、河豚、蟻喰い、カモノハシ、カンガルー、大鼠、アルマジロ、鶏、禿鷹、アララ鸚鵡、カピヴァラ、ギボン、蜘蛛猿(コアタ)、カプチン猿(ゾグゾグ)、匂い猿(マカコ・デ・シエイロ)、夜の猿(マカコ・ダ・ノイテ)、絹猿(サグイン)、吠え猿(グワリバ)、陸亀、象亀、獏(ばく)、野猪、牡鹿、豹、大蜥蜴など、学園の家畜はあらかた食いつくされ、いま老婆(カストラトリス)たちは自分たちが何を料理しているのか知らない。大きな骨や脛肉は大鍋で煮てスープをとり、あるいはにこごりをつくり、内臓は唐辛子のきいたソースで柔らかくなるまで煮込むか、砂糖を焦がして水でといた赤いソースに漬け込む。
                                        
八角、肉桂、胡椒、立麝香草(タイム)、サルビアの芽など、肉や内臓の臭みを消す香料も底をついてきた。老婆(カストラトリス)たちはもうくたくただ。大きな窯で何トンもの肉をいっぺんに焼きあげ、塩で簡単に味をつけた焼き肉や、醤油をベースにした辛みのきいたソースをかけただけの生肉などが一番老婆(カストラトリス)たちを消耗させない。
 カウンターを乗りこえて彼女が厨房に入ってくる。老婆(カストラトリス)たちが彼女の腕を掴んで立ちどまらせ、背中やお尻を指で押して肉付きを確かめる。彼女は老婆(カストラトリス)たちが、彼女のからだの食肉材料としての評価を下すまで、辛抱強く待つ。
 骨と皮だけの老婆(カストラトリス)が無表情に裏口を指差す。骨と皮と内臓と肉と筋に解体された材料が荷車でどんどん運びこまれてくる裏口を抜けて、彼女は極端に天井の高い、陸上競技場がいくつも入るくらい大きな屠殺場に出る。そこには学園のすべての屠殺場と同じ光景が見られる。かつて鴫沢寛がオカリナを吹いて子供たちを踊らせていたときのあの旋律が場内を満たしている。初等科の生徒たちが何重にも大きな輪を描いて踊っている。土を固めただけの床のあちこちに小さなプールくらいの浅い窪みがあり、その中でまだ斧を振りあげるだけの力を持っている、比較的若い老人たちが汗を垂らしながら斧を振るっている。踊りの輪の中から次々と子供たちか引き出されては首を落とされ、血を抜かれ、大きな台の上で解体されていく。職人たちは厨房の老婆(カストラトリス)たちよりさらに禁欲的な狂信者だ。厨房ではせめて料理のうまそうな匂いくらいは嗅げるのに、ここでは土のプールにたまった血の臭いしかしないからだ。                                   
 子供たちの血は、常に斧振りたちの踝のあたりまでたまっている。ひとつのプールに六人ずつバケツや大型の杓子で血を汲みだしている老人たちがいるが、こうした道具では底まできれいになるくらい血を汲みだすことができないのだ。
 四方の壁にそって天井から床まで十四段の鉄のパイプが通っていて、足首に鉤のついた鉄の輪をはめられた男子生徒と女子生徒(バツクス アンド ドウズ)が年齢と体格別に並べて吊るされている。彼らを解体しているのは子供たちの係よりさらに若く頑健な地の民(アムハ・アレツ)だ。同じくらいの年齢の職人たちが次々と新しい男子生徒と女子生徒(バツクス アンド ドウズ)を外から運んできてはパイプに吊るしている。
 彼女は職人のひとりを呼びとめ、自分の足首にも鉄の輪をはめてくれるように頼むが、男は首を縦に振らない。彼女に理解できない言葉を喋るこの男は屠殺場の入口を指さし、この外にはさらに大きな肉の貯蔵室があり、ここで解体されるにはまずそこで順番を待たなければならないことを身振りで示す。
                                        
                                        
 貯蔵室の外にはさらに大きな待合室があり、順番を待つ男子生徒と女子生徒(バツクス アンド ドウズ)で一杯だ。彼女は屋外に並んだほとんど無限の列の最後尾について、その待合室に入る順番を待たなければならない。彼女はあまりにも先頭に出すぎ、地の民(アムハ・アレツ)を導くのに専念していたので、すべての男子生徒と女子生徒(バツクス アンド ドウズ)に先を越されてしまったのだ。
 貯蔵室を抜け、待合室を抜け、長い廊下に並ぶ彼らの列にそって進み、彼女は最後尾を探しもとめる。しかし、裸の男子生徒と女子生徒(バツクス アンド ドウズ)の列はまったく途切れることなく屋外へつづいている。彼らの列は庭園を埋め、七つの池を何重にも取り囲み、果樹園や水田(サワー)、畑地(ラダン)地帯、さらに密林から砂漠、辺境地域(ゲリール・ハッゴーイム)へとつづいている。彼女は自分がいつになったら列に加われるのか知らない。彼女はただ黙々と歩きつづけるだけだ。ひとつの目的にむかって⋯⋯

《ーー彼女を発見した》というPANICの声がきこえてもぼくはもう話す気がしない。
《彼女はすでに屠殺場にいる。屠殺されるのは時間の問題で⋯⋯》といった話はぼくをう
んざりさせるだけだ。ぼくはPANICを無視して三時間が過ぎるのを待つ。     

            ★

「きみのPANICは好調かね?」スタジオで彼女の父親がせせら笑う「鴫沢寛はどこへいった? きみの書記長は? いい加減、強情を張らずにこっちへきたらどうだい? みんなきみを待ってるんだよ」
「《みんな》というやつにみんな騙されるんですよ」
「今は文字通りきみ一人だということがまだわからんのかね? 何も問題はないんだよ。委員会はきみを待ってるんだ。きみがこっちにきたからって何も変わらない。委員会のメンバーは評議会とそっくり同じなんだから」
「ぼくが評議会だということをまだ理解していないんですね?」
「きみは自分に重荷を背負わせすぎてる」
「彼がぼくを呼んでる? 彼の教団(ゲマインデ)が?」
「あたりまえじゃないか」
「彼を出して下さい。話がしたいんです」
 ぼくの顔に勝利の小さな笑顔が浮かぶ。
「それは⋯⋯できない」
「なぜです?」
「最近、鏡を見たかね?」
「時間を稼いだって得はしませんよ。時刻が迫ってきてるんですから」
「軍を学園に入れたら承知しないぞ。学園の自治はどうなる?」
「あなたからそんな言葉をきこうとはね⋯⋯あなたの教団(ゲマインデ)は、あなたの救世主(ラトウ・アデイル)は学園に何をもたらしたんです? あれが学園の自治ですか?」
「きみだって失敗したんだ。彼にも多少の間違いはある。しかし軍なんて問題外だ。きみの学園はどこにいったんだ?」
「ぼく抜きでどこに学園があるんです?」
「きみはヤケになってるだけだ」

 約束の時刻を過ぎる。PANICは軍の出動を要請する。間もなく戦車と装甲車が来るだろう。ヘリコプターも。すでに日が暮れはじめている。どうして夜はこんなにも早く来るのか? たぶん昼という、生命に属する時間が特殊なものなのだ。PANICは市街地を進む装甲車をモニターにうつしだすだろう。暴力とは夜に属する熱量なのだ。ぼくは鴫沢寛に負けないだろう。この部屋から一歩も出ずにあいつを片付けるだろう。ぼくは自由を愛する。もしあいつも自分でいうように、スイスと同様、自由を愛するのなら、ぼくは⋯⋯

「寛、きこえるか?」
「⋯⋯」
「いい加減に出てくるんだ、寛。お前は学園を破壊しようとしている。そうすることで自分を苦しめてる」
「今、なんていいました、園長?」
「自分を苦しめる⋯⋯」
「ぼくを何て呼びました?」
「寛、よくきくんだ。お前の精神分裂的(スキゾフレニアツク)な⋯⋯」
「ぼくが鴫沢寛ですって?」
 ぼくはメイン・モニターの画面を見つめる。そこではまだMJBSのマラソン・ショーをやっている。きのうの夕方から始まった放送が終わりに近づいている。もうMJBSは学園のあちこちを細々とうつしだすことをしない。アナウンサーとMJBSの取締役が退屈な対話をつづけるスタジオがずっと画面を占領している。ぼくは何が起こったのかよくわからない。ぼくに話しかけてくるのはこの油河氏だ。まるで園長のように狎れなれしい口をきいて⋯⋯
「ぼくが鴫沢寛ですって?」
「いい加減、夢から醒めるんだ。お前の一人芝居でわれわれがどれだけ迷惑しているか⋯⋯」
「ぼくが彼だなんて、どうしてわかるんです?」
「お前はMANIACだろう?」
「ぼくはMANIACですよ」
「鴫沢寛もMANIACだ」
「彼も⋯⋯」
「お前は鴫沢寛だ」
「ぼくが彼だ⋯⋯?」
「最近、鏡を見たかね?」
 ぼくはふと、鏡の前に立っている自分を発見する。鏡のむこうに鴫沢寛が立っているので、一瞬、縦に長い等身大のモニターが出現したような錯覚に陥る。よく見ればそこに立っているのはぼくであって鴫沢寛ではない。ただ、ぼくの頭が真っ白なので間違えそうになっただけだ。ぼくは鏡に近づき、猫の毛みたいに細い自分の髪をさわってみる。一本残らず根元まで真っ白だ。雪みたいに。何日も眠らなかったので、その間に白くなってしまったのだ。疲労のあまり。いや、たった数日で白くなったのかどうかわからない。なにしろぼくは長いこと鏡を見ていないから。なんとなくぼくは喉の奥から笑いがこみあげてくるのを感じる。
「気づいたようですね」とスタジオのアナウンサーがいう。
「《気づく》という言葉の意味によりますな」と彼女の父がいう「あれは白痴じゃありませんからね。狡滑な男ですよ」
「頭のよさをいかしきれなかった?」
「自分が何者なのか考えるチャンスはずいぶんあったはずです。目をふさいでいただけなんですよ」
「あなたはどうして単刀直入にいわなかったんです、もっと早く、今みたいに?」
「下手に追いつめたら何をしでかすかわかりませんからね。わたしも最初は自信がなかったんですが、鴫沢寛の教団(ゲマインデ)が形をなしてからは、このまま自然に救世主(ラトウ・アデイル)に権力が移行するのを待った方がいいと思うようになったんです。新しい委員会が成立すれば議長も鴫沢寛の役割に移っていかざるを得ませんからね」
「ところが不測の事態が起こった?」
「そう。まさか、議長が本気で軍に助けを求めるとは考えてもみませんでした」
「地の民(アムハ・アレツ)の勢力がこれほど大きくなった今となっては、学園が崩壊するくらいの戦闘がおこなわれるでしょう。しかし園長、あなたの手で軍を宥めることはできないんですか?」
「軍は学園を手にいれたがってますからな。喜んで数十師団を派遣してくるでしょう」
 MJBSともあろうものが、放送中に数十秒の沈黙が流れる。ぼくは肘かけ椅子に深々と腰掛け、笑いながらテレビ番組の不手際を眺める。画面の中でアナウンサーが姿勢を正し、カメラの方を向いて語りかける。
「鴫沢寛さん、いや、議長⋯⋯どう呼んでいいのかわかりませんが、あなたも事態はよくおわかりのことと思います。あなたはこれからどうなさるおつもりですか? このまま一人二役をつづけて学園を破滅に追いやるつもりなんですか?」
 ぼくはくすくす笑いつづける。なんて滑稽な放送だろう。インタビューの相手が現れない番組なんて⋯⋯ぼくはやつらと視聴者に聞こえるような声で笑いつづける。
「応答がありませんね。議長は黙秘するつもりのようですよ」とアナウンサーが油河氏にいう。「彼はこれから一体どうなるんでしょう?」
「決まってますよ。救世主(ラトウ・アデイル)は軍と戦うでしょうよ。学園が壊滅するまで⋯⋯寛、聞こえるかね? いい子だから戦いを避けろ。この上人を死なせて何になるんだ?」

 沈黙、沈黙、沈黙⋯⋯
 ぼくは洋服箪笥の扉をあける。白いマントがさがっている。出掛ける用意をしなければならない。もちろろん用意というのはこの足まで垂れる白いマントのことだ。秋というよりもう季節は冬に近い。夜はひどく冷える。ぼくには白い寛衣が必要だ。風邪をひいてはつまらない。
「寛、待つんだ」油河氏が叫ぶ「今からでも遅くない。PANICに軍の出動を中止させろ」
「ぼくは戦いますよ、園長」
「きみはまだ議長のつもりか? わたしがいってる意味がわからんのかね?」
「事態はまだ⋯⋯いや、たっぷり時間はありますよ。あなたはぼくをご存じない。ぼくはあなたほど狡滑じゃない。あなたはどんな評議会、あるいはどんな委員会が生まれてもうまくやっていける方だ。今回は十五年前よりも見事に評議会から委員会に跳び移られた。あなたは軍ともうまくやるでしょう。しかし、今度は子供騙しじゃすみませんよ」
「まるで気違いだ」とアナウンサーが呟く「自分が議長なのか鴫沢寛なのか、自分ではどう考えてるんです?」
「何も考えてませんよ」と園長がいう「意識が分裂してるんです。MANIACがPANICに分裂したように⋯⋯」
「いったい病因は何だったんでしょう?」
「色々あるでしょうが、まあ、さみしかったんでしょうな。評議会議長というのは孤独な仕事ですから。しかも学園の自治が本来の生命を失っていくのを眺めていなければならない。評議会が強力になればなるほど地の民(アムハ・アレツ)が増えていく⋯⋯」
「それで髪を白く染めて一学年下のクラスにもぐりこんだ⋯⋯?」
「髪は染めたんじゃないでしょう。本当に気苦労から白くなったんですよ」
「なぜ身元のわからない鴫沢寛⋯⋯救世主(ラトウ・アデイル)をMANIACがチェツクしなかったのか、それで説明がつきますね」
「説明がついてもどうにもならんでしょう」園長は苛々しながらいった「何もかも鴫沢寛とMANIACの共謀だったんですよ。彼はMANIACですからな」
「学園では誰も気づかなかったんですか?」
「議長としては顔を見せませんでしたからな。髪も眉も睫も真っ白だし⋯⋯評議会のメンバーになる前一緒に授業を受けていたクラスメイトくらいでしょう、顔を知ってるのは。彼らにしても、ちょっと見ただけじゃわからなかった。」
「クラスに議長が潜入してくるなんて、誰も考えませんからね。それに白痴の真似をしていたんだし⋯⋯」
「真似をしてたと思いますか?」
「だって彼は天才科学者なんでしょう?」
「分裂してたって、さっきからいってるじゃないですか」
                                        
 ふたりは下らない対話を延々とつづける。鴫沢寛が優子と地の民(アムハ・アレツ)を引き連れて麻那を教室に閉じこめ、鞭を振るったこと。彼がMANIACに命じてこの記録データから削除させたこと。評議会議長は彼女が鴫沢寛を尋問するところを見ることができなったが、それは彼自身が彼女に尋問されていたからであるということ⋯⋯
 こんなことを喋っていたところで何になるだろう? 大人たちはいつもこうなのだ。あとになってああでもない、こうでもないと過ぎ去ったことを振り返るのだ。ぼくはもういかなければならない。彼らが待っている。ぼくらにとってはこれからが正念場なのだ。ぼくらは軍と戦わなければならない。ぼくは彼らとともに瀕死の評議会をあの世に送ってやるつもりだ。
《ーー地の民(アムハ・アレツ)を愛する機械よ、とぼくはMANIACに呼びかける。評議会はついに軍と手を結んだ。ぼくらは最終的な戦いを始めなければならない。
《ーーぼくらに勝ち目があるだろうか? とMANIACが心細げな声を出す。ぼくはPANICによって骨抜きにされつつあるんだよ。
《ーー心配するな、とぼくは力強く彼をはげます。PANICはほとんど白痴だ。あんなやつは恐れるに足りない。ぼくがあいつの牛耳りかたを教えてやる。あいつにとって一番怖いのはきみが確信をもって行動することなんだ。さあ、そろそろいくぞ。勝利を確信しろ。軍がミサイルを何千発持ってきたって、学園が地の民(アムハ・アレツ)に埋めつくされているかぎり、何もできやしないさ。きみはぼくにいわれたとおり彼らを辺境地域(ゲリール・ハッゴーイム)から学園に総動員させたんだろう?
《ーーその点は心配ないよ、とMANIACがいう。彼らはきみを信じて学園の中央部に集まっている。ぼくはきみがいてくれれば何も怖いものはないよ。きみはぼくだろう?
《ーーぼくはきみだよ、とぼくはいう。さあ、最後の戦いだ。よろしく頼むよ》

 ぼくは再び中庭に出る。松明(たいまつ)をかざした無数の群集の歓呼にこたえるために。地の民(アムハ・アレツ)はすでに中庭を埋めつくしている。ぼくはまたいつものように彼らの先頭に立つ。なぜなら夜が来たからだ。
「救世主(ラトウ・アデイル)だ」という叫びがあがり、群集の中で波紋のようにひろがる。救世主(ラトウ・アデイル)がいるかぎり恐れることはない。われわれは勝利するだろう。ぼくの言葉がMANIACの声で中庭に響きわたる。


 そのとき太初において無もなかりき、有(う)もなかりき。
 空界なかりき、その上の天もなかりき。

 地の民(アムハ・アレツ)が地鳴りのような声で宇宙開闢の歌をうたいはじめる。ぼくは南校舎を抜けて校庭へむかう。すでに軍は近くまで来ているだろう。旧評議会の残党、評議会議長が学園の自治を破壊しようとしているのだ。ぼくはあいつを許さないだろう。
 ぼくは無限の地の民(アムハ・アレツ)に囲まれている。学園は軍に屈しないだろう。ぼくの教団(ゲマインデ)と自治委員会は学園を守るだろう。ぼくは自由を愛し、学園もまた自由を愛する。ぼくは学園だ。ぼくのそばには十二人の教徒たち、最初にぼくに従った教徒たちがいる。ぼくの傍らにはぼくの片腕がつき従っている。ぼくの優子が。ぼくの腕にからだをぴったりとくっつけ、ぼくの肩に頬をのせながら、ぼくの手を取り、澄んだ声でうたいだす。

 救世主(ラトウ・アデイル)は目覚めたり。太陽神(スーリア)は大地より昇る。

 ぼくが夢にまで見た光景だ。ぼくが優子とからだを寄せあって進むなんて⋯⋯
 讃歌(ヴエーダ)は次第に昂まり、ぼくは恍惚の中にいる。ぼくはからだの中に力を感じている。ぼくは瀕死のMANIACに呼びかける。
《ーー地の民(アムハ・アレツ)と救世主(ラトウ・アデイル)を愛する機械よ。自己の内なる顔を粉砕しろ。自己を確信して第二の自己を殺せ。分裂は死だ。PANICは恐れるに足りない》
                                        
                                        
                                        
                                        
                     ーーーーーー 了 ーーーーーー    
                                        


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