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2002年 6月16日
MGいわく、イライラしているのは日本人だけだ
「たしかに仕事はきついし、もうやってられないと思うこともあるけどね、
今日もいきなりひとりで6種類のクリームを作らなきゃいけなくて、
道具をとりにいったら、朝一番だからまだ洗い場の人が来てなくて、
鍋はよごれたままで、
それをやっと洗ったかと思ったら、
ほかの人に持っていかれちゃって、
残っているのは小さなボウルだけで、
同じ量のクリームを作るのに、それだとすごく力と手間がかかるのね、
こんなのじゃできないよって言ったら、
いや、おまえならできるよって軽く言われちゃって……」
「そりゃ大変だ」
「ときどきなんで私はこんなとこにいるんだろうって思うこともあるよ、
いったい自分は何をしてるんだろうって、
8年間働いてためたお金をこの1年でほとんど使っちゃうんだよ、
それで日本に帰っても、別に何の資格もないし、
実績を積んだことにもならないの、
日本には日本のお菓子業界の仕組みがあって、
お菓子の作り方もちがうし、
フランスで勉強してきたことがかえって邪魔になることもあるの」
「そうか……」
「でも、ときどき彼らはすごいなって思うの、
職場はいつもすごく忙しいんだけど、
みんなどんなに仕事に追われていても、
鼻歌うたったりして、どこか余裕があるの、
ひとり日本人の女の人がいるんだけど、
その人とフランス人では仕事のしかたが全然ちがうの、
日本人はいつもイライラしてるの、
フランス人はたしかに私が失敗するとバカとかまぬけとか言うけど、
本気で怒ってるわけじゃないの。
今日も結婚式用に背の高いケーキを配達に行った若い子がそれを落としちゃって、
ぐちゃぐちゃになったのを持って帰ってきたんだけど、
現場のリーダーは『しょうがねえな』と言っただけ、
絶対パニックになったりしないの、
それを作り直して届けておしまい、
そういうのを見てると、
こういう職場で働くのも勉強になるなって思うの」
「なるほど」
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