イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

美濃飛騨紀行2008夏

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
イメージ 1 イメージ 2 イメージ 3

イメージ 3

職人町から川縁へ折れると、網と長靴をほしてある民家があった。
たぶん鮎漁に使うのだろう。

投網で一気に鮎を捕ったら、竿で釣っている鮎釣り人はたまったもんじゃないと思うが、
そのへんの住み分けはどうしているんだろう?

長靴の間から可愛い犬が顔をのぞかせていた。
見知らぬ旅人を、吠えもせずに不思議そうに見つめている。

この町は人もそうだが、犬もどこか品格を感じさせる。
決して愛想よくはないのだが、
よそ者に対して適度な距離を保ちながら接する術を心得ているという感じ。

交通の要衝で、昔からよそ者と接してきた伝統だろうか。

川を渡ると小さな古い寺があった。

古びた木の山門と本堂。
神仏習合のなごりなのか、どこか神社っぽい雰囲気もある。
関西や地方の古いお寺/神社によくあるおおらかな空気感。
明治政府の神仏分離例なんて知ったことかという、
伝統文化の気概を感じさせる。

建物の古びた木の質感がたまらなくいい。
白茶けた木の肌から、
いい人生を送ったお年寄りの肌や表情にあるようなぬくもりが、
こちらの心にしみいってくる。

イメージ 1 イメージ 2 イメージ 3 イメージ 4 イメージ 5 イメージ 6 イメージ 7 イメージ 8 イメージ 9

イメージ 9

城から下ってきて、さっき歩かなかった通りを散策。

さっき歩いた町屋が並ぶ通りとちがって、
このあたりはわりと広い溝が家の前に続いている。

ところどころに水飲み場があるが、これは観光客向けだろうか。

溝が広くなっていて、石が置かれているところもある。
これはテレビで見た、住民が野菜を洗ったりする場所だろうか。

今は家の中に水道があるだろうから、
わざわざここで腰をかがめて洗い物などしないんじゃないかという気がする。

テレビでおばさんが野菜を洗っていたのはやらせか?
それとも時と場合によっては今でもこういうところを使うんだろうか?

さらに旧市街をうろついていると、
町屋の前にきれいな水が流れる通りに出た。
職人町とのこと。

もしかしたら、宿を取った新町通りや、バスターミナル周辺の、町屋が並ぶ通りも、
昔はこんなふうに溝が露出していたのかもしれない。

各家には水を堰き止める木の板や、打ち水をするための大きなひしゃくが立てかけてある。
ところどころで打ち水をする人がいる。

さすがに溝で洗い物はしていないが、
水との暮らしは生きているのだ。

イメージ 1 イメージ 2 イメージ 3 イメージ 4 イメージ 5 イメージ 6 イメージ 7 イメージ 8 イメージ 9

イメージ 9

たどりついた城は急峻な石垣が美しい山城だった。

戦国時代にはこの近くの別の山に城が築かれていたらしいから、
この城は江戸時代の築城ということになる。

つまりは砦として建てられたわけでも、合戦の舞台になったわけでもないのだろうが、
それでもやはり山国の城としてのスタイルを守っているということだろうか。

案内の看板によると、城は明治時代になって一度焼け、
昭和初期に再建されたとのこと。

昭和に再建された城にこれまでいくつも登ってきたが、
名古屋城や千葉の久留里城など、すべてがコンクリート製だった。

しかし、この城は木造で、天守内部の階段を登っていくと、
焦げ茶色の木の骨格が見える。

木の階段がギシギシ音をたてるところがなかなかいい。

郡上八幡の駅舎もそうだったが、
木をふんだんに使った木造家屋には癒しの効果があるのかもしれない。

天守の中は静寂が支配している。
今日は郡上踊りのない平日だから、町全体にもともと観光客が少ないのだろうが、
炎天下にここまで登ってくる観光客はほとんどいない。

最上階から郡上八幡の市街を見下ろす。
山あいの川沿いに広がる、ごく小さな町だが、
かつては飛騨の高山と美濃の各地を結ぶ流通の要所だった。

近くに馬の産地があり、昔は馬の市が開かれていたとのこと。
「平家物語」に登場する名馬「擦墨」はこの土地の馬だという。

馬の産地というと、大平原を想像しがちだが、
古来、日本の馬の産地は信州や甲州などの山あいが多い。
大陸から馬を連れて渡ってきた民族が、そうした山間地に入植したからだ。

彼らが奈良・平安時代に渡ってきたとき、
当時の技術で開墾できる平地はすでに農地になっていた。

古墳時代に渡ってきて大和朝廷を築いた騎馬民族に比べて、
彼らは遅く来すぎたのだ。

7世紀に朝鮮半島で百済・高句麗が滅んだあと、
高句麗系の騎馬民族は満州の沿岸に逃れて契丹という国を建てた。
そこから奈良・平安時代に多くの部族が馬と蚕を連れて日本海を渡ってきた。

馬も蚕/絹もすでに古墳時代の騎馬民族によってもたらされていたが、
遅れてきた騎馬民族は、信州・甲州・美濃から関東・東北地方に入植し、
朝廷の系列とは別個の畜産・養蚕業で生計を立てていく。

朝鮮半島の白頭山を信仰していた彼らは、
日本にも冬に真っ白に雪で覆われる山・白山を神と崇め、
入植した各地に白山神社を建てた。

また彼らは馬と蚕を神として祀った。
「オシラサマ」とは白い山のことであると同時に、
彼らの生活の基盤である白い蚕のことでもあり、馬のことでもあった。

また彼らは入植した各地で、一番目立つ山に駒ヶ岳という名前をつけた。
駒とは馬のことであり、彼らの母国「高麗」のことでもある。

彼らは米作を基盤とする日本の農業に適した土地を得ることができなかったため、
農民に馬や蚕を提供して生計を立てていたが、
平安時代後半に朝廷の支配体制が崩れ、争いごとが頻発するようになると、
騎馬民族としての武力を活かして、
国有地や中央貴族の荘園を守る用心棒のようなことをやりだした。

それが武士の始まりだ。

朝廷・貴族は、彼らに源氏や平氏の姓を与えたが、
これは単なる名誉な称号であって、
彼らが清和天皇や桓武天皇の血を引く貴族だからではない。

遅れてきた騎馬民族の移民である彼らにとっても、
主要産業である農業に参入する余地がない以上、
用心棒軍団として生きていくために、
そうした中央政府の認可を受けることは大きなメリットがあったのだ。

やがて平安末期になると、朝廷・中央貴族の支配体制は完全に崩れ、
用心棒軍団同士が派遣を争いながら、やがて新しい支配体制を築いていくことになる。

鎌倉幕府に始まるその支配体制は、支配者を変えながら、江戸時代の終わりまで続く。
そう考えると、遅れてきた騎馬民族の歴史は我々にとってとても身近なものなのだ。

イメージ 1 イメージ 2 イメージ 3 イメージ 4 イメージ 5 イメージ 6

イメージ 6

水を求めて郡上八幡に来たはずなのだが、
町を見下ろしてみたくなって、城に続く山道を登り始めた。

最近、運動不足なので、炎天下の上りはきつい。
途中の小さなお寺に寄ったりして、休みながら登る。

少し行ったところに公園があって、
山内一豊とその妻の銅像が建っていた。

最近NHKの大河ドラマにもなった山内一豊の妻・千代は、
近江出身というのが定説になっているが、
ここ郡上八幡出身という説もあり、
それを裏づける証拠がいくつもあるのだという。

公園から見上げると、白い天守閣がはるか上に見えた。
町から見たときよりはかなり大きくなってきたが、
それでも先はまだまだ長い。

途中、町を見下ろせる場所もあったが、
木立がちょっと邪魔だったりして、完璧な眺望ではないので、
息を切らしながら意地になって城まで登り続けた。

トライアスロンでは一度も途中棄権をしたことがないが、
何にせよゴールまで行きつかずにいられない性分なのかもしれない。

イメージ 1 イメージ 2 イメージ 3 イメージ 4

イメージ 4

宗祇水からお城の方へ歩く。
店の軒先ではわき水で野菜や飲み物を冷やして売っている。
夏だなあ。

突き当たりの一角に大きなパスターミナルがあった。
郡上踊りがある日には、電車ではなく観光バスで大勢の観光客がやってくるのだろう。

交差点に大手門跡という看板が立っていた。
この近辺は武家屋敷町らしい。
武家屋敷と言っても、関西の古い住宅街みたいな感じだが。

このあたりの道には幅1メートルくらいの溝があって、きれいな水が流れている。
さすが水の里。

ぼくが小学校高学年から高校までを過ごした兵庫県の阪神エリア、
神戸市東灘区から西宮、宝塚あたりも、
六甲山系から湧き出した水が住宅街を流れていたので、なんだかなつかしい。

ぼくが通っていた中学・高校は六甲山の中腹にあって、
当時は校庭の溝に湧き出している水をそのまま飲んでいた。
東京でマンション暮らしをしているあいだにすっかり忘れてしまっていたが、
水がきれいな場所に暮らすというのは、それだけで気分を浄化してくれるような気がする。


.
shu*i*ha*a
shu*i*ha*a
男性 / B型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事