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祗王寺を出て、さらに北へ歩く。
午後も1時近くになって、さっきからやたらと腹が減っているのだが、木立の中を細い道が延々と続き、飲食店らしいものは見あたらない。
これは桜餅で飢えをしのぎながら夕方まであるかなければならないのかなと思っていたら、突然「そば」とか「ぜんざい」と書かれた赤いのぼりやちょうちんが見えた。
小径を入っていくと、小さな門があり、その奥に農家みたいな建物がある。そば屋兼甘味処らしい。
木の引き戸を開けるといきなり日本間があり、小さな卓が並んでいる。ガラス戸の外はちょっと荒れた感じの庭だ。
客は初老の夫婦が一組。
床の間に生活雑貨や子供の玩具のようなものが雑然と置いてあるのは、ふだんここを家族の居間として使っているからだろう。建物の外観は農家のようでもあるが、もしかしたらやはり昔は金持ちの侘びさび系別荘か隠居所で、今はその孫・ひ孫世代が受け継いでそば屋をやっているのかもしれない。
京都らしいものが食べたくて、にしんそばを注文。豆腐が入っていた。身欠きにしんの甘辛さと、さっぱりした汁、淡泊な豆腐がなかなかいい取り合わせだ。
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