イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

モロッコ紀行1997

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 フェズのメディナで一番うまいという評判のレストラン Darsaada に行って昼食をとろうとしたが、入り口はツアー客でごったがえしている。店の前にいた若者が「マイフレンド!」と声をかけてきて、中に連れていってくれた。たぶんこいつも店の人間ではなく、コミッション料目当てのプータローなのだろう。中は二層構造になっていて、ものすごく広い。細密な彫刻を施した透かし彫りの壁や手すりが宮殿のようだ。

 若者は奥の部屋にぼくを連れていき、ウエイターに掛け合ってメニューを持ってこさせようとしたり、僕の注文を伝えようとするのだが、なかなか相手にしてもらえない。やっと持ってきたメニューを見るとコースが185DH(2,405円)から、単品もタジンが80〜100DH(1,040〜1,300円)。一番安いタジンとコカコーラですませることにする。たいした金額でもないのにどうしてこう依怙地になるのか自分でもわからないが、ときどき発作的にケチになることがある。たぶんこの場合、高級店とはいえ白人観光客相手のお手軽な商売をしている大型店に反感を覚えたのだ。

 ウエイターを待っていると、女のマネジャーがやってきて、「ここは予約席だから二階へ移れ」と言った。若者がなんとか交渉するが、聞き入れられない。そこでぼくは怒ったふりをして、「もういいよ、おれは出ていく」と言って店を出た。こんな店で無駄な金を使わなくてすんだので、内心はうれしかった。
 若者はぼくを追いかけてきて、「別の店に連れて行く」と言い張ったが、怒ったふりをして追い払った。
 ブージュルード門に戻って、近くの安食堂でランチを食べようと、街路を辿っていくと、門の近くの市場の中にケフタを焼いている店があった。羊のひき肉を焼き鳥のように焼いたもので、すごくいい匂いがする。丸いパンを半分に切ったものにケフタを詰めてもらった。小さな隙間のような空間にテーブルが置かれていて、男たちが7人ほど腰かけて、お茶を飲みながらケフタとパンを食べている。彼らはケフタを別の皿に盛っている。店の男がコップに水を汲んでくれた。
 小さな洗面台があるので、そこで手を洗って食べる。石鹸付きだ。モロッコ人は日本人なみに衛生観念が発達しているので、ヨーロッパより清潔な生活ができる。ただし、飲み水もこの水道の水だ。案外ちゃんと消毒しているのかもしれないが、ちょっと疲れているので、飲まないことにする。

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迷路の中をでたらめに歩きまわる。いくら歩いても飽きることがない。革製品、繊維製品、陶器、金属器など、それぞれが工房と小売店の専門エリアを持っていて、魅力的な小路を創り出している。路地の上も、木の屋根で覆われていたり、吹き抜けだったり、木の格子のようなもので太陽光線を和らげていたりと、色々な工夫がしてある。

小さな土産物屋の店先で、昨日買ったのと同じ真鍮製のねこを見つけた。おやじにいくらだときいたら100DH(1300円)だという。昨日の店では最初250だったのをさんざん値切ってやっと150まで負けさせたのだ。しかも250のドアノッカーと合わせてだ。ハッサンの糞野郎め。

そこでこの100DHねこを20にしろと言ってみた。すぐに50まで下がったので、そこからさらに粘って30に負けさせた。ところがこのおやじはこの店の者ではないので、コミッション料を3DHよこせ(10%だ)と言い出した。ポケットには3DHあったが、わざと2DHとりだして見せた。あと1DHないのかというからほかのポケットを全部裏返して見せると、納得して「pas de probleme(問題ない、じゃあいいよ)」ということになった。

 やれやれ。くたびれたが、なかなか面白い。こういう交渉を楽しめるかどうかが、モロッコを楽しめるかかどうかでもあるのだ。ぼくの性格には合わないが、昨日の高い買い物をさせられたことがわかったので、ついがんばってしまった。
 別れ際に「おまえはベルベル人だな」と言われた。交渉がうまいとか、手強いという意味だろうか。

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迷路のような路地を歩いていると、ところどころにこういう横棒が張られているのを見かける。ハッサンによると馬が入ってこないようにするためだという。メディナで馬は見たことがないが、昔はいたのだろうか? あるいはぼくが見ていないだけで、いるのかもしれないが。ロバのまちがいじゃないかと思ったりもしたが、ロバなら入って来れそうな高さだ。

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 迷路をグルグル回っているうちに、昨日ハッサンと通った木工製品街に出た。ここは家具や家の装飾など木工製品の工房と小売店が並んでいる。木でできた屋根の梁や扉などは街のあちこちで見かけるが、この通りに並ぶ店にはいちだんと木が多く使われている。それが店のデモンストレーションにもなるからだろうか。

 この街並み、どことなくネパールやチベットを思わせるのはなぜだろう? 間にあるインドやパキスタンも、中近東も、エジプトもリビアもアルジェリアもすっとばして、チベットの木の文化が突然飛び火したような唐突さ。ぼくらの考える東洋文化は、それほど東洋に限定されたものではないのかもしれない。そしてぼくらが考えているよりもずっと昔から、東西の人と文化は行き来していたのかもしれない。少なくとも文化の生命力、伝播力はぼくらが考えているよりずっと強いのだ。

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 すぐに道に迷ってしまった。一度通っただけでは覚えられるものではないのだろう。いたるところに似たような路地、似たような広場がある。

 あきらめて暗くて細い路地から路地へあてもなくさまよう。小さな路地は道というより建物の中の通路のようだ。真昼でも真っ暗だ。ところどころに井戸のような明かり取りがあり、かろうじて光がさしている。こういう空間がないと息が詰まりそうだ。

 そういえばワルサザードやティネリールのカスバでも同じような明かり取りを見かけた。イスラムの建築は外に対しては厳重な囲いで防御し、内側に吹き抜けの美しい庭をつくるので、空から見るとハチの巣のようなのだが、こういう井戸みたいな明かり取りもそうしたハチの巣の穴に見えるのだろう。


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