イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

大和路紀行2008秋

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少し行くと、最初の名所旧跡、永久寺跡があった。

平安時代に創建され、鎌倉時代には広大な敷地に何十というお堂や宿坊が立ち並ぶ大寺院だったというが、
その後衰退し、明治維新後の廃仏毀釈で廃絶されてしまったとのこと。

見渡したところ、柿畑と溜池しか見えないのだが、
もしかしてこの柿畑が昔は境内で、はるか先までずっと大伽藍が並んでいたのだろうか。
この溜池も元はお寺の庭園の一部だったのかもしれない。

組織・システムが廃絶されてしまえば、
建物・ハードウェアはこんなに跡形もなく消えてしまうのだ。
そう思うと、昨日見た法隆寺でも、どれだけの人の信仰や努力、
組織的な活動が伽藍や宝物の維持を支えてきたのかがわかる。

今でもいたるところにお寺があるのを見ているので、
廃仏毀釈というのがあまりピンと来ないのだが、
明治時代には仏教寺院を破壊する運動というか、政府の行政執行がものすごかったらしい。

朝廷とゆかりのあるお寺や、文化財としてあまりに貴重な建物・宝物は残されたのだが、
それほどでもないと判断されたお寺は容赦なく解体されたとのこと。

それでも名の知れないお寺がいたるところにあるのは、
葬式の会場・墓地・墓守としての役割だけは許されたということだろうか。

徳川幕府から朝廷に政権が移ったからといって、
どうして仏教寺院がだめで神社はOKということになるのかも、
今の我々からすると、あまり釈然としない。

別に徳川幕府=仏教政権というわけでもないし、
そもそも日本の政治に仏教を導入したのは朝廷で、
奈良時代には全国の行政拠点に必ず国分寺を置くというくらい、
仏教と行政を一体化させたのも朝廷だったはずなのだが。

もしかしたら、これは朝廷そのものというより、
江戸時代後期に起こった国学・国家神道の運動の一環なのかもしれない。

鎖国の時代だった江戸時代に、まずブームになったのは蘭学・洋学で、
ヨーロッパの技術・文化に対する好奇心が、
平賀源内に代表される様々な発明や絵画を生んだ。

しかし、アメリカやロシアなど海外から開国の圧力が強まり出すと、
逆に国家ナショナリズムが生まれ、
学者・思想家たちは統一国家日本をはじめて意識するようになり、
古代文化を研究する国学や、神道の運動・研究がさかんになった。

明治維新は近代国家をめざす改革という側面もあるが、
そもそも開国・近代化を先に進めたのは江戸幕府だったし、
明治政府の指導者になった維新の志士たちはもともと尊皇攘夷派だった。

色々な紆余曲折をへて、明治政府は欧米化を推進することになったのだが、
その一方で「和魂洋才」の「和魂」は、天皇制・神道という日本の古いシステムの復権を求めた。

こうしてみると、飛鳥時代から今日まで、
日本という島国はいつも、外圧におびえながら、
そのストレスをエネルギーとして様々なことをしてきたのだとつくづく思う。

外向きの近代化、西洋文明の導入、論理的思考はストレスを生み、
我々の心にそのネガを焼き付ける。

明治以降の富国強兵の時代にも、
第二次大戦の敗戦を経験したあとの経済復興期にも、
なぜ多くの日本人が天皇を心のよりどころにするのか。
その答えは外圧・近代化・グローバリゼーションのストレスにある。

この心理的なメカニズムを理解し、
ストレスをコントロールすることを学べば、
日本人はもう少し幸せになれるのではないかという気がするのだが。

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鶏のいるあたりから左折して南下する。
すでにこれが山辺の道(やまのべのみち)のルートになっているらしい。

大和朝廷の武器庫でもあった聖域からスタートすると、
のどかな古代の道散歩もなんとなくオドロオドロしい感じだ。

小さな葉わさび田や蓮の池のある山っぽいところもあれば、
借り入れの終わった柿畑もあり、
かと思えば急に住宅街に出たり、変化に富んだ道だ。
平地もあれば、山道的な急坂もある。

すぐに汗だくになって、着ていたコートやフリースのセーターを脱ぐ。

おじいさんたちがけっこうなスピードで抜いていく。
みんなトレッキングシューズにトレッキングウエアで武装していて、
ぼくみたいにジョギングシューズとジーパンに綿シャツ、ショルダーバッグなんて恰好でのろのろ歩いてるやつはほかにいない。

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タクシーで近代的な建築群がひしめく天理市街を抜け、石上神宮(いそのかみじんぐう)に着くと、
濃い緑に被われた境内は別世界だった。

まるで千何百年という時間が空気になって立ちこめているようだ。

日本書紀にも、伊勢神宮と共に一番格式の高い「神宮」として出てくる、大和で最も格式のある神社とのこと。

ご神体は布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)。
この剣は神話の時代に武甕槌神(たけみかづちのかみ)・経津主神(ふつぬしのかみ)が、豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに)つまりヤマト/日本を平定したときに使った剣で、
神武天皇が九州から大和に「東征」したとき、熊野の戦いで窮地に陥ったとき、夢に天照大神・高木神・建御雷神が現れて、この剣を与え、おかげで神武天皇は大和を征服することができたという。

そういう伝説があるだけに、この神宮には高い格式と同時に、きな臭い雰囲気がつきまとう。
飛鳥時代には天皇家の武器庫が置かれていたと言われるし、大和政権の軍事を担っていた物部氏が運営し、戦いのときに軍勢の集結場所として使ったといった記録もある。

今日の終着点/目的地である大神神社が、石器時代に起源を持ち、大物主という大和土着の神を祀っているのに対して、この石上神宮は朝鮮半島から渡ってきた民族の神々を祀る神社ということなのだろうか。

境内には色とりどりの鶏が放し飼いにされていた。
木の枝にとまっている鶏もいる。

元々南アジア原産の鶏は、樹上で眠る鳥だったというから、これが本来の姿なのかもしれない。

ぼくらは工場みたいな建屋にぎっしり詰め込まれた鶏しか知らないが、
それは自分たちを産業の奴隷にしてしまった人間の鏡でもある。

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満員電車でへとへとになって天理で下車。

それまで田舎の無人駅にいくつも停車してきたのに、ここだけは地方の新幹線停車駅みたいに巨大だ。
駅前にはほとんど無人の広大な広場。

時間節約のため、石上神宮までタクシーに乗る。

車中から見えるのは、厳かな神社風の神殿と何十もの天理教の宿泊施設や公会堂。
天理は天理教の本拠地だからあたりまえといえばあたりまえなのだが、この施設の規模には圧倒される。

信者の研修のために全国から何万だか何十万だかの信者が集まるのだという。

「宿泊施設の場所と番号を全部覚えないと、タクシーは商売にならないんです」と運転手。

天理教は江戸時代末期に起こった新興宗教のひとつだが、一体何が人をここまで駆りたてるのだろう?
小規模で終わる新興宗教と永続的に発展する宗教とは何が違うんだろう?

信徒たちに言わせれば、教えが正しいからということになるのだろうが、
教義的な議論は別としても、組織・教義・活動のシステムが機能することで、人が活動し、人の不安が消え、喜びが生まれるという、機能そのものに存在意義があるのだろう。

経済や政治も時としてカリスマ政治家やカリスマ経営者、宗教に似た政治団体や企業、ブランドなどを生み出すが、宗教団体ほどの永続性はない。

資本主義の金融の暴走や経済システムの破綻を見ていると、宗教があながち前近代的とも言えないような気がしてくる。

少なくとも、損益計算みたいなことが至上命題になってしまうシステムの上に、何でもいいから別のシステムを置き、
膨大な人のエネルギーを結集して、神殿でも社会インフラでもなんでもいいから造り続ければ、
ニューディールみたいなことができるんじゃないか。

そんなことをふと考えた。

古代エジプトのピラミッドは、農閑期の農民たちの雇用対策だったという説があるが、
とにかく社会という巨大なシステムは、なんらかの理屈をつけて人を動かし、マネーを流動させる必要があるのだろう。

マヤ文明やインダス文明などは、あまりに巨大な都市や宗教施設を造りすぎて破綻してしまったという説もあるので、
なにごともほどほどというのが大切なのだろうが。

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ホテルに戻ってバイキングの朝食。

今日は天理の石上神宮から古墳や万葉集に出てくる旧跡がある山辺の道を大神神社まで、
約4〜5時間歩く予定だ。

あまり食欲はないが、しっかり腹ごしらえしてチェックアウト。

ローカル線の桜井線に乗ってのんびり天理まで行こうと思ったら、
なんと次の電車まで1時間くらいある。

のんびりしている分だけ本数が少ないらしい。

ケータイでネット検索してみると、近鉄ならもっと早く行けるらしいのだが、
近鉄奈良駅まで歩くのがめんどうだし、西大寺まで行って乗り換えるという、
距離的には遠回りのルートになるのが気に入らないので、

駅員に事情を話してスイカの入場記録を解除してもらい、一旦外に出る。
こういうのんびりした旅も悪くない。

駅の近くで昼食用に柿の葉寿司を買い、コンビニでお菓子を買う。

山辺の道に飲食店があるのかどうかまったく情報がないので、
山歩きみたいな用意をした方がいいかなと思ったのだ。

やっと時間になったので桜井線のホームに行くと、
ブルーのジャージを着た中学生の集団で溢れかえっていた。
遠足なのか、どこかで運動会みたいなことをやるのかわからないが、
おかげで電車は大混雑。

女子生徒たちがすばやく座ってしまったので、
年寄りたちは立ったまま、キャアキャア騒ぐ中学生たちを憮然として見ている。

次の駅で今度は幼稚園児の団体が乗ってきた。
まるでラッシュアワーのような混雑。

中学生を引率している先生が注意したらしく、
座っていた女子生徒たちが席を立ったが、大人たちはほとんど座らない。
すぐ降りる人が多いのだろう。
あるいは立った中学生たちが邪魔で席に近づけないのかもしれない。

おかげで生徒たちが立った分だけ、混雑がひどくなった。

ローカル線で外の景色を楽しみながら旅行気分を味わうはずが、
へとへとになって天理に到着。


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