イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

美濃飛騨紀行2008夏

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高速バスであっというまに高山に戻り、
夕方のワイドビュー飛騨で名古屋へ。
新幹線の中で夕食は駅で買った
みそソースがたっぷりかかったみそかつ・えびふりゃあ弁当。

若い頃にみそカツを食べて以来、
甘いみそは口に合わないと敬遠していたのだが、
ここ数年なぜかおいしいと感じるようになり、
出張で名古屋に寄るたびに食べるようになった。

甘いものを欲しているということは、
疲れているということだろうか?

今回も炎天下の旅で疲れた体が生き返る気がした。

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午後3時過ぎ、再び炎天が戻ってきた村をあとにする。
バスターミナル横の土産物屋で木の実のソフトクリーム。

合掌造りの村では、美しい日本の原風景の中に、
時代の変化と失われた昔の暮らし、
観光で暮らす今の村人たちを発見して、
いささかショックを受けたのだが、

考えてみれば、これから戻っていこうとしている都会では、
その変化と破壊と喪失がとんでもない規模で、
とんでもないところまで進行しているのだ。

その生活にうんざりした挙げ句に、
日本の原風景に癒されようなどと、
さもしい魂胆でここを訪れた自分、
そこで世界遺産観光にちょっと幻滅した自分が恥ずかしい。

しかし、その観光地・白川郷で、
この都会育ちの半病人はまちがいなく癒されたのだった。

そのことがまた恥ずかしい。

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村をうろついているうちに雨はあがった。
山に湧いた雲が降らせたにわか雨だったらしい。

立ち去り際に、屋根の葺き替えをしている家を見つけた。
吹き替え中に雨が降ったらどうしているんだろう?

こんなにわか雨ならまだいいが、
大雨が降ったら家が水浸しにならないだろうか?

まあ、何百年も絶えずどこかの家の葺きかえをやってきたんだから、
困らないような工夫はしているのだろう。

よそ者の観光客がつまらない心配をしても始まらない。

たしか合掌造りの屋根は何十年かに一度葺き替えると聞いたことがある。
永続的に見える建築も、数百年、千年の長いスパンで見れば、
常に手を加えることで生きながらえるこわれものなのだ。

その村人たちの営為の積み重ねこそが、未来に残すべき遺産であって、
観光客が見る世界遺産とは、その表層部にすぎない。

ぼくが民宿に泊まって村人と接するのを避けるのは、
観光業を営む彼らの姿が痛々しいからというより、
自分が観光客として彼らと接することが恥ずかしいからかもしれない。

白川郷で余計なのは、
世界遺産を維持するために観光業を営む彼らではなく、観光客の方だ。
その観光客がカネを落とさなければ世界遺産は維持できないというジレンマが、
観光客のぼくをいたたまれない気にさせる。

理想の観光客とはこの村に一歩も足を踏み入れず、
村に寄付金を置いてさっさと立ち去る観光客なのだ。

観光客全員がそういう慈善家になったとき、
白川郷は昔の姿を取り戻すだろう。

ただし、それも建築と景観といううわべだけの姿だが。

農業と養蚕業で生計を立て、
村人全員で日常を生き、
村人全員で祭りを祝った昔の白川郷は、
現代の努力をどう積み重ねても再現することはできない。

だからこそ、その器としての建築と景観が貴重なのだ。

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展望台にいるうちに雨が本降りになってきた。
ほかの観光客は車やバスで帰っていった。

折りたたみ傘をさしてゆっくり山を下る。
雨の山もいいものだ。
木々の緑が洗われて、空気がとてもうまくなる。

炎天に焼かれていた合掌造りの家々も、
雨に冷やされて息を吹き返したようだ。

観光客はほとんど姿を消し、
村は営業が終わったテーマパークのように静かだ。

どうして合掌造りの民宿に泊まってもっと村の空気を吸おうとしないのかと、
ふと考えた。

観光客もそんなに多くないから、
今からあたってみれば、空きがあるかもしれないとも思う。

しかし、やはりやめておこう。

養蚕業や農業で暮らしていた人々の風情を求めて彼らの家に泊まっても、
そこには合掌造りを守るためにテーマパークと化した村と、
観光業に従事する住民と接することになるだけだ。

それはあまりにつらい。

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最後に、村全体が見渡せるという丘の上の展望台に登ってみた。

あんなに晴れて暑かったのに、丘の麓まできたときにはいつのまにか曇っていて、
上まで登った頃には雨が降り出した。

晴れていれば北北東くらいの方角に、
蚕と馬の民族が信仰する霊峰白山が見えたはずなのだが、
今はすっかり雲の中。

多くの日本人が、古代から中世にかけて海を渡ってきたという事実を、
しつこく探求しようとする裏日本史・民俗史マニアの好奇心を、
神々が警戒しているのかもしれない。

それでも合掌造りの家々が肩を寄せ合ってひしめく白川村の光景は、
海を渡り、辺境の地に入植し、
過酷な自然の中で力を合わせて生き抜いてきた人々の心意気を感じさせてくれる。

何百年という歴史の中で、
その村落共同体と建築物の集合体は堂々としていると同時に、
かりそめの生命の営みのために、
かりそめのテント村を設営しているようにも見える。

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