イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

モロッコ紀行1997

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(先週写真なしでアップしましたが、翌朝ビデオで撮った部屋の画像を追加します。真鍮のベッドに寝て、巨大な洋服ダンスの鏡に映った自分を映している画像ですが)

 バスは平地に降りてからかなりスローダウンし、あちこち停車して乗客を降ろした。いつになったら着くんだろうと心配していたら、結局定刻の夜7:30にフェズに着いた。新市街の広大な街路のような広場のようなところに降ろされたが、「地球の歩き方」の簡略化された地図ではこれがどこなのかわからず、めざすホテルをさがして30分ほどうろうろした。

 国家資格を持ったオフィシャル・ガイドだという青年に呼び止められ、案内してもらう。最初はなんだかあやしいので逃げようとしたのだが、免許証を見せながら「タダだから安心しろ」という。疲れているのでまあいいかと思い、ついていくと、「そのかわり明日ガイドをやらせてくれ」と言い出した。

 オフィシャル・ガイドといってもそこはモロッコ流で、なかなか図々しい。まあ、フェズの旧市街は広大な迷路だというから、1回くらいガイドに案内してもらうのもいいかと考え、OKする。「でも明日は疲れて寝ているから、明後日にしよう」とりあえず、明日の夕方会って、詳しい話をすることにした。

 たどりついたグラン・オテル・ド・フェズは、小ぶりの古くて清潔な老舗ホテルだった。1泊200DH(2,600円)でバス・トイレ・エアコン・テレビ付き。部屋は広く、ベッドも洋服ダンスもでかい。バスルームもでかい。小さなテラスがあり、大通りを見渡せる。近くの洋風レストランで夕食。80DH(1,040円)のコース(いくつかモロッコ料理、フランス料理から選べる)と40DH(520円)のワイン(ハーフボトル)。ぐったり疲れて眠る。考えてみればこの2日間ろくに寝ていなかった。

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 オートアトラス(いくつかに分かれているアトラス山脈のうち一番大きく高い山脈)を越えたところにある町でバスは大休憩をとった。乗客たちはバスを降りてカフェやレストランに入っていく。

 バスを降りると、エルアラシディアで切符を買ってくれた青年がいた。12:00にメクネス行きに乗ったのだが、途中でぼくが乗っているフェズ行きを追い越したのだという。
「立たされたときはどうなることかと思ったけど、あの後席をもらったよ」とぼく。
「よかったね。ちゃんとチケットをチェックしてくれと車掌に頼んだんだ」と青年。それなら一言ぼくに言ってくれればよかったのに。

 食堂ででかいサンドイッチとコーラの昼食。羊のひき肉と玉葱のみじん切りをこねて焼き、半円形のでかいパンの中を切ってはさんである。うまい。スパイス使いが絶妙だ。テーブルにはいろんなスパイスの粉をブレンドしたものをガラスの容器に入れて置いてある。これをかけるといちだんと風味がよくなる。

 青年のバスは先に出発した。それからまた延々と6時間あまりのバスの旅。退屈なのでビデオを再生したり、バスの中を撮ったりしていると、乗客たちがめずらしそうに見る。彼らも退屈しているのだ。前の座席の女がぼくの窓と背もたれの隙間から謎めいた微笑を見せる。それがとても美しい。

 車窓の景色は平地に降りていくにつれて緑が濃くなっていく。砂漠から肥沃な土地に戻ってきたのだ。

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 バスが出発してしばらくすると、なんだか状況が変わってきた。車掌が客のチケットをチェックし、座っている客を立っている客と入れ替え始めたのだ。

 ぼくを追い払ったデブのおばさんは、2人の子供と一緒にひとつの席に押し込められ、替わりに後ろから若い女が呼ばれて席についた。

 その後ろに座っていた3人の男と2人の少年も、なにやらピンクのチケットを渡されて、車掌と口論していたが、結局立たされてしまった。ぼくとメガネの老紳士が呼ばれ、その席を割り当てられた。

 遠い国から来た旅人や老人、女性に親切にしてくれているのかと思ったら、近くにいた青年が「あなたは窓口でチケットを買ったでしょう。だからですよ」と教えてくれた。

 どうやらターミナルのチケット売場で席の数だけチケットを売り、買えなかった人、わざと買わなかった人は立ちっぱなし覚悟で乗り込んできて、バスが発車してから席があいていれば座れる安いチケットを買うということらしい。
 ターミナルで買うチケットが白いのに対して、バスの中で買う自由席券はピンク色だ。白いチケットは、必ず席が確保できるという意味では座席指定だが、座席の位置まで指定しているわけではない。あくまで発車してから車掌がチケットをチェックしながら座席を確定するのだ。

 乗客どうしがおたがいチケットを見せ合って、「そこは私の席だ」といった話をすることもない。ターミナルでチケットを買った人も、おとなしく車掌の指示を待つ。チケットを持っていない人も、バスがすいていて、そのまま座れればラッキーということで、先にやってきて荷物で場所取りをしてしまう。

 日曜でバスが混むことは承知していても、一応やってみるのだろう。車掌にどけといわれても、さっきの男たちのように一応ねばって交渉してみる人たちもいる。なかなか図々しいとも言えるが、それなりの秩序、スタイルは存在する。それが日本の文化とちがうというだけのことだ。

 秩序の枠内で人々は精一杯自分の満足を追求しようとする。ルールの隙間は精力的な交渉で決める。それがこの国のスタイルなのだ。スタイルの違いはあっても、ルール、慣習、交渉などで物事が運んでいくのはどこの国でも同じだ。バスの座席のシステムをぼくに教えてくれた青年は、ぼくが持っているチケットを横で見ていたのだろう。
 
 席を追われた人たちもにこにこしてぼくを見る。席を守ろうとして車掌と交渉はしたが、自分たちに権利がないことは重々承知なのだ。日本ならこういう自己主張は嫌われるし、儀礼的にせよおたがいに自分の権利を譲るそぶりを見せながら落としどころを探る。それもシステムなら、モロッコ流もまたシステムなのだ。

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 ところがいざバスの出発時間が近づいたのでターミナルに行ってみると、バスの席は荷物で埋まっている。すでに場所取りされているのだ。

インテリ青年はちょっと困った顔をした。育ちがいいので、あまり世渡りはうまくないのだろう。座席をふたつふさいでいた荷物をちょっとずらして1人分の席をあけてくれたが、青年が立ち去ると、太った黒人のおばさんが現れて、文句を言い出した。
「そこは私が2つともおさえているんだ」ということらしい。
しかたなく立って席を返す。フェズまで8時間。立ちっぱなしはつらい。

青年がまた戻ってきて、ぼくが立たされているのを見ると、車掌に何か言ったが、結局事態は何も改善されず、青年はそのうちどこかへ行ってしまった。あんなやつの言うことを真に受けてカフェで無駄話などしなければよかったと後悔する。異国の旅ではときどきこういうことがある。

 バスは30分遅れで出発した。まだ荷物でふさがった空席がたくさんある。市街地を抜けるまでバスは何度も停まり、客が乗り込んでくる。多くは女性と子供だ。どうも男が場所を取り、妻と子供が家の近くで待っていて乗り込んでくるらしい。今日は日曜日。人々は土曜日に実家や親戚を訪ねて一晩泊まり、帰るところなのだろう。青年の話だと金曜が祝日なのは昔の話だという。フランス統治時代に社会の仕組みがかなりキリスト教化したのだ。

 客はベルベル人やアラブ人よりも黒人が多い。でっぷり太って不機嫌そうな人が多い。休日の終わりだから不機嫌なのか、それとも年中不機嫌なのかはわからない。そのパワフルな外見と鋭い目つきに威圧される。

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小屋に戻るとロナとジェイソンは壁際の長椅子にごろ寝していた。ロナはロングスカートの下に黒いスパッツをはいている。ジェイソンは上半身裸。

 7:00出発。8:00エルフード着。食料品店でパンとチーズと水を買い、カフェのテラスで食べようとしたら、8:30にエルアラシディア行きのバスが来るという。フェズ行きは2:00まで来ないとのことなので、まずエルアラシディアまで行くことにする。ところが、バスが来てみると、すでに一杯で席がない。やはり乗れなかったモロッコ人の青年が近くのグランタクシー(遠距離タクシー)乗り場まで行くというのでついていく。ロナに代金を払い、彼らとはここでお別れ。旅は次々と道連れが替わり、状況も急展開する。まるでバックパッカーの旅だ。

 グランタクシーで青年と10:00前にエルアラシディア着。タクシーのターミナルから民営バス乗り場までかなりの距離を歩く。道は未舗装で、キャスターバッグをゴロゴロ頃がしていると歩きにくいので背中に背負う。初めて3ウエイバッグの機能が役立った。11:00バスターミナル着。青年がフェズ行きのチケットを買ってくれた。72DH(936円)。

 「指定券だから、出発の5〜10分前に行けばいい」という青年が言うので、しばらくカフェのテラスで雑談。青年は28歳で大学生。記号学を専攻しているとのこと。頭がいいだけでなく、育ちもいいのだろう。ぼくよりましな英語を話す。


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