イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

モロッコ紀行1997

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4月30日(火)
快晴。
 ゆうべは9:00に寝て、朝起きたら7:00。眠れば眠るほど疲れが出てくる。昨日の店でジュースとミルクと揚げ菓子の朝食をとり、タクシーでメディナへ。今日はガイドなしで旧市街の迷路を探検する。土産物屋に連れて行かれる心配もなく、ひたすら街をうろつきながら、あれこれ考え事をしたい。

 昨日と同じブージュルード門をくぐり、昨日のコースをたどりながらメインストリートを歩く。陽射しは強烈だ。ほこりもすごい。光に当たって輝くほこりがそこら中に充満していて、それを見ただけでむせかえってしまう。鼻水がとめどもなく流れ落ちる。風邪のような症状だが、ほこりのアレルギーなのだろう。日本ではハウスダスト・アレルギーではないのだが、これだけすごいほこりには鼻の粘膜が反応してしまう。

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 ハッサンに70DH(910円)のランチをおごってやり、タクシーでメディナの城壁の外側をぐるっと回った。見事に閉ざされた城塞都市。
 ついでに王宮の門に寄った。ちょっとおもちゃみたいな門だ。広大な王宮の前には飛行機が離着陸できそうなくらい広大な広場。

 3:00ホテルに戻る。例によってハッサンはホテルに近寄りたがらないので、近くのカフェでお茶を飲みながら、150DH(1950円)のガイド料を払う。
 マラケシュで撮ったビデオを見せてやると、若者は小型のデジタルビデオカメラがいたく気に入ったようだ。

 それからあれこれ雑談。ぼくのライターという仕事の話、ハッサンの生活に関する話。ハッサンは趣味で若者の雑誌に小説を投稿しているという。彼もベルベル人で、父親はエルアラシディアの出だとのこと。ハッサンの顔はウィッキーさんに似ている。

 たしかウィッキーさんはバングラデシュだかインドだかスリランカだか、とにかくあのあたりの人だ。ベルベル人の祖先がインドから来たという説もあながち嘘ではないのかもしれない。ローマ人やアラブ人が北アフリカを征服する前から、オリエントからの通商路は存在した。古代に中央アジアやインドや中東からいろんな種族がやってきたとしてもおかしくない。

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最後にハッサンはブージュルード門の反対側にある城門にぼくを連れていった。かつてここには遅くに到着して宿がない旅人のための宿泊施設もあったという。イスラムの都市は、外敵の攻撃に備えて城壁を巡らせた城塞都市だが、旅人たちをもてなすことも忘れていなかった。都市が交易によって栄え、周辺地域にも様々な恩恵をもたらすことを、イスラム教徒はよく知っていたのだ。

 近くの丘には高級ホテルがあり、その庭からはフェズの旧市街が一望できる。さっき皮革工場から見渡した眺めさらに広い視界が開け、この都市の全貌が見える。この眺めはたぶん千年前と同じなのだ。旅人は都市の空間を眺めながら、千年の時間にも触れることができる。近代的なビルの隙間に古い街並みをかろうじて残す奈良や京都とは大違いだ。

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 観光案内を一通りすませると、ハッサンはまた金属細工の店にぼくを連れていった。高い店で何も買わなかったので、今度はかなり大衆的な店だ。こちらも多少の土産物はほしいので、真鍮製のネコとファティマの手のドアノッカーを買った。店のおやじは眼のぎょろっとした精力の塊みたいな男で、1,150DH(14,950円)を400DH(5,200円)まで値切るのに苦労した。言い値の3分の1まで値切るのが常識とされているのだが、モロッコの商売人はなかなか手強い。ぼくが値切り交渉が苦手だからかもしれないが。

 ぼくが希望の金額を言うたびにおやじは、
「Dit ton dernier prix!(おまえの最後の値段を言え)」と叫ぶ。
「じゃあ360」
「Dit ton dernier dernier dernier prix !(おまえの最後の最後の最後の値段を言え)」と大声を上げ、腹切りのまねまでし、この品物がいかに手の込んだ素晴らしい細工品かを何度も何度も繰り返してまくしたてる。
 この経験の面白さの方が、ちゃちな民芸品よりは値打ちがある。

 やっと400DHに値段が落ち着いても、なお親父は食い下がり、
「おれの子供のために何かプレゼントをくれれば400で売ってやる」とあくまで強気だ。
「子供にやれるものなんかないよ」
「ペンか何かないのか。日本製で。安いものでもなんでもいいんだ」

 ぼくはいつも持ち歩いているウォーターマンの古い万年筆を取り出し、
「万年筆は持ってるけど、これはフランス製だし、とても高いものなんだ」と言った。この万年筆は日本で15,000円する。つまり1,100DHだ。
 値段を聞くと、おやじは「オー」とうめき声をもらし、黙ってしまった。そのへんはなかなか素直だ。
「ホテルの部屋に安いボールペンがあるから、明日それを持ってきてやるよ」
「よし、決まった。約束だぞ」
 おやじはうれしそうな顔をした。

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 機織り工場では、広い中庭に機織り機を置いて、職人が1人作業をしていた。観光客が大量に入ってきて見物している。デモンストレーションなのだろう。どれだけ手間がかかっているかわかったら、絨毯売場に行って買ってくれということなのかもしれない。

 イタリア人の団体がやってきて騒がしい。みんな建物に目を奪われていて、機織りにはあまり注目していない。観光客たちがどれだけ絨毯を買っていくのかわからないが、デモ用に手作業を見せただけですべての絨毯が手織りだと信じ込むほどヨーロッパ人は甘くない。それより、神秘的な都市の建築の方がよほど興味深いというわけだ。

 このあともイスラムの学校などに立ち寄ったが、石と木の組み合わせや、精巧な彫刻など、息を呑むほど素晴らしい。この木を多用した装飾がどれだけ東洋の影響を伝えているのかわからないが、フィレンツェやベネツィアやブルージュなど、これまでぼくを魅了してきたヨーロッパの都市にはない繊細な美しさがそこにはある。


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