楠の古木のそばに、黒っぽい長屋のような倉庫のような建物があった。
伊予の国の神々を集めて祀っている祠らしい。つまり神々の長屋だ。
主祭神以外の神々を境内に祀っている神社はいくらでもあるが、
たいていはそれぞれ独立した祠を建て、小さな鳥居や旗も立てたりしている。
こんなふうに仏教寺院の修行棟や倉庫みたいな建物に、神々をまとめているのは初めて見た。
それぞれの戸は閉まっていて、しめ縄も鐘も賽銭箱もなく、
参拝を頑なに拒絶しているようにも思える。
これもほかの神社とちがうところだ。
たいていの神社では小さな祠にも賽銭箱があって、ひとつひとつお参りしていくと、
けっこうな小銭が必要になる。
立て札の解説によると、この長屋/倉庫、平安時代の様式で、
その後室町時代に建て替えられたものというから、
けっこう貴重な建物だ。そうと知ると、長屋/倉庫がありがたく感じられたりする。
そういえば苔むした藁葺き屋根も、細めの柱もなかなか美しい。
そもそも昔の神社建築は、ガツガツ賽銭を要求したりしなかったのだろう。
中に鎮座しているらしい十七座の神々にもゆとりと優雅さが感じられる。
|