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高山駅周辺には何軒か古い商人宿、もしくはそこから発展したらしい地元のビジネスホテルがあったが、
周辺が殺伐とした雰囲気なので、
なんとなく飛び込む勇気が湧いてこない。
結局、仕事で使い慣れているワシントンホテルに部屋をとった。
地元の人と触れ合うチャンスから逃げたような敗北感があるが、
精神的にも疲れているので、まあいいかという気もする。
シャワーを浴び、テレビを見ながら少し寝て、
またまた夕暮れの旧市街方面へ歩く。
和食店をのぞいてみたが、カウンターのない店だったのでパス。
猛烈に腹が減ってきたので、
途中から飛騨牛に目標を変更し、
何軒か店の前をうろうろして、
結局、老舗らしい洋食屋「キッチン飛騨」に入った。
「キッチン」と言うから大衆的な店かと思ったら、
中は意外と高級そうなレストランだ。
ついつい飛騨牛250gのサーロインステーキのコースを奮発してしまった。
十二指腸潰瘍なんだから、脂身の少ないヒレステーキにすればいいのだが、
やはり和牛のうまさは脂肪のうまさなので、
せっかく地元で飛騨牛を食べるなら、サーロインでなきゃという気持に傾いてしまった。
最近、飛騨牛の偽装事件が話題になったが、
問題の業者は飛騨(岐阜県北部)ではなく美濃(岐阜県南部)、
しかもほとんど滋賀県に近い養老の業者だ。
本場の飛騨の老舗レストランなら、間違ったものは出さないだろう。
最初にスープが出てきたところで写真を撮ろうとしたら、
なんと電池を充電したままカメラだけ持ってきてしまったことに気づいた。
カウンターのコックのおっさんに事情を話し、
そのあとの料理を待ってもらってホテルまで電池を取りに戻る。
「いいですよ。待ってますから、どうぞごゆっくり」とおっさん。
そこまでして写真をとる必要があるのかと道々考えたが、
旅のあと、ブログに紹介するのも旅の楽しみの一部なのだ。
往復20分足らずの中断のあと、
自家製ハム・ソーセージのサラダから再スタート。
蒸し暑い空気の中を急ぎ足で歩いたので汗をかいてしまった。
のどが渇いたので生ビールを注文。
つづいて赤のグラスワインを一杯。
旅気分で浮かれている。
出てきたステーキはおいしい脂身たっぷり。
やはりいい肉はサーロインにかぎる。
これが本物の飛騨牛かどうか保証はないが、
おいしいものはおいしい。
しかし、十二指腸潰瘍のかなしさで、終盤は胃がもたれてきた。
200gでも、あるいは150gでもよかったかもしれない。
若い頃は、激安店で450gのステーキをうまいうまいとむさぼり食ったものだが、
もうそんな食欲・消化能力は二度と戻ってこないだろう。
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