イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

あぶない芸術鑑賞

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美術や映画など芸術関連のエッセーです
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国立西洋美術館1

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「ドレスデン国立美術館展」にちょっとがっかりして、
国立西洋美術館を出ようとしたら、
1400円の同じチケットで常設展も見ることができるというので寄ってみた。

こちらはストロボを焚かなければ撮影はOK。
松方コレクションを中心に、なかなかの見応えだ。
80年代に1〜2度来ているはずなのだが、
モネの部屋のインパクトはそのときの比ではない。
陶然としてしばらくそこにいた。

 何度となく絵の前を行ったり来たりし、
写真をとり、離れて見て、近づいて見て……を絵ごとにくりかえす。
有名な「睡蓮」だけでなく、
「船遊び」や「黄色いアイリス」や「赤い芍薬の花園」など
ほかの絵もそれぞれにすごくいい。
こちらの視線に応えて様々なものを無限に投げ返してくる

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夕方、お茶の水で打ち合わせがあったので、
その前に上野の国立西洋美術館でドレスデン国立美術館展をみた。

地球儀やらコンパスやらの器具、王様の狩猟用具や衣服、
マイセンや有田焼の陶器など、工芸品的なものが多い。

絵画にはフェルメールの「手紙を読む女」があった。
19世紀まではレンブラントの凡作とみなされていたとのこと。
今は人気のフェルメールだが、長いスパンで見れば、
美術界の評価は意外と不安定なものなのかもしれない。

この「手紙を読む女」はたしかにほかのフェルメールの絵よりも、
レンブラントと誤解されやすいところがある。
フェルメールらしい、民家の一室が舞台なのだが、
光がにじんだような描き方で、人物がどこか遠くにいるように見える。
女の表情に、例のいわくありげな感じが薄い。
レンブラントがフェルメールのまねでもしてみようと思って描いたら、
こんな感じになるのではないかと思わせるような絵だ。
そんなことはありえないのだが。

レンブラントの「ガニュメデスの誘拐」もあった。
鷲か何か、大きな鳥が赤ん坊をさらっていこうとしている有名な絵。
大作「夜景」や晩年の味わい深い絵にくらべると、
なんてことはない絵に見えるのだが、
こうして名作の扱いを受けているんだから、
どこかに取り柄があるんだろう。
ぼくにわからないだけで。

全体的に、あまりインパクトのない展示だった。
ドレスデンを訪ねたときに寄ってみたら、
いい思い出になるのかもしれないが、
展示の一部をわざわざ東京まで運んできて見せるようなものではない。
ヨーロッパの地方都市の、
ある時代の価値観を知ることができるというだけの収集品だ。

テレビの「世界不思議発見」で紹介されていたせいか、
会場は平日だというのにけっこう混んでいた。
入り口に「フラッシュによる撮影禁止」の表示が出ていたので、
ストロボを焚かずに写真を撮ったら、
警備のおねえちゃんに、
「撮影は禁止となっております」と言われた。
「ストロボを焚かなければいいんじゃないの?」ときいたら、
「それは常設展で、こちらでは一切撮影禁止です」とのこと。
「おやまあ」
たったらもっと目立つようにそう書いておけよ。
書いてあったのかもしれないが……。
「データを消していただけますか」と、
おねえちゃんに言われてデータを消去。

この執拗で厳格な撮影禁止は一体なんなんだろう?
常設展はOKで、企画展だけ禁止ということは、
ドレスデン国立美術館との契約でそうせざるをえないのだろう。

となると会場でのマナーの問題というより、
会場の雰囲気づくりということなのか、
それとも写真を撮られると、
その分カタログが売れなくなるからか……?

美術品の所有権というのは、
肖像権まで含んでいるんだろうか?

まあ、写真が撮れなくても、
この程度の展示じゃ買わないけど。

雪舟

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雪舟は21世紀に生き残れるかどうかの瀬戸際にいるのだそうだ。
3年前東京国立博物館で見た
「雪舟没後500年特別展」のカタログにそう書いてあった。
生き残れるかどうかが、「この特別展で試される」のだそうだ。

結果はどうだったのだろう?
雪舟は試験に合格したのだろうか?
それとも落第したのだろうか?

なんという傲慢さだろう。
雪舟の絵を描いたのは雪舟であって、
現代に生きているわれわれではない。
そんなやつらの勝手な評価で、
戦国時代を生き抜き、500年間賞賛されてきた、
日本最大の画家が消えていくとも思えない。

しかし、すし詰め状態だったあの特別展の会場で、
ぼくがけっこう失望を味わったのは確かだ。

子どもの頃から画集でよく知っている山水画に、
ぼくは新しい感動を覚えることができなかった。
それはぼくの感性の衰弱かもしれない。
あの会場のむせかえるような空気で、
ぼくの神経がおかしくなっていたことも事実だ。
しかし、それでもぼくが失望したことは否定しようがない。
一体なにがどういけなかったのだろう?

子どもの頃からぼくは雪舟の「四季山水図」とか
「秋冬山水図」とか「山水長巻」の、
微細に描かれた世界にほとんど欲情してきた。

ぼくは微細に描かれ、
完結した世界を創りだしているものに欲情する傾向があるのだ。

山水画でなくてもいい。
美しい地図でも、
LSIの回路の写真でも、
あるいはフィレンツェのドゥオーモ、
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の、
赤・緑・白の大理石で構成された複雑な壁の模様でも……
とにかく意識をそこに重ね合わせて、
無限の旅ができる小宇宙が好きなのだ。

しかし、歳をとってから見た雪舟の山水画には、
その微細で完結した小宇宙が感じられなかった。
それは意外にも間延びした、
余白との間合いを楽しんでいるだけの模様のように見えた。

たぶんそれは雪舟の責任ではない。

彼の筆使いに誘われて、
彼が描いていないところまで、
自分のイマジネーションで補って感じ取っていた、
少年期のあの生命の過剰さを失ったぼくのせいなのだ。
たぶん。

雪舟は見る者に中国人のようなバイタリティーを要求する。
それに応えられない弱い日本人には、
かつて彼らが共有した美の世界を閉ざしてしまうのだ。

自意識過剰な71歳の雪舟の自画像が、
ぼくらに失格を告げている。

21世紀に変わったのはもちろん雪舟ではなく、
ぼくらの方なのだ。

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「稽古する踊り子」エドガール・ドガ

フィリップス・コレクション展でドガの絵を見るまで、
ぼくは彼に全く興味を持てないでいた。

別に実物を初めて見たわけじゃない。
たぶんパリのオルセーとか、あちこちで見ているはずなのだ。

ドガの美意識にはなんとなくぼくの反感をそそるようなところがある。
闇の中に蒼白いお化けみたいに浮かぶバレリーナたち。
その笑顔がハイエナみたいに見えたりするのが、
なんともいやな感じがするのだ。

しかし、この稽古する踊り子をみたとき、
ちょっと違ったものを感じた。

蒼白い踊り子の肌や衣装と、レンガ色をした壁の妙なコントラスト。
(実物はこの写真よりかなりくすんだ色をしている)
こういう美の提案をどこかまったく別のところで経験したことがある。
それが何なのかしばらくわからなかった。

会場を離れてエスカレーターに乗っているとき、ようやくわかった。
それは本阿弥光悦の色づかいなのだ。
鉛を貼り付けた国宝の文箱とか、
特別に作らせた銀色のような灰色のような紙に墨で書いた和歌とか……。

さらに何日かたって、写楽の絵にも似たような美意識があると気づいた。
鉛色の雲母を貼り付けたような背景に浮かび上がる、
グロテスクな歌舞伎役者たち。

ドガもフランスの浮世絵ブームを経験しているはずだから、
もしかしたら写楽に何か感じたかもしれない。

ぼくは美術史にうといのでなんの根拠もないのだが……。

ともあれ、美術の素人にとって
こうして後からやってくる、
イメージの連想ゲームほど楽しいものはない。

ごくごく個人的な経験。

おかげでドガが好きになった。

友人の個展

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6月26日

トライアスロン仲間のイラストレーターが青山で個展を開いた。

テーマは音楽。
演奏するジャズメンたちと、亡き巨匠たちの肖像。
その中に上戸彩似の少女や、バルテュスが描きそうな少女。

恐そうな顔に似合わず可愛らしい画風。

もう絵が2枚売れたという。

うらやましい。

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