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食料品の買い物に出かけてあちこち寄り道し、
死んだはずの父と知り合いの家に寄ったら、
いつのまにかそこの居間がSMクラブになってしまうという夢を見た。
「下北沢」という街に住んでいるのだが、
どう見てもそこは東京の下北沢ではない。
どこか郊外か地方の丘の上にある街だ。
細長い丘陵地帯に細い道が何本も並行して走っていて、
どの道にも商店や飲み屋がひしめいている。
駅前広場から通りのひとつを歩いていくと、
急に若い男たちに道をふさがれる。
撮影をしているのだという。
すぐ近くに昔のアイドルが立っていて、
これからこの街を散策するところを撮影するらしい。
ぼくは男たちの腕を払いのけて道を進んでいく。
テレビだからといってえらそうにしている連中がきらいだからだ。
時刻はまだ昼のはずだが、
通りは真っ暗で、派手な女性用下着を売る店がえんえんと並んでいる。
食料品と日用雑貨を買わなければならないので、
別の道と合流したところで道を変える。
そこは屋根付きの商店街で、
ところどころにベンチや巨大な石が置いてあり、
ヒマな連中がたむろしている。
ぼくと同様、不況で仕事がない自由業の知り合いたちも、
そこで無駄話をしながら時間をつぶしている。
彼らとちょっと立ち話をして、そのまま買い物を続ける。
格安の野菜や肉、タワシや洗剤を買ったところで、
いつのまにか死んだはずの父と歩いていることに気づく。
ぼくは父と暮らしているのだろうか?
家がある住宅地の方へ歩いていくと、
父も一緒についてくる。
去年の秋に死んだトライアスロン関係の知り合いの家があったので、
立ち寄って奥さんにあいさつする。
奥さんはぼくと父を居間に通してあれこれ話し、
そのうち「夕ご飯を作りますからちょっと待っていらして」と言って、
キッチンへ消えてしまう。
ぼくは生鮮食品が温まってしまうので、
さっさと帰りたいのだが、
奥さんの好意を無にする勇気が出ない。
そのうち、居間に知らない男たちが入ってきて、
ソファでくつろぎはじめる。
居間はとても広く、
高級クラブみたいなソファが並んでいる。
男たちは高そうな背広を着ている。
若いホステス風の女たちが飲み物を運んでくる。
男たちとホステスの話を聞いていると、
ここはどうやらSMクラブらしい。
もうじきSMショーが始まるとのこと。
ぼくの横にいたはずの父はいつのまにか、
仕事で知り合ったカメラマンに変わっていて、
「私はSMというのはよく知らないんですが、前から興味があったんですよ」とうれしそうに言う。
ぼくはSMについて語って、自分の趣味がばれてしまうのもいやなので、
適当に聞き流す。
しかし、ここがぼくの知り合いの家で、
ぼくが彼をここに連れてきたらしいので、
彼はぼくをベテランのSMマニアだと思っている。
時刻はまだ夕方で、西日が部屋に差し込んでくる。
ホステスたちは遮光カーテンを閉めて部屋を夜仕様に変える。
おどろおどろしい音楽が始まり、
いよいよショーが始まるというところで目が覚めた。
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