イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

モロッコ紀行1997

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予言者マホメッド(ムハンマド)の娘ファティマがフェズで最初に開いたという聖域をのぞく。当然中には入れないが、きめ細かい彫刻をほどこした壁が美しい。今もここに悩みを抱えた人、病気の人が助けを求めてやってくるとのこと。イスラムは宗教組織であると同時に互助組織であり、礼拝所だけでなく、学校や病院などを含む社会インフラを砂漠の商人たちに提供した。それが初期のイスラムを爆発的に普及させる原動力になったとぼくは見ている。

 聖域の外でビデオを撮っていると、「ヤーパン?」と呼びかけられた。ドイツ人の観光客たちだった。中高年はどこでも団体のツアーでやってくる。「ウィ、ジャポネ」となぜかフランス語で答えてしまう。ハッサンとフランス語で話しているので、フランス語モードのままなのだ。「エット・ヴー・アルマン?(ドイツ人?)」とそのままフランス語できいてみたら、相手も「ドイッチュ」だか「ドイッチェ」だか、ドイツ語で答えた。ガイドも流ちょうなドイツ語で説明している。

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カフタンやジュラバなど民族衣装を売っている店に、黒髪のかわいい女の子がいた。イスラム教国では女性は人前に顔をさらすことも、他人と接することも禁じられているから、近代化された都会の大企業は別として、こういう旧市街の店に女性の店員がいることは非常に珍しい。きれいなフランス語を話すので、「モロッコの人?」ときいたら、フランス人だという。家族と住んでいて、ここでアルバイトしているのだろうか? それとも旅行に来てフェズが気に入り、住み着いてしまったのだろうか?……などと、何も買わずに店を出てからあれこれ考えた。もっと話せばよかった。

 革製品のエリアに入ると、皮をなめす薬品の刺激臭が鼻を突く。なめした革をたくさん背中に乗せたロバが通りかかると、道が狭いので街路の壁に張り付くようにしてよけなければならない。それでも革の束がぼくの胸にこすれて、シャツに臭いが染み付いてしまった。
 建物の二階にあがると土産物屋で、財布やら煙草入れやらバッグやら、安い革製品をたくさん並べている。
 バルコニーに出ると、建物の外は大きな谷間になっていて、眼下に皮革加工場が広がっていた。いろんな染料を入れた大きなたこ焼き器のような設備があり、そこに皮を浸して染めるのだという。染料はすべて自然のものらしい。その横には染め上がった動物の皮を並べて干すスペースがある。機械化とは無縁ののんびりした手作業は、たぶん古代から変わらないのだろう。
 そのむこうにはフェズの旧市街が果てしなく広がる。狭い街路を歩いていると息の詰まるような迷宮だが、こうして俯瞰できる場所に立つと、歴史を神々の視点から眺めているような気分になる。

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 メディナには革製品、織物、木工品、金属製品など、それぞれのエリアがあり、加工場もあれば販売店もある。
 ハッサンはまず金属食器の店に寄った。ここは店で加工も販売もしている。もしかしたら加工は観光客用のデモンストレーションで、本当の加工場は別にあるのかもしれないが。店の人間は例によってこれらの製品がいかに手の込んだ加工技術で造られているかを延々語り、買って当然という顔でぼくを見る。ハッサンも「どうして買わないんだ?」と言う。ガイド料が安いかわりに、店からコミッション料が入るのだろう。

「ここにあるようなでかい金属食器は旅行の邪魔になるだけだ」とぼく。
「どうして? すごい値打ちがあるんだぜ。観光客は日本人もヨーロッパ人もみんな買っていくよ」とハッサン。
「おれは身軽な旅行がしたいんだよ」
「じゃあ、ここから送ればいいじゃないか」

 こいつもやっぱり図々しいモロッコ人なのだ。あんまりうるさいので嘘をついてみた。
「おれは団体旅行で来る金持ちとはちがって貧乏なんだ。この旅行も自分の金は交通費とかホテル代だけで精一杯で、あとは彼女から借りた金でなんとかやってるんだ。彼女からは土産はいらないから、金を節約しろと言われてるんだ。このビデオも実はぼくのじゃなくて、クライアントの金持ちから借りてるんだよ」
 
 それでもハッサンは次々と高級品の店をまわる。これじゃ店の呼び子じゃないかという気もするが、考えてみるとメディナはこういう工場や店の集合体なのだ。それ以外の名所といえば、モスクや学校だが、モスクの中に異教徒は入れない。自然とこういう工芸品の店や工場をまわることが多くなるわけだ。
 高級絨毯の店には日本語がペラペラの男がいた。吉祥寺に住んでいたことがあり、日本の女性と結婚して子供が2人するのだという。

 薬屋兼スパイス屋でサフラン5g150DH(1950円)と42種のスパイスブレンドパウダー20DH(260円)を買う。伝統医療の薬は料理のハーブ、スパイスと同じなのだ。サフランはぞんざいに新聞紙にくるんでビニール袋に入れてくれたが、香りが強い。日本でこれだけの量を買ったらとんでもない値段になるだろう。スパイスブレンドは、昨日食べたケフタ(羊のひき肉を焼いたもの)にかけたのと同じ香りだ。これがあれば日本でもうまい羊料理が食べられるかもしれない。

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4月29日(火)メディナ観光

 快晴。夜10:00から朝6:00まで熟睡。よく寝たわりに疲れがとれてない。8:00近くのお菓子屋でミルクとオレンジジュースとフランス風ケーキ(パサついていてまずい)の朝食。8:30昨日のガイドと待ち合わせたカフェに行くと、別の若いガイドと店の外に立って待っていた。
「おれはフランス人たちとメクネスに行くことになったから、このハッサンがガイドをするよ」と言う。
 相変わらず勝手なことばかり言うのであまりいい気はしないが、このガイドより代役のハッサンの方が若くて感じがよさそうなのでOKする。OKしなくてもこいつはフランス人とメクネスに行くのだろうが。

 ハッサンとタクシーでメディナへ。
「英語とフランス語とどっちで解説してほしい?」というので、フランス語をリクエストする。最近はヒアリングマラソンで英語の聴き取りもまあまあできるようになってきたのだが、フランス語で話せる機会を逃がすのはおしい。

 あっというまにメディナ(旧市街)の入り口に到着。美しい緑のタイルで飾られたブージュルード門を入ると、そこは昔のままのイスラム都市だ。旧市街は自動車もバイクも乗り入れ禁止。バイクやオート三輪が走っていたマラケシュのメディナとは大違いだ。迷路のように張り巡らされた細い道には人とロバしかいない。

予言者モハメッドの娘ファティマがこの地に来てイスラムの拠点を築いたのが8世紀、都市の建設が9世紀初めというから、日本で言えば奈良時代から平安時代初期の創建だ。
 あちこちに古い小さな広場や水汲み場があり、その装飾が美しい。どこも似ているのでさっき通った場所かなと思うのだが、ハッサンによるとどうやら違うらしい。

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4月28日(月)フェズ

 夜10:00から朝7:00まで熟睡。近所のジューススタンド兼お菓子屋をはしごして、モロッコのお菓子6つとオレンジジュース、ホットミルクの朝食。ホテル周辺の新市街はフランスの都市のようだ。フランス統治時代に発展したからだろう。ヨーロッパの車が行き交い、女性たちもベールなしだ。あちこちにカフェがある。
 銀行で300ドルのトラベラーズチェックを両替して(2,790DH)帰る。ティネリール以来たまっていた日記をつける。

 フロントのおじさんが「部屋に何を残して出かけても安全だ」というので、試しにバッグの中にパスポート、航空券、トラベラーズチェック、現金のほとんどを残して昼食に出てみた。タクシーで駅に行き、列車の時刻を調べ、メディナ(旧市街)までゆっくりジョグ。メディナの門のすぐそばにあるレストランでチキンタジン(サラダ付き)とコカコーラの昼食。チキンは固くてパサパサだ。この国では羊肉が突出してうまいのに比べて牛肉も鶏肉もまずい(イスラム教国なので豚肉はない)。コカコーラがやたらと飲みたくなるのは疲れている証拠だ。こういうとき、この黒っぽい炭酸飲料がなぜ世界中でこれだけ飲まれているのかがわかる。

 タクシーでホテルに戻る。Grand Hotel de Fesと言ったのに、なぜかシェラトンに連れて行かれた。文句を言うと、「シェラトンはHotel de Fesと呼ばれてるんだよ。Grand hotelに行きたいなら、de Fesはつけちゃだめだ」と言われた。Grand Hotelの正式名称にはde Fesがついているのだが。要するにやつが間違えたか、まぎらわしさにつけこんで余分に料金を稼ごうとしたのだろう。しっかり理論武装しているつもりでいかにも偉そうに自己主張するところがこの国のゲス野郎たちのいやなところだ。

 ホテルに戻って荷物をチェックしてみたが、貴重品はすべて無事だった。ホテルの雰囲気からなんとなく安全らしいとは感じていたが、それが確認できてほっとする。古いホテルなのでセーフティーボックスのような設備はないのだ。
夕方まで洗濯少々と日記の続き。
 6:00近くのカフェまで昨日案内してくれたガイドに会いに行く。6:20になっても来ないので戻ろうとすると、ホテルの方から彼がやってきた。ブルージーンの上下を着ている。昨日は白のジュラバを着ていたのでわからなかった。むこうもカフェには行ったのだが、ぼくがわからなかったという。アジア人はほかにいなかったからわかりそうなもんだが。今はすぐわかったんだから、たぶん嘘だろう。遅刻しただけなのかもしれない。

「なんでジュラバを着てないんだ?」とぼく。
「今日は午前中の仕事だったのさ。ジュラバを着るのはガイドをやるときだけだよ」と彼。
 近くのカフェで交渉する。半日(4時間)120DH(1,560円)、1日(6時間)150DH(1,950円)が当局が決めている値段だから動かせないという。けっこうと安い。明日朝8:30にここで会おうと約束。
「どうしてホテルに来ないんだ?」とぼく。
「あのホテルは別のガイドと契約してるから、領分を侵すことになるんだ」と彼。
「じゃあこれは違法の仕事なのか?」
「違法じゃないよ。ガイドは国家資格があればあとは自営業だから自由にできるんだ。ただし、ホテルによってはガイド間の縄張りがあるんだ」

 要するに違法じゃないが、同業者間の倫理的な問題らしい。つまり業界の中ではあまりほめられた行為じゃないわけだ。まあ、これからホテルにガイドの世話を頼むのも面倒なので、彼に頼むことにする。
 最後に「明日はフランス人のカップルも一緒だけど」と言い出した。「おれの友人だから平気だよ。あんたが好きなところで立ち止まって写真を撮ってくれてかまわない」

 モロッコで何かしようとするたびにこの手の不愉快な思いをしなければならない。法律や戒律さえ守れば、あとは図々しく自己主張してかまわないという価値観がいたるところに感じられる。ルールの中で自分の利益を追求するために様々な言い訳を用意し、自己主張し、話し合う。
まあ、どっちでもいいよ」とぼく。
 モロッコ男と1対1よりフランス人も一緒の方がこの図々しさと1人で向き合わなくていいかもしれない。
 昨日のレストランでブロシェット(羊肉の大きな串焼き)、フライドポテト、ニンジン、グリンピース添えの夕食。モロッコの赤ワインKsarのハーフボトル。あちこちレストランを探したが、店の雰囲気とメニューの豊富さはここが一番だ。


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