イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

あぶない芸術鑑賞

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美術や映画など芸術関連のエッセーです
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上野の国立博物館で「長谷川等伯展」を観てきました。

有名な国宝「松林図」は二度目のご対面です。

そのときは、ほかに水墨画・花鳥画が少しと、

影響を受けた中国の画家の作品を集めただけの展覧会だったのですが、

今回は、等伯の生涯と全画業をカバーしてます。

スケールの大きな人だったんですね。

画風の多彩さに圧倒されます。

能登に生まれて、法華宗と関わりが深く、

若い頃は北陸で仏画を描いていたようですが、

京都に出てきてからも、たくさん仏画を描いてます。

晩年には法眼と称していて、在家の僧侶だったようですから、

お寺との関係は、単なるパトロンと絵師の関係じゃなかったんでしょう。

法華宗だけでなく、禅宗の大徳寺にもたくさん絵を描いていますが、

こちらは美術的なパトロン、お客さんだったみたいです。

今見て面白いのは、やっぱり宗教臭さのない絵ですね。

法華宗以外の寺では、宗教から解き放たれて、

のびのびと傑作を描いてます。

いかにも安土桃山的な智積院の国宝「楓図/松図」と、

その対象をなす感じの国宝「松林図」は、やはりいいですが、

ほかにも突き抜けた絵がたくさんあります。

金地に墨で荒波だけを描いた「波濤図」なんかは、

現代日本画みたいです。

山水画は雪舟の絵を知っているので、そんなに驚きはないですけど、

それでも人を陶酔させる力があります。

それにしても、ものすごい幅の広さ。

見終わった頃にはぐったりしてました。

順路の後半に年表が掲げてあったので、

彼が桶狭間や本能寺、関ヶ原といった戦乱の時代を生きたことがわかって、

また別の意味で感動しました。

特に、出世の足がかりになった大徳寺三門の天井画は、

関わりの深かった堺の茶人・千利休のバックアップでありついた仕事だったようで、

その後、この三門に飾った利休像がこの茶人の切腹につながり、

その首が京に晒されたことなどを考えると、

背中がぞくぞくっとしました。

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MOA美術館の下には、世界救世教の施設があり、
きれいに手入れされた庭園には梅の花が咲いていた。

有名な熱海の梅園まで行けばもっとたくさんの梅が見られるのだろうが、
美術館で見た光琳の余韻を楽しみたいので、
貪欲な観光はせず、
庭園の梅を静かに眺める。

急な坂を下り、駅に出たが、まだ時刻は昼過ぎ。
このまま帰ってしまうのもさみしいので、
さらに坂を下って海岸に出た。
昔何度か遊んだビーチを散歩。

冬の砂浜は、犬の散歩をする人が数人いるだけだ。

時間が止まったような海を眺めながら、
これから書く小説について、
セミリタイア状態の生活について、
自分のこれからについて考える。

1991年、バブル崩壊のときは38歳。
やはり仕事は激減したが、
それまでがあまりに忙しかったので、
不安より解放感の方が大きかった。

毎日ジョギングするようになり、
マラソン大会に出るようになり、
それからトライアスロンにのめり込んでいった。

2001年からはネットバブルから景気回復が始まり、
またまた仕事に追われる日々が続いた。

そして去年の秋からの世界不況と同時に仕事が止まった。

1991年と同じように、今はほっとしている。
とりあえずじっくり休んで体力を回復させるときなのだろう。

体力が回復したら、またトライアスロンを再開したいかというと、そうでもない。
55歳の今はもう、運動することにそれほどの新鮮みは感じないのだ。

それよりも、残りの人生で何か自分の作品と呼べるものを残したい。

29歳から始めたライター稼業は、
もともと小説家になるためのアルバイトだった。

仕事がない芸能人がコンビニや居酒屋でバイトするようなものだ。

ところがそのバイトが忙しくなり、
けっこうカネが稼げるようになり、
いつのまにか作品はあとまわしになり、
バイトで疲れ果て、
ストレス解消のために始めたスポーツにはまり、
人生の軌道からどんどんそれていってしまった。

まあ、凡庸な人の人生とはおおむねそんなものだ。

気がつけば、もう60歳は目の前。
時間も体力も、もうあまり残されていないのかもしれないが、
せっかく世界不況がありあまるヒマをプレゼントしてくれたのだから、
それを有効利用しなければバチが当たる。

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エスカレーターで戻る途中、ムア広場というのがあった。

熱海港や初島をのぞむ高台に、
ヘンリー・ムーアの彫刻「王と妃」が置いてある。

これもこの美術館の所蔵品なのだ。

ムーアといえば、圧倒的なボリューム感と曲線をまず思い浮かべるが、
この彫刻はそうした肉付けをせず、逆に肉をそぎ落として、
モチーフの真髄に迫っている。

モチーフはカップル。
ペアとしての人間。

それでもなんとなくほのぼのと温かいのは、ムーアの人柄だろうか。

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MOA美術館の敷地にはちょっとした庭園があって、
その一角に尾形光琳の晩年の住まいを再現してある。

江戸初期の京都の金持ちの住宅が、熱海の山の斜面にあるのはなんとも落ち着かないが、
それでも中にはいると、ちょっとタイムスリップ、空間移動した気分が味わえる。

ひとつひとつの部屋の狭さは、いかにも京の住まいだ。

光琳は没落した大商人の跡取りだったらしい。
絵画で成功したのは中年になってからだ。
成功したといっても、親の代までの大金持ちとはちがう。

いかにも品のいい、こぢんまりした家に、
光琳の育ちの良さと美学が感じられる。......................

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今回の所蔵名品展は、名品が盛りだくさんなのだが、
やっぱりインパクトの強さでは、
尾形光琳作「紅白梅図」と野々村仁清作「藤花文茶壺」のふたつが群を抜いている。

仁清の茶壺は10年前にも見ているのだが、
その圧倒的なボリューム感、官能的な丸みに見とれてしまう。

藤の色絵のうち、黒ずんでいる花はもともとこの色なのか、
時と共に変化してしまったのかわからないが、
葉の緑の鮮やかさとのコントラストで、
官能的な華やかさと奥深さを同時に感じさせる。

「紅白梅図」は中学時代から、
美術の教科書、美術全集、テレビなどいろんなもので何度となく見ているのだが、
実物を見るのは初めてだ。

構図のすばらしさなどはわかっているつもりだったが、
近寄ったり離れたりして、
やはりディテールの色や質感まで感じながら見つめ倒すと、印象が違う。

中央の川の、工芸品みたいな抽象表現に、
梅の木の、生き物のような表現が響き合う。

幹や枝のうねり、絵の具を盛り上げたような梅の花、
星のようでもあり、フジツボのようでもある幹の地衣類、
これも地衣類なのか、絵の具をたらし込んでにじませた、妖艶な青緑。

なぜかフィレンツェで見たボティチェリの「春」と「ヴィーナスの誕生」を思い出した。

この日本の梅はそれくらいセクシーだ。

ウフィツィ美術館にこの屏風を置いたら違和感があるだろうが、
この絵のインパクトは、イタリア・ルネサンスの名品とくらべても、
まったくひけをとらない。

こういうものを見ると、日本に生まれてよかったとつくづく思う。

館内は写真撮影禁止だし、
どこかから写真をひっぱってきても意味がないので、
とりあえず昼食をとりながらテーブルに置いて撮ったパンフレットの写真でもごらんください。


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