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十代の私はよく女装したまま男たちと交わったものだ。当時は衆道つまり男同士の性愛がおおっぴらに認められていたから、男と交わることにはなんの不思議もなかったのだが、その中でも私は女のように振る舞い、女として抱かれることを求めた。そのたびに目の前の紫のもやが一瞬だけでも晴れたからだ。
私は自分が何者なのか、なぜ尾張の奉行の家に生まれ、この国の支配者をめざす祖父や親たちの跡を継がなければならないのか、その先に何が待っているのかを懸命に学んでいる最中だった。悪童たちとの野遊びや狩りも、父がひっきりなしに出かけていく美濃や三河との戦も、明快な答えを与えてくれなかった。その先には濃い紫のもやが立ちこめていた。そのもやの向こう側へ突き抜け、そこに何があるのか見たいというのが私の最も強い願望だった。女になることも、奇矯ないでたちや振る舞いをするのも、そのための手段のひとつにすぎなかった。
私は狩りや戦遊びのあいまに、悪童どもと野山や川原で交わるのが好きだった。百姓や川筋者、炭焼きといった連中に見られながら、男に犯されると興奮した。だからときにはわざと野盗や川筋者を挑発して犯されようとした。彼らは私が何者か知っていたから、たいていは尻込みしたが、がまんできず挑発に乗ってくる者もいた。私は男に犯されると恥ずかしげもなく甲高いあえぎ声を上げた。自分を死の淵に連れていってくれるような、強い快感が好きだった。
「弾正のせがれはおれに犯されてひいひい泣いてた」などとこの私の性癖をあとになって笑うやつは、私の手下たちによって、耳や鼻を削がれ、むごい殺され方をしたから、このことで私を馬鹿にするやつはいなくなった。しかし、私を犯す勇気のあるやつもいなくなったので、私は隣国へ出かけていくようになった。私が誰だか知らないやつらに犯される危険に身をさらしたかったのだ。
それは悪童仲間にとって恰好の軍事訓練にもなった。
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