
最後に、村全体が見渡せるという丘の上の展望台に登ってみた。
あんなに晴れて暑かったのに、丘の麓まできたときにはいつのまにか曇っていて、
上まで登った頃には雨が降り出した。
晴れていれば北北東くらいの方角に、
蚕と馬の民族が信仰する霊峰白山が見えたはずなのだが、
今はすっかり雲の中。
多くの日本人が、古代から中世にかけて海を渡ってきたという事実を、
しつこく探求しようとする裏日本史・民俗史マニアの好奇心を、
神々が警戒しているのかもしれない。
それでも合掌造りの家々が肩を寄せ合ってひしめく白川村の光景は、
海を渡り、辺境の地に入植し、
過酷な自然の中で力を合わせて生き抜いてきた人々の心意気を感じさせてくれる。
何百年という歴史の中で、
その村落共同体と建築物の集合体は堂々としていると同時に、
かりそめの生命の営みのために、
かりそめのテント村を設営しているようにも見える。
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