イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

神戸散歩2010春

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三宮から阪急神戸線で帰る途中、御影と岡本のあいだで六甲山系の麓の高台にヘルマンハイツが見えた。戦前にドイツ人商人の屋敷があったという場所だ。ドイツの敗戦直前に突然屋敷が炎上し、そのヘルマン某はどこかへ消えてしまったという。ドイツのスパイだったという説もあった。

ぼくらが高校生だった頃もその広大な屋敷跡はまだ廃墟のまま残っていた。土地の権利関係がややこしかったからだろうか? その後、この高台は宅地として造成され、売りに出された。今電車から見ると、丘に開発されたただの住宅街だ。それでも電車でこのあたりを通るたびに、ヘルマン某のことを思い出す。

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北野異人館街から坂を下ってきて、三宮のガード下でほっと一息。

なぜか、トンネルとかガード下とか路地とか、暗いところに入ると落ち着く。

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細い路地をあみだくじ的に折れながら急な坂を下る。

坂を足早に下っているとなぜか心が落ち着く。自分の心理状態と合っているということだろうか。宇宙の無重力に慣れる訓練を、降下する飛行機の中で行なうという話を思い出した。

国家の没落を感情的に受け止めるのは愚かなことだと反省する。昭和30年代に経済復興でわいていた日本は今よりよほど貧しかったはずなのだ。ホームレスやひきこもりはたくさんいるかもしれないが、街に餓死者がゴロゴロしているわけでもないうちから、国の破滅を予感して鬱病になるのは、自分が甘やかされて育った子供だからなのだろう。コツコツ働いて戦争で廃墟のようになった日本を経済大国にしたのは、親の世代であって自分ではない。自分は親たちに守られてぬくぬくと生きてきただけだ。不安なのは世の中がひどいからというより、自分が何かを成し遂げた実績がないからなのだろう。

これから何が起きようと、自分の無力・無策が招いたことなのだ。そう考えると気分が軽くなる。

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廃墟からさらに坂を登ると、うろこの家があった。

神戸観光に来た友人を案内がてら、何度か来ているので、見慣れた洋館なのだが、いつ見てもうろこの壁が美しい。普通ならこういう薄く切った玄武岩系の石は屋根にふくのだが、それを壁に使ったことで、まるで巨大な鳥のような家ができた。

ぼくの記憶によると、北野の異人館の中では、このうろこの家が一番高いところにあるはずだ。もうこれ以上登れないので、ふたたび路地を抜けながら坂を下る。

日本の仮想敵国は北朝鮮だろうか? 引き続き、日本の危機について考える。

アメリカと一緒になって北朝鮮やアフガニスタンをならず者国家呼ばわりしていても、密かに何十年も続いている別の戦争は終わらない。この戦争の相手はアメリカだ。

軍事的に占領された状態で、敗戦直後には財政援助を受けながら始めた戦争。アメリカがリードしてきた経済のゲームの優等生としてがんばりながら戦ってきた戦争。アメリカが経済・財政上の問題を抱え、円が200円台に、100円前後に誘導されても、貿易不均衡を叩かれても、そのつどコスト削減や現地生産で切り抜けながら続けてきた戦争。武力による戦争と違って、降伏による終結が許されない戦争。今度は中国のふところに潜り込んで、新しい経済戦争の中で道を切り拓いていくしかない。80年前には武力と謀略で中国大陸に活路を見出そうとして身の破滅を招いたが、あれにくらべたら今回の方が少しは気楽かもしれない。少なくとも侵略や大量虐殺の加害者としてのストレスを感じないですむ。

神戸散歩17〜廃墟の館

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寒々しい雨の中、坂を登る。靴の中が雨で濡れてかじかんできた。それでも散歩がやめられない。
路地から坂を下れば三宮まですぐなのに。なぜだろう?

雲に覆われた山の中に入っていきたいという、余り現実的でない衝動に駆られて狭い坂道を登る。

見覚えのある坂だと思ったら、うろこの館に続く道だった。

坂の途中、右側に閉鎖された洋館があった。ブームが去って観光客が減ってきたからだろうか。まだ人は住んでいるらしいが、敷地の中はなんとなく荒んでいる。

左側には廃墟になった洋館。こちらもかつてはカネを取って公開していたらしいが、今は住む人もなく、ボロボロになっている。

異人館街がブームになってからせいぜい二十数年だから、閉鎖されてから何世紀も経過しているわけではないはずだが、それでもこんなに荒廃してしまうのだから、建物というのは使い続けなければ死んでしまう生き物なのだとあらためて感じる。

1970年代のはじめ、ぼくが高校生だった頃はまだ異人館ブームのかなり前だったが、神戸とその周辺にはこの北野だけでなく、かなり広いエリアにたくさんの洋館があった。人が住んでいるところも多かったが、廃墟になっているところもあった。

そんな廃墟に友人たちともぐりこんで、草に覆われた庭や崩れた壁、土で埋もれかけた部屋の跡を眺め、ここでどんな人がどんな暮らしをしていたんだろうとあれこれ想像した。

今も公開されている異人館には何の興味もないくせに、こういう廃墟に惹かれるのはなぜだろう?
立ち止まり、しげしげと眺め、坂を少し登ってはまた別の角度から眺め、何枚も写真を撮った。

たぶん欧米の文化を苦労して受け入れ、国際的な政治や経済のゲームで苦戦してきた日本人の生き方みたいなものが、それに参加しているうちはよく見えないのだが、こうしてゲームが終わってしまった廃墟に自分を投影することによって、なんとなく見えてくるような気がするからだろう。

廃墟になった自分とは、つまり死後の世界から見た自分だ。

まだ生きているうちからどうしてそんなふうに自分を振り返りたくなるのかは謎だ。
もしかしたら、明治維新以後の西洋化・近代化の歴史が、もっと短いスパンで言うと、第二次大戦後の経済復興から繁栄の歴史が、終焉を迎えつつあると、漠然と感じているからかもしれない。

資源も国土も乏しい日本が、経済で欧米に肩を並べるようになったのは、世界中にモノを売りまくったからだが、そのやり方はだんだん通用しなくなってきた。輸出によってもうけること、繁栄することは円高という副作用を生み、日本製品の価格競争力は失われつつある。製造・物流コストを下げるために、メーカーは拠点を海外へ移し、日本の雇用は悪化し、個人消費は収縮していく。日本経済の危機は世界の金融危機だけが原因ではなく、日本の繁栄を狩野にした経済構造そのものから生まれ、この20年間で徐々に深刻化してきたものなのだ。

中国・台湾・韓国など、アジアのライバル企業が価格競争で日本の企業に勝つことができるのは、まだ日本が経験したような経済的繁栄を迎えていないからだとも言える。

もちろん日本が衰退していくのは日本人として困るが、国際政治・経済のルールにのっとってゲームをやっているかぎり、アジアの中で日本だけが突出した繁栄を享受できる/享受し続けなければならない理由もない。

日本はこのまま衰退するだんろうか? かつてのイギリスやメキシコやアルゼンチン、最近のギリシャのように国として財政破綻するんだろうか? 経済のことにはうといくせに、いや、うといからこそネガティブな妄想がふくらむのだが、そういう自分ではどうにもならない不安を癒してくれるのは、こういう廃墟なのだ。死後の世界、破滅後の未来から自分を眺めることを可能にしてくれる力が、そこに隠れている。

もしかしたら、日本はまたしても戦争に負けたのかもしれない。太平洋戦争のような武力を使った戦争ではないにしろ、国家というしくみがあるかぎり、どんな友好国同士でも国家と国家はなんらかの係争状態にある。つまり潜在的な戦争はずっと続いているのだ。

今回の敗者は欧米諸国で、勝者は新興国だろうか?

それほどこの目に見えない戦争は単純じゃないような気がする。

中国とアメリカにはさまれ、両大国の潜在的な戦争に巻きこまれざるをえない東アジアの小国群が、小国同士で戦いながら、同時に両大国の脚に踏みつけられているという腹立たしい状態で、これからも続けていかなければならない戦争というのがあるのだ。

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