イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

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密航者たち14/最終回

●前庭
玄関から見送る子供たち。
子供たち「さよなら」
K「元気で。強い大人になれよ」
K、ゆっくり車の方へ。
K(拳銃を取り出しながら振り返り)「そうそう、忘れてた」
子供たちを撃つ。
子供たち、見越していたように横へ飛び、弾をよける。
同時にディディエが拳銃でKを撃つ。
Kの心臓に命中。
K、ポケットからアンリとラウラの拳銃を取り出し、地面に落とす。
K「どうして?……拳銃は全部あるぞ」
ディディエ「倉庫で見つけたんだ」
K、倒れる。

空からかすかに日が射してくる。
海に虹が見え始める。

●沖合い
ヨットの上でギターを弾くケン。
歌うハイドとテツ。
リズムを取るサクラ。
空を見上げているカスミ。
カスミ「虹だ!」
全員空を見上げる。
ヨットは虹の真ん中にいる。
遠くに小型貨物船が見える。

●浜辺
弓矢を手に屋敷から駆け出してくるディディエとジャネット。
朝の空にくっきりと架かった鮮やかな虹。
虹に向かって矢を射るディディエ。
拳銃を撃つジャネット。
ジャネット「私たち、正義の騎士になった?」
ディディエ「たぶんね」
ジャネット「みんな虹のむこうに行った?」
ディディエ「たぶんね」
沖合いにヨットが見える。
そのむこうに小さな貨物船。
おそらくKを乗せるはずだった船。
虹のゲートのむこうに消えていく。


fin

イメージ 1

5月31日マドリッド

ピカソとファシスト風美術館続き


 そんなことを考えながらカフカの『審判』の主人公になったような気分で似非ファシスト風裁判所をさまよった挙げ句(その過程でよく知らない現代美術家の凡作・駄作をいやというほど見せられた)、やっとたどりついた「ゲルニカ」の展示室はさすがに見学者で一杯かと思ったら、フランスから来た中学生らしい団体で混み合っているだけで、彼らが去った後は妙にガランとしてしまった。

 子供の頃からあまりにもよく知っている絵の実物を見たときの感想は、たいてい感動よりも戸惑いの方が強い。画集の絵を見ながら頭の中でふくらませてしまったイメージと、現物から受ける印象が食い違うからだ。

「ゲルニカは」巨大なほとんどモノトーンの画面が妙に無駄に見える。
「こんなに大きいならもっと細かくいろんな人物や動物やモノを描き込めばよかったのに」みたいな勝手な感想を抱いてしまうのだ。

ナチスのゲルニカ空爆に怒ったあのときのピカソにしてみれば、あまり時間をかけるよりは早く発表してファシストの非道を世界に訴えたかったのかもしれないし(たしか万博だかなにか大きなイベントの目玉として発表するため、締切りがあったはずだ)、大きなイベント会場で絵に迫力を持たせるには(ピカソはけっこうはったりとか受け狙いが得意だったとぼくは思っている)、大画面が必要だったのかもしれない。あるいは彼の画風が元々ヒエロニモス・ボッシュみたいな詳細緻密な描写に向いていなかったのかもしれない。

フランコ政権を嫌って二度とスペインに戻らなかったピカソと同様、「ゲルニカ」もフランコの生前にスペインを訪れることはなかった。
パブロ・ピカソやパブロ・カザルスなど、偉大な芸術家を生み出しながら、彼らに嫌われ続けたファシストのスペイン。
エル・グレコ、ゴヤ、ベラスケスなど多くの巨匠の傑作を抱え、民主化以降は「ゲルニカ」を迎え入れることができたにもかかわらず、この国にはイタリアやフランスのような美しさが感じられないのは、単に長かったファシズム政権の後遺症なのだろうか?

ソフィア王妃芸術センターの廃墟のような建物にとってつけたような近未来的ガラス張りの屋外型エレベーターや、ポンピドーセンターを思わせる目の前の広場がほとんど人影もなくがらんとしているのを眺めていると、なんだか巨大都市の廃墟にいるような気持になってくる。

5月31日マドリッド続き

ピカソとファシスト風美術館

 ホテルに荷物を置き、また炎天下を歩いてプラド美術館をめざしていたら、なんだか道おかしい。
同じ道を歩くのはつまらないので、方角だけ見当をつけて歩いていたのだが、どうも道を大きくそれてしまったらしい。
プラド美術館より南にあるソフィア王妃芸術センターの方に近づいている。
フランコの死後アメリカから贈られたピカソの「ゲルニカ」が展示してある美術館だ。

 まあ時間もちょっと遅くなったことだしプラド美術館は見る絵も多いので明日にして、今日は「ゲルニカ」だけ見ようと思ってふらっと入ったのだが、これがいかにもファシスト的な殺伐とした裁判所みたいな建物で(本当は元病院で、有名な歴史的建造物らしいが、そう言われても殺風景な建物にはちがいない)、広い中庭を囲むようにして建っている廃墟みたいな4階建ての広大な空間の中にこれでもかこれでもかと玉石混淆の作品を並べてあり、どこにゲルニカがあるのかさっぱりわからない。

おまけにピカソの玉石混淆の作品を世界から集めた展覧会もやっていて、そっちを先にのぞいたらそこには「ゲルニカ」はなく、マネの「草の上の昼食」のピカソ風のパロディなど、同じテーマの作品群が手を変え品を変え、これでもかこれでもかと展示してあったりして思わず笑ってしまった。

展示の企画としてはそれなりに意味があるんだろうが、ピカソというのは膨大な習作、駄作を量産した人でもあるのだなという印象の方が強い。
ピカソの偉大さというのは独自の画風を開拓していく過程で膨大な駄作を量産していくことを恐れなかったこと、そのプロセスに疲れてしまわずに、ちゃんとそのつどそれなりの目標を達成してしまったことにあるような気がする。
あまりに数が多すぎて一点一点の美術的価値がいまいち上がらないピカソだが、有名な作品だけでなく、そこに到達するプロセス全体こそがまさしくピカソなのだ。

密航者たち13

●テラス
海を眺めるディディエとジャネット。
雨はやまない。
ジャネット「人は死ぬとどこへ行くの?」
ディディエ「虹のむこう」
ジャネット「虹が出てないときは?」
ディディエ「出るまで海の上で待つ」

●居間
絨毯の上でセックスするラウラとK。
四つん這いのラウラを後ろから激しく突くK。
手には拳銃。
すぐ近くにアンリの死体が横たわっている。
開け放たれたドアのむこう、食堂のテーブルにはティエリーとミシェルの死体。
ラウラ「ヨットはヨットハーバーからいつでも出せるようになってるわ」
K「ありがとう」
ラウラ「いいこと……クラウス……タイミングを合わせて……行ったと同時に……私を撃つのよ」
K「そんな約束は……してない」
ラウラ「してなくてもやるのよ」
K「できないと言ったら?」
ラウラ「電話するわ……警察に……夫に」
K「しかたないな」
ラウラ「うそつき」
K、オーガズムの瞬間にラウラの後頭部を撃つ。
崩れるラウラ。

息を切らし、床にひざまずいたまま、しばし呆然とするK。
ふと見ると、食堂のドアのところにディディエとジャネットが立っている。
K「やあ、おちびさんたち」
後ずさる子供たち。
K「おじさんはそろそろ行かなくちゃ」
子供たち、さらに後ずさる。
K「何をそんなにこわがってるんだ?」
K、子供たちを追って食堂へ。
窓の外を見ると、雨が上がっている。
K「雨がやんだね」
ジャネット「きっと虹が出るわ」
ディディエ「おじさんは正義の味方になれたのに」
K「もう行かなきゃ。虹は船の上で見るよ」
玄関の方へ歩いていくK。

2001年の5月31日から6月半ばにかけて行ったスペイン旅行の日記です。
どうせなら日付を合わせてみようと、今日から連載を始めました。
リアルタイムの旅日記みたいに読んでいただければ、また面白いかと思います。

まったくアポなしでマドリッド、トレド、トルヒージョ、メリダ、セビージャ(セビリア)、コルドバ、マドリッドとまわりながら、毎日iBookで日記をつけ、メールで十人くらいの友達に送ってました。
今ならブログに掲載するところですが。

40度を超える猛暑の中、ホテルをさがしながらの旅だったので、体力は消耗し、それが日記にもあらわれているような気がします。

マドリッドではなぜか写真を撮っていません。
理由はもう自分でもわからないのですが、マドリッドは旅の起点としてしかたなく寄っただけというつもりだったのかもしれません。

日記には出てきませんが、マドリッドの初日は朝パリ経由で到着し、睡眠不足のままホテルをさがしまわり、部屋を確保したと思ったら、初めての海外インターネットローミング接続に四苦八苦。

日本でプロバイダにローミングの登録をしなければいけないのも知らず、あれこれ無駄な努力をした挙げ句、国際回線で日本につないでローミング登録したというおそまつぶりでした。

ちなみにスペインは電話ののコネクタが日本と同じで、ホテルの部屋からダイヤルアップでわりとスムーズにつながりました。ホテルによってダイヤル回線もプッシュホン回線があったり、設定をいちいち変えるという手間はありましたが。

さらに、2年間使わなかったシティバンクのキャッシュカードが自動的に使用停止になっていたのを知らず、街のATMでパニックになり、マドリッドの支店でもらちがあかず、スペインのシティバンクのカスタマサービスでもらちがあかず、数万円の日本円とクレジットカードで旅をするのかと覚悟しかけたのですが、日本のシティバンクに電話したところ、事情が判明。
電話で自分の住所氏名電話番号生年月日やらなにやら言ってカード使用開始手続きをして、事なきを得たのでした。

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